第144話 終わった世界で夢見るわたし
大変お待たせいたしました!
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わたしの故郷世界は滅びかけている。かろじて存在はしているが、じきに神により抹消されるだろう。
まだ神代と呼ばれていた時代……神や天使、霊獣や宇宙的存在など、様々な神性が地上に存在していた。彼らは旧支配者と呼ばれていて、人類の前に地上を支配していた。
紀元前40世紀以前の地上には、魔力粒子よりも高次元な霊力粒子や使力粒子、神力粒子が空気中の魔力成分の大きな割合を占めていた。それらの高次元粒子を処理する機能が不完全である人類にとっては、自分たちの知と力では存続することは難しかった。
そこで人類は神などの高次元的存在と契約を結ぶことにより、生きるための知と力をもらい受けた。そして人類は神々の知で家畜を放牧し、野原を耕し、道具を発明し、大きな集落を作り、繁栄していった。
上級存在がそれまで支配していた地上は、次第に人類が侵食し、上級存在の神格が徐々に薄れ始めた。そして紀元前4000年頃、人類は神から地上の支配権を奪った。それにより高次元粒子の空気中の魔力濃度が激減し、人類の時代……大魔法時代が始まった。
人類は神の知を子孫に託し、また自分たちで知識を編み出し、文明を発達させた。そして17世紀まで大魔法時代は続き、ちょうど産業革命期、魔力濃度が神代の頃15%まで低下した。この頃になると、地上からほとんどの神や天使、神獣や使獣などが姿を消した。かろうじて低級霊獣や魔獣だけは留まってはいたが。
17世紀から19世紀にかけてを人力革命時代と呼ばれ、神力が及ぼす影響がほぼなくなり、人類の文明が大きく進化した。ちなみに19世紀以降のことは人力時代という。
しかし21世紀前半。天災や人災により人類の人口が激減した。
とある宗教家がこう言った。「この世界は我々人類には荷が重すぎた」と。たしかに人類は地上から旧支配者を追い出し、地球を支配し始めた。途中までは協力し合い、上手くいっていたが、しかし2度の世界大戦を代表とし、人々は様々な争いを体験した。争いは文明は進化させてきた。争いこそが人類の編み出した最大の力であることは間違いない。
だが神代の旧神がつくったエデンのような真の楽園は築くことができなかった。
これが人類の大きな失敗だろう。人類は神にはなれなかった。ただその結果のみが、我々に突きつけられているのだ。
神力を向上させれば、人類は救われるとその宗教家が言った。地上の支配権を神に戻すべきだという考えだ。
それとは反対に、人力を極限まで向上させ、神の怒りから人類を守るべきだという考えも生まれた。
こうして終わった世界で、神力向上派と人力向上派による戦争が始まった。不毛だ。これだから人類は愚かなんだ。こんな世界さっさと滅びてしまえばいいのに。
わたしはこんなクソみたいな世界で、ひとり夢を描いていた。楽園を作りたいと。
To be continued!⇒
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