第136話 ちょっぴり贅沢な夜ご飯
最近毎日投稿できてなくて本当にすみません……
◾隆臣
俺とミレイは2人で詩葉の中学校の前まで行き、詩葉と出会ってドトールに訪れた。
ミレイが詩葉に謝るというから、その付き添いだ。ミレイはお子ちゃまだからな、付き添ってやらないと不安でしょうがない。
ミレイは何故か詩葉に怯えていた。詩葉は優しそうな面立ちをしているし、声も優しいのにどうしてなんだろう。
でもとにかく、ミレイはちゃんと自分の口から詩葉に謝罪の言葉を述べていたので、俺としてはとてもうれしかった。
帰りにどうして詩葉を怖がっているのか聞いたが、ミレイは答えてくれなかった。
というより、俺と2人きりのときのミレイは終始不機嫌そうにしていた。ちょっと悲しかった。なんでなの? 俺なんかしたか?
◾隆臣
そして時は今に戻る。俺たちは頑張って犯人を特定してくれたエースの要望に応えて、すき焼きパーティーをしていた。
今月は叙々苑で食費がマイナスになっているが、頑張った人は報われるべきだ。だから肉はスーパーで売ってる中で一番いいのを選んだ。タレは市販のものだが、これがなかなか美味いんだよな。
「とってもおいひいよ!」
と、エースは俺に満面の笑みを向けて言った。めちゃくちゃ幸せそう。そしてめちゃくちゃかわいい! この笑顔……守りたいっ! いや、絶対守る! 俺が守るッ!
「おいしいれすぅ〜」
「(おいしい……)」
凛とジョーカーもご満悦のようだ。凛はとろけていて、ジョーカーは箸を咥えたまま目を見開いている。
叙々苑游玄亭での打ち上げ以降、俺は少し不安だった。最高級の味を舌が覚えてしまい、家のご飯を不味いと感じてしまわないか。
しかし、どうやらその心配は無用で、叙々苑以降も凛とジョーカーは俺とエースの料理をいつも堪能してくれている。
なんでもおいしそうに食べてくれるから、ほんとに作りがいがあるってもんだよ。
最近は凛とジョーカーも、苦手な料理を克服したいということで、4人で料理を作ったりすることもある。
それがすげー楽しくて、上手くいってもいかなくても、めっちゃくちゃ幸せな気分になれる。
きっと新婚夫婦もこんな感じなんだろうな。一緒に料理をして、笑いあって、同じ飯を食って……俺もいつかそうなれるかな?
まったくらしくないことを考えている俺だが、最近はそんなことをよく考えちゃうんだよな。
俺はイケメンじゃないし、気が利く方でもないし、勉強ができるわけでもない。だが結婚願望はある。結婚相手との間に子どもだってほしい。
まあそんなことは置いといて、俺は今日のデザートを冷蔵庫から取り出した。
「エース、これ食べたがってたよな?」
「わぁ〜プリンっ!」
エースは胸の前で合掌して、夜空色の瞳をいつも以上にきらきら輝かせた。エースはプリンがめちゃくちゃ大好きだからな。
これはこの前上野駅構内で数日間のみ期間限定販売されていたもので、そのときにエースがとても興味を持っていたものだ。
でもすぐに上野駅での販売は終了し、麻布の本店にしかこの高級プリンは売っていない。
ネットの口コミも上々で、テレビでも取り上げられたほどらしい。
なので今日は1人で麻布まで行き、高級プリンを4つ買ってきた。
「あまあまでうまうま〜っ!」
エースはほっぺをおさえながら、目を細めて幸せそうに言った。まったくかわいいなぁ。なでなでしたいっ!
「甘いのとカラメルのちょっぴりビターな感じがとってもおいしいですね」
「ありがと隆臣」
凛は軽く食レポをし、ジョーカーは俺に感謝してくれた。
「いいんだぜ。俺も食いたかったからな」
そう言って俺もプリンを一口パクっ。
「うまい! これはうまいな!」
味はもちろんのこと、なめらかな舌触りがその味をより鮮明に引き出している。すばらしいプリンだ。
おいしいすき焼きとデザートに高級プリンを食べた、そんなちょっぴり贅沢なある日の夜だった。
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