第148話 Yggdrasill Factor
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あのバカども、ついにこっちでもアトラス狩りを始めやがったぞ。
こっちはアトラスがかなり多いからな。本気であの計画を施行するつもりなのか。さすがは過激派といったところだ。
とはいえ、俺もこの混乱に乗じて、しっかりやること済まさないとな。
俺は19時27分発の直行便で東京に向かう。約半日間の空の旅が始まった。
ヒースロー空港を出発して少しして機内食を食べ、眠くなってきたので、後ろの人に許可をとってから座席を少し倒し、きのうは徹夜してしまったから5時間くらい寝た。
そして羽田まであと5、6時間となる。
今回東京に行く目的は2つ。まず1つ目はユキタカメジロから妖刀ムラマサを奪うこと。こっちはそう容易いことではない。いくら年老いたからといって、相手は世界に名だたる大剣豪だ。それにやつを守護する防衛隊が結成されているはずだ。一筋縄では行かないだろう。
けれど2つ目は確実に遂行できる。そう、東京観光だ。数年前からずっと東京には行きたいと思っていて、今日はついにそれが叶う。
世界都市東京。世界一の大都市で、アメリカに次ぐAI大国。一体どんなところなんだろう。非常に楽しみだ。
機内にはイギリス帰りの日本人が30〜40%といった感じで、その他はみんなイギリスからの旅行客という感じだ。旅行終わりの寂しさを感じる者たちと、旅行への期待に胸を膨らませる者たち。こうして1人で旅をしにやって来ても、飛行機は実に楽しい場所だ。
俺は世界的に流行しているオンラインファンタジーゲーム――Yggdrasill Factorのプレイヤーだ。
このゲームはPC、PS7などのコンソール機、スマートフォンで導入されているもので、子どもからお年寄りまで幅広い世代にプレイされている。
このゲームの最大の特徴は、完全没入型VRシステムである。しかも最近はかなり技術が進化したから、スマホでもこのシステムが導入されている。
さて、残りの数時間はこれをやって過ごそうか。
俺はユグドラシルファクター用に開発された特殊なワイヤレスヘッドフォンを装着して、背もたれにもたれかかった。
普段は家のゲーミングPCでやっているので、今日持ってきたスマホでやると若干グラフィック性能が落ちてしまうが、まあいいだろう。
ユグドラシルファクターはファンタジーの世界を舞台とした日本製のゲームで、魔法学者兼魔法マテリアル開発者として有名な片瀬宏光氏が初期開発に携わっていた。
このヘッドフォンも彼が開発した魔法マテリアルで、性能の割にはかなり安価だ。
イギリスの大英魔法マテリアル製のものもあるが、アレは着け心地が最悪だ。没入に支障が出る。それに比べて日本の三菱魔法工業製のやつはもう最高。価格は大英魔法マテリアルに比べれば少し高いが、細かいところに日本の丁寧さを感じる。
よし、じゃあゲームを始めるか。
To be continued!⇒
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