第139話 最強の戦力たち
◾隆臣
俺、エース、車椅子のジョーカー、車椅子を押す凛、ナディア、ラナの6人で魔術学園に向かった。
気だるそうにアプローチを歩く生徒の中に、白い髪の毛と髭を一際目立たせ、ピシッと背筋を伸ばした老人が歩いていた。魔術学園のブレザーがよく似合わない爺さん目白だ。
爺さん目白からは、ロザリオ事件のときに散々感じた押し潰そうとしてくるようなオーラを感じる。そして刀のように鋭い目。あれに睨まれたらきっと恐怖で動けなくなるだろう。
爺さん目白は白い布で包んだ何か長いものを担いでいた。きっと妖刀村正だろう。魔剣の蔵からこの妖刀を守るために、学校まで持参してきたのだ。
「おはようございます。爺さん目白さん」
「おはよう」
「おっは〜」
凛、ジョーカー、エースがそれぞれ爺さん目白に挨拶した。
「おはようございます」
俺も続いて挨拶する。
「ああ、おはよう」
爺さん目白は渋い声で返してくれた。そして爺さん目白はナディアとラナを発見し、
「こやつらにも伝えたのか? あのことを」
と。
「ええ、ユキタカが魔女隊だけだと不安だって言うから、私が頼んで協力してもらうことになった」
「そうか。感謝するぞナディア」
ナディアがそう説明すると、爺さん目白はまたまた渋い声で言った。中田譲治のようなイケボだ。
すると爺さん目白は、
「お前たちの強さの全てを体育祭で見抜いた。信頼する。この妖刀村正を守るため……後世に受け継がせるため、わしの防衛を頼んだぞ」
爺さん目白は立ち止まり、浅く頭を下げた。
「爺さん目白さんはわたしたちのお友達ですから、当然ですっ!」
「きっと私たちだけじゃないよ。みんな爺さん目白を守ってくれるよ」
「このわたしに任せなさい。老人の1人や2人なら、車イスに乗ってでも確実に守れる自信があるわ」
凛はニコッと微笑みながら、エースは親指を立てながら、ジョーカーは薄々の胸を張りながら言った。
この3人はマジでチート級の能力を持ってるからな。特にジョーカーの大魔法。時間を止めるとか、いくら序列6位とはいえ対応できないだろう。
「俺も死なない程度に頑張ります」
俺がそう言うと、爺さん目白は俺の肩をポンんと叩いて耳元で、
「少年こそが防衛作戦の要なのだぞ」
と、謎のことを言った。
「え?」
どう言う意味ですか? と尋ねるよりも先に、
「お師匠さまっ!」
「っ!」
爺さん目白の弟子である、黒髪の一部と瞳が金色の十六夜七海と、黒髪の一部と瞳が銀色の十六夜四谷の双子の姉妹がそろってやって来た。2人は爺さん目白同様、白い布で包まれた長物を背負っている。2人も真剣を持ってきたのか。
七海は風神ことシナツヒコの宿主で、四谷は雷神ことタケミカヅチの宿主だ。師匠は世界屈指の大剣豪で、弟子は神霊を宿す第八感覚覚醒者。最強の師弟だな。
こうして爺さん目白防衛作戦の最強戦力たちが一同に会した。
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