第109話 叙々苑游玄亭銀座並木通り店 伝説の戦争再び!
◾隆臣
体育祭の後夜祭は総評と結果発表だけで、特に何かをするわけではなかった。
そんなわけで俺、エース、凛、ジョーカー、七海、四谷、亀有さん、仙人、亮二、篝の10人で游玄亭銀座並木通り店に訪れた。
游玄亭……それは普通の叙々苑よりもさらにワンランク上の超最高級焼肉店である。
十六夜姉妹の行きつけがここだそうで、わざわざ上野から銀座までやって来たのだ。
「お待ちしておりました十六夜様。こちらでございます」
白髪混じりの初老の男性店長はそう言って俺たちを案内してくれた。
「毎度ありがとうございます、十六夜様。日頃の感謝を込めまして、本日は超特別個室をご用意いたしました」
ドアの横には、十六夜様用と書かれた表札のようなものがはめ込まれている。
「あら、ありがとうございます」
七海は上品に感謝を伝えた。ほんとにお嬢さまって感じだな。
中に入ってみると、やはり高級感が漂っていて、俺が普段行く焼肉店とは大違いだ。味にも期待!
メニュー表を見てみると、なんだよこれ…… 普通のカルビ1皿で6500円って、高いなんてもんじゃねーぞ。ぼったくりじゃねーか! 特選カルビなんて1皿9000円だぜ!?
味には限度がある。それならこれは高すぎるだろ!
アワビとか伊勢海老とかもあるみたいだけど、やっぱりどれもこれもめちゃくちゃ高いなぁ。
あ、でもコースもあるんだ。どれどれー?
月会席……1万6千円。雪会席……2万円。シャトーブリアンコース2万5千円!?
品川家4人で焼肉食べに行っても、父さんしか酒飲まないし、緋鞠も少食だから1万6千円もいかないぞ!?
すると、
「すみません遅くなりました。こちら十六夜様専用のメニューでございますをどうぞこちらもご覧下さい」
店長さんが金の文字で叙々苑游玄亭と書かれた黒いメニューを5つ持ってきてくれた。
俺とエースは2人でそのメニューを開く。
そこには、
「超特選カルビ……1万3千円!? 超特選タン塩……9000円!?」
「た、隆臣……これ」
エースは声を震わせてメニュー表のソレを指さした。
「A5ランク松阪牛超特選ロース芯200グラム……さ、さ、ささ……3万5千円!?」
ソレすなわちバケモノだ。
一瞬気を失いかけたが、なんとか正気を保って、ドリンクメニューに目を向けた。
ほっ、良かった。ドリンクは妥当な値段だ。とりあえずコーラ飲も。
「エースは飲み物何がいい?」
横を見ると、エースは手で両膝をさすっていた。
「寒いのか?」
スカートが短すぎて寒いんだろう。ここ結構冷房効いてるし。
「ううん! そんなことないよ! それより隆臣は何飲むの?」
エースは極めて明るくそう言った。
「俺はコーラだけど」
「じゃあ私はメロンソーダっ!」
「そっか。元気そうでよかった」
「うんっ! 私はとっても元気だよっ!」
きっと緊張してるんだ。だってこれから、アホみたいに高い肉を食すのだから。
「あっ! すげーヒトデだ!」
と言ったのは仙人だった。
あ、今思い出したけど、仙人って激大食いなんだ。これ10人で50万円とかいっちゃうじゃね?
そんな俺の心配が仙人に伝わったのか、
「大丈夫だって! 食いすぎないようにすき家でクイーン牛丼3杯食ってきたからさ! ワハハハハハ」
仙人はバカ笑いしながら言った。
何がおもろいねん。しかもクイーン牛丼って何んだよ! 聞いたことないぞ。
「そんなことよりヒトデだ! 篝、亮二、もちろんお前らも食うよな?」
「当たり前だよなァ?」
「おうとも!」
仙人に篝と亮二が興奮気味に答えた。
「いいや団子だろ!」
「そうです! ヒトデはキモチワルイですっ! でもおだんごさんはかわいいです!」
「わたしも団子派ね」
亀有さんに凛とジョーカーが便乗した。
何か始まったぞ? どうしたんだこいつら。
「七海と四谷はどっち派だ?」
亀有さんは身を乗り出して2人に尋ねた。
「おだんごさん派」
「ヒトデ派よ」
七海と四谷はまじめに答えた。
「さすが四谷! わかっているではないか!」
「さっすが七海ちゃん! 団子なんて邪道だよな!」
亀有さんと篝はそれぞれ四谷と七海の肩に手を回した。
ヒトデVSだんご戦争勃発ぅ!?
みんなは覚えているだろうか。CLANNADという伝説の神作品を。
ヒトデ派のふーちゃんとだんご大家族派の渚の歴史的名勝負である。
第一次ヒトデVSだんご戦争は和解に終わったが、果たして第二次世ヒトデVSだんご戦争はどうなってしまうのか!
To be continued!⇒
ご閲覧ありがとうございます!
この作品の日常パートは結構パロディ多いですよねw




