第123話 ミレイはガキ!
24時15分はまだ6月1日です。
◾隆臣
「それを返せ!」
「ちょっ! うわぁ!」
ミレイは少女に飛びかかり、カプセルを奪い取って胸に抱きしめた。すごい必死さだ。
それと押し倒された少女のスカートがめくれ上がり、白と水色のしましまお布が見えてしまったことは誰にも内緒だ。もしこのことが凛にバレたら、きっと俺、目玉をほじくられちまうぞ。
「ミレイ! そんな飛びかかってまで!」
「そうだよミレイちゃん。今のは危ないよ!」
俺と凛はミレイを叱りつける。なんで中学3年生にもなってこんなこともわからないんだこいつは。マジで親出て来い!
一方でエースは半身を起こした少女に、
「大丈夫?」
と、膝を曲げて髪の毛を耳にかけながら声をかけた。髪の毛を耳にかける仕草ってすっげー萌えるよな。この気持ちわかってくれる?
「ありがとう。全然大丈夫」
少女はスカートのホコリを手で払い、立ち上がって乱れた髪の毛を手で整えながらエースにそう返した。
するとミレイは、
「これに触れちゃダメなんだ! これはわたししか触っちゃいけない物だから!」
そんなわけのわからないことを言い出した。
「お前の落し物をこの子が拾ってくれたんだぞ? まずはありがとうだろ!?」
俺はちょっと強め言うが、
「貴様からは危険なにおいがする!」
ミレイは少女を指さしてそう言った。こいつ……礼儀のレの字もねぇな。
俺は思わずミレイの頭にゲンコツをしていた。ちょっと我慢できなかった。
「何をする!」
「ミレイ! お前はもっと常識を知れ! 非常識なんだよ! 幼稚園児でもできることをどうしてお前はできないんだ!」
赤の他人に対してどうしてこんなに怒ってるんだ俺は。我ながら珍しい。
「……」
「お前の親がどんなバカか知らねーが、お前は赤ちゃん過ぎるんだよ!」
ミレイはぷるぷると震え始めた。やばい。ちょっと言い過ぎたかも。
「ふざけるなっ! このクズ人間っ! お前なんて大っっ嫌いだっ! いーっ! あっかんべー!」
ミレイは涙目でそう言って、舌をペロっと出した。そして太ももの機械にカプセルを挿入する。
――コシュー
――ピピピ
ガスが抜けるような音に重ねて、ミレイは左腕のディスプレイを操作した。
ミレイの姿が徐々に透明化していき、ミレイは人間離れした速さで俺たちの前から立ち去って行った。
To be continued!⇒
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