第116話 朝
本日は短めです。
◾隆臣
翌日。本格的に捜査に参加する日の朝のこと。
俺は凛とジョーカーの部屋で、
「おーい! 2人とも起きろー!」
と言ってカーテンを勢いよく開けた。
ジョーカーは右足を負傷しているので、凛とジョーカーはベッドを離して寝ていたようだ。
「んぅ……まだねむいのにぃ」
ジョーカーはうなり声を上げ、目を擦りながら半身を起こした。相変わらずの芸術的な寝癖だな。ピカソもびっくりだ。
いつもなら凛もジョーカーと同じタイミングで目を覚ますはずなのに、今日はなかなか起きないな。
俺は凛の体を揺すり、
「りーん。朝だぞ? 起きろ〜」
「うぅ」
「大丈夫か? 具合悪いのか?」
「はぅ。きのうは早く寝たのに、すっごくねむくて……」
凛は寝起き早々大あくびをして、
「ジョーカーと一緒じゃないとぐっすり眠れないのかなぁ。まだまだ寝足りないです……」
と、言った。
「実はわたしも、凛が近くにいないと寝つきが悪い気がするのよ」
ジョーカーも凛と同じようで、小さなあくびをした。
この2人ってほんと不思議だよな。見えない何かで繋がっている……みたいな?
まあ凛にとってジョーカーは何代も前のご先祖さまだからな。
「そうなのか。でもジョーカーの足が治るまで、ベッドをくっつけて寝れないぞ」
俺はそう言いながら、また目を閉じようとしている凛と、浮遊しながらぽけーっとしているジョーカーの手を引っ張って、ダイニングに連れて行った。
◾隆臣
「お母さん行ってきますっ」
凛はリビングに飾られた写真に笑顔でそう言い、廊下をトタトタ走って玄関に向かった。
「わたしも行ってくるわ」
ジョーカーも凛に続いて写真に話しかけた。
「行ってきます」
「行ってくるよ」
もちろん俺とエースもだ。
この写真に写るのは、雪のような白い肌と髪の毛を持つ低身長の女性だ。背景などから推測するに、身長はおよそ140ちょっとで、かなり小さい。
この女性の名は三鷹琳瑚。凛の母親である。
凛は琳瑚さんに目元が非常によく似ていて、赤目な点もまったく同じだ。笑顔が愛らしいのも母親譲りなんだな。
琳瑚さんは16歳のときに和也さんと結婚し、17歳で凛を出産。元々体が弱かったため、凛を産んですぐに死亡したという。
リビングの写真は琳瑚さんが16歳の誕生日のときに和也さんが撮影したものらしい。
琳瑚さんは写真を撮られるのが苦手だったらしく、琳瑚さんが写った写真は多くないらしい。
凛は和也さんからたくさん琳瑚さんの話を聞いたことがあるようだが、顔は写真でしか見たことがない。
凛は琳瑚さんのことをどう思っているのだろう。このことは今まで一度も聞けずにいる。
To be continued!⇒
ご閲覧ありがとうございます。




