第128話 進化したナディア
◾隆臣
「ナディア!? どうしてここに!」
「今はそれどころじゃないんでしょ? 私に任せて」
ナディアはそう言ってローブをめくり、たくさんのロザリオの中から1つを取り出した。
そしてプラチナの指輪の小刀で左手親指から血を出し、ロザリオに付着させる。
するとロザリオからドーム状の何かが広がって、俺とエースをも飲み込んだ。
「これは?」
「隔絶の結界よ」
「隔絶の結界?」
「結界内部にあるものは外部から一切の干渉を受けない。私が仮面舞踏会で発表して最優秀賞を獲得した魔法よ!」
ナディアは「すごいだろ!?」と言わんばかりに薄っぺらい胸を張った。たぶんすごいんだろうけど、俺はカーニバルとやらがイマイチよくわかってないからなぁ。でも最優秀賞はすごいな。こいつもこいつでがんばっているんだな。
それに少し見ないうちにちょっと印象変わったな。なんだろ……さらにかわいくなったのか?
「あれ? 今ここら辺に人いなかったか?」
「何言ってんすか? 関係者以外立ち入り禁止なんすよ? 一般人がいるわけないでしょ」
「いやたしかに俺は見た! ってー テメェーらかよ無能MMA!」
捜査一課の刑事たちは俺たちには見向きもせず通り過ぎていった。そしてMMAの捜査員たちと言い争いを始めた。
「本当に気づいてないのか?」
「ええもちろん。外界からは私たちのことを認識できないし、内界の音も外界には漏れない」
「お前ってすごいんだな」
「今までポンコツだと思ってたみたいな反応やめてくれる?」
「ポンコツだなんて思ってねーよ。けどそんなにすごいとも思わなかった」
するとナディアは、
「ふふーん! 実はな! 私、ようやく地下図書館の管理者になれたんだ。シュヴァルツのロザリオ事件での活躍を師匠が認めてくれて、私に管理者権限を譲渡してくれたのだ。地下図書館ってのはイェルヴォリーノ家の家宝で、大魔法を導く宝具のこと。私はようやくイェルヴォリーノの大魔法を継承することができたんだっ!」
と、本当に嬉しそうに言った。今まで見た中で一番の笑顔だ。かわいい。
「ナディアは本当にすごいな」
「だろ!」
ナディアはエサ待ちの犬のような眼差しで俺の顔を見つめてくる。頭をなでなでしたいが、両手が塞がっているのでそれは叶わない。あとでなでなですることを覚えておこう。
「とりあえずナディア。このまま家に帰りたいんだが、一緒に来てくれるか?」
「(しゅーん。でもしゃーなしだな)よしわかった! じゃあ行こう!」
最初らへんはごにょごにょ言っててよくわからなかったが、どうやらナディアはエースの救いの神になってくれるようだ。
To be continued!⇒
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