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第111話 占い

◾隆臣


 エースからお風呂に入ってもらう。その間に俺はエースの制服にファブリーズをかけてあげる。

 あらためてみてみると、魔術学園の制服ってすっげーかわいいよな。

 サイズがちっちゃいからってだけじゃなくて、ちゃんとデザインがかわいいんだよ。

 ブラウンのラインが入った襟とブラウンの大きなリボンのベージュベースのセーラー服に、ブラウンのラインが入った短いボックスプリーツのスカート。あとはブラウンのリボンがワンポイントのベージュの帽子もある。

 魔術学園の制服にはいくつかの種類がある。

 袖口がきゅっと縮まっているタイプや袖口が浴衣みたいに広がっているタイプ、ワンピースタイプや礼服として黒のマントタイプもある。それから礼服専用の黒い帽子もある。

 礼服というのは、入学式や進級式、卒業式の際に着なければならない制服のことだ。

 夏服は、水色のラインの入った襟と水色の大きなリボンの白いセーラー服と水色のプリーツスカートで、白ベースに水色のリボンのついた帽子もある。

 こちらもいくつか種類がある。

 半袖タイプやノースリーブタイプ、セーラーワンピタイプ(半袖タイプ、ノースリーブタイプ)や夏期礼服として白のマントタイプのセーラーだ。ちなみに夏期礼服用帽子は夏期通常用帽子とリボンの結び方が違うだけで、パッと見はほぼ同じ見た目だ。夏期用制服は薄手で、通気性がかなりいいのが特徴。

 そして女子は今紹介した9着を全て購入しなければならない。管理が大変……。金もかかるし。

 でも逆に、たくさん制服があるおかげで、時期を気にせずクリーニングに出すことができるのはいいことだ。

 ちなみに初等部生は通学時に帽子の着用が義務づけられているが、中等部や高等部では帽子の着用は逆に認められていない。

 全部で9着ある女子の制服に対し、男子の制服は、ブラウンのベストにベージュのブレザー、ベージュのスラックス冬用と夏用。これだけだ。儀式の際には黒or白のマントを制服の上から羽織るだけ。

 わかるだろうかこの男女格差。男子の制服のバリエーションをもう少し増やしてもいいと思う! 俺の私服の数よりエースの制服の数の方が多いってなんだよそれ!

 俺はエースの制服をハンガーにかけてタンスに収納し、自分の体操服を洗濯機に放り込んだ。

 体操服もさぞかし種類が豊富だろうと思ったそこの読者諸君! 残念!

 魔術学園は制服には力を入れているくせに、体操服はジャージとスパッツの2種類しかない。

 そして何故スパッツなのだろう。学長はスパッツがお好きなのかね?

 そんなことはさておき、エースの体操服も洗濯機に入れるべく、俺はエースの体育バッグのチャック開けた。

 すると、もわんと汗により濃密になったエースの爽やかでいいにおいがした。

 めっちゃいいにおいだ! バッグに顔を突っ込んでスーハーしたい!

 でもそれはさすがにヤバいよな。

 俺とエースはガイスト使いとガイスト。兄妹みたいなもんだ。

 自分のガイストの体操服の匂いをクンカクンカするのは犯罪スレスレ……いや犯罪だ。

 ダメだと理性が言っているのに、もう一度だけ嗅ぎたいと本能が訴えている。

 だがそこで、俺は袴田さんの言葉を思い出した。

 そう、俺の制服にはまだ焼肉の臭いが染み付いている。焼肉のにおいでエースのにおいを打ち消すんだ!

 俺はバッグから手を離し、制服のにおいを思いっきり嗅いだ。

 それによって俺は変態ロリコン野郎にならずに済んだ。




 翌朝6時。スマホのアラームが鳴って、俺とエースは目を覚ました。

 きのう節子ばぁからおすそ分けしてもらった肉じゃがを食べ、顔を洗って歯を磨いて私服に着替える。

 エースの髪の毛をかしてポニーテールに結んであげる。エースにはポニーテールが一番似合う。

 こんな俺だが、女の子の髪の毛を梳かして結ぶのは得意なんだ。緋鞠が小さかった頃によく母さんにやらされていたんだよ。三つ編みもできるぜ。


「できた」


「ありがと」


 エースはそう言ってにっこり笑った。かわいいなぁ。

 さて、三鷹家に行こう。

 俺とエースは部屋を出た。

 すると、


「おはちー! いやー、今日はいいお天気だねぇ」


 202号室の更木そうに出くわした。


「お、おはちー」


「おはちい」


 更木颯……こいつは更木荘の大家だ。

 そして驚くべきことにこの大家、俺のクラスメイトだ。

 豊満な胸を持ち、短髪を金色に染めていて、かわいいというよりはむしろ美人な、みんなのお母さん的な存在だ。


「隆臣くん、今日も占ってあげよっか?」


「いいや、遠慮しとく」


 そしてこいつの占いはきもちわるいほどよく当たる。


「そんなこと言わずにさぁ。じゃあ今日はタロット占いでいこう」


 そう言って颯は割烹着のポケットからタロットを取り出し、床にカードを並べ始めた。


「うむむぅ〜。これは……! おお! 隆臣くんはねぇ、近いうちにに運命の再開を果たすことでしょう!」


「運命の再開? 誰と?」


「うむぅ〜! それは私にもわからないなぁ。けどま、頑張ってね!」


「投げやりだな」


 恐ろしいくらい当たるこいつの占い……果たして俺は誰と運命の再開を果たすのだろうか。秋川涼帆ではないことを祈る。


「エースちゃんも占ったげる」


「いいの?」


「もっちろんいいよ〜」


 颯はタロットをシャッフルし、再び床に並べた。


「お! 見えた! エースちゃんはね……」


 颯はエースの耳元でこっそりと何かを告げた。

 するとエースの顔が真っ赤になって、


「そそそそんなこと! 絶対しない!」


 と言って俺の方をチラチラと見てくる。

 なんだ? 俺が関与しているのか?


「颯のバカっ!」


 エースは走って更木荘から出て行った。


「おいエース! ったくすまんな」


 颯はタロットを拾い上げ、


「ううん。ちょっとからかっちゃっただけ」


「そうなのか? すげー顔赤くしてたけど、変なこと言ってないだろうな?」


「そんなに変なことじゃないよ。健全なことだよ」


「そんなにって! まあいいや……」


 俺は呆れながら部屋に鍵をかけた。


「いってらっしゃい」

 

 颯が笑顔で見送ってくれた。


「いってきます」



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

これにて第2部第1章東京魔術学園体育祭編は終わりです!次回は用語紹介(第2部第1章)です。

ぜひこれからも末永く拙作をよろしくお願いします!

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