表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/363

第138話 東京事変

◾隆臣


「事変……?」


「いや、もうすでに始まっている。世界を揺るがす大事件が…… 」


 ナディアは神妙な面持ちで言った。

 世界を揺るがす大事件……想像もつかない。爺さん目白がその発端になるのか。


「ユキタカは世界屈指の大剣豪だった。かつては少し先の未来を予想できるほどの第六感の持ち主で、欧米では〝死のサムライ〟や〝メイジキラー〟と恐れられていた。しかしあいつも人の子。今は高齢で、遊びのチャンバラとはいえ、三下ごときに負ける始末。あいつは確実に殺される。次の剣豪は魔剣の蔵となる。世代交代だ」


 世代交代……それはどんなものにも必然的に訪れる。当然といえば当然なのかもしれない。


「勝てないのか? 爺さん目白は、魔剣の蔵に」

 

 俺は尋ねる。


「かつてのユキタカであれば可能性はあっただろう。しかし今のあいつではなぁ」


 現役序列6位に、元プトレマイオス候補じゃさすがに実力差がありすぎるのか。


「爺さん目白さんが死んじゃうなんて、わたし嫌ですっ!」


 凛は白銀のツインテールを揺らしながら高い声で叫んだ。

 俺も嫌だよ。学友が死ぬなんて。それはエースもジョーカーも同じようだ。

 するとナディアは薄っぺらい胸を張って拳でトンと叩き、


「反ブラド派の魔剣の蔵を追って、ブラド派のアイラ・ハンプトン=ローズが私たち魔女隊を日本に送った。魔剣の蔵を止めるためにな。だから安心しろ。私たち魔女隊がユキタカを守ってみせる!」


 と。

 今の魔女隊がどれほどの力を持っているのかわからないが、とにかく爺さん目白は防衛されるようだ。よかった。


「だが危惧していることがある。それは我々魔女隊を持ってしても、魔剣の蔵は手に余る相手だということだ」


 ナディアはそれまでペタン座りをしていたが、急に正座をして地面に手の平を付き、


「頼む……我々に協力してくれ!」


 頭を下げた。土下座だ。


「私はユキタカにたくさんの恩がある。だからどうか……お前たちの力を貸してくれっ!」


 顔は見えないが、ナディアの声は真剣だった。その横でラナもナディアの真似をしている。

 すると凛は優しい声で、

 

「顔を上げてください」

 と。

 少ししてナディアとラナの顔が上がる。ナディアの目の端には涙が溜まっているのがわかる。


「爺さん目白はわたしたちのお友達です。友達が危ない目にあっているのを見過ごすわけにはいきません。もちろん最初から協力させていただくつもりです」


 凛の言葉に俺、エース、ジョーカーはそれぞれ頷いて同意を示す。

 するとナディアの顔が花が咲いたように明るくなり、


「本当か!? ありがとうみんな!」


 と、満面の笑みで言った。かわいい。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ