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第108話 魔術学園体育祭後夜祭

◾隆臣


 体育祭最終日。

 今日は野球やテニス、バスケをしていたが、特出するような出来事はなかった。午後に遊びでビリヤードとかダーツをしたくらいだ。

 そして午後5時。後夜祭が始まる。


「けぇえっかはっぴょぉおおお!」


 くるみ副会長が叫ぶ。でもまだまだダウンタウンの浜ちゃんには及ばないな。

 くるみ副会長の進行により、まずは組の順位が発表された。

 優勝は白組、2位は黄色組、3位は緑組、4位は赤組、5位は青組だった。


「続いて、スクワッドの順位を発表します! 1位は……SunnySeas!」


 え? 凛たちが1位じゃないの? たしかSunnySeaは晴海凪子のスクワッドだ。

 亀有さんが凪子さんは派閥争いをしているとか言ってた。

 憶測だけど、その争いで相手の派閥からポイントをかっさらっていたに違いない。

 だとすれば、今日も3人で下克上をがんばってた凛たちよりも総合ポイントが高くても不思議はない。

 凪子さんはスクワッドを代表して、にこにこしながらステージに登った。


「続いて2位は……WS74!」


 ダブリューエスセブンティフォー。これが凛たちのスクワッドだな。

 WはWeiß(ヴァイス)で、白という意味。SはSchwarzシュヴァルツで黒という意味。

 それぞれジョーカーと凛を表しているんだって。たしかにジョーカーと凛のイメージカラーって、髪の毛の色にそのまま影響を受けて黒と白だよな。

 関係ないけど、中3までWeißSchwarzやってたんだよねー。懐かしいわ。


「やったー!」

「やりましたわ!」

「うん!」


 凛、七海、四谷は立ち上がり、ハイタッチして喜びを分かちあっている。

 2位でも優勝したかのような喜びようだ。

 喜び方がかわいい! 笑顔もかわいいから、もうまぶしすぎる! ああ、あの輪の中に入ったら俺は蒸発してしまうのではないか……。

 って、俺は何を考えているんだ! これじゃあまるでロリコンじゃないか!

 バカみたいなことを考えていた俺の横で、しかしジョーカーはうつむいていた。

 きっと自分のせいで1位を取れなかったと思っているんだ。

 すると凛はジョーカーのところまでやって来て、手を引っ張った。


「やったねジョーカー! うれしいねっ!」


 ジョーカーは浮遊した状態で申し訳なさそうに、


「でも、わたしのせいで優勝できなかった……」


「ちがうよ! ジョーカーのおかげで2位になれたんだよ!」


 凛はにっこり笑って言った。


「え?」


 ジョーカーは小首を傾げる。


「そうですわ!」


「ジョーカーのおかげ!」


 七海と四谷もジョーカーに笑いかけている。


「ジョーカーが行ってきて。このスクワッドのリーダーなんだから」


 と、凛。


「うんっ! 行ってくる!」


 ジョーカーは満開の笑顔でふわふわステージに飛んで行った。




 凛、ジョーカー、七海、四谷の4人は賞状と一緒に第一体育館前で記念写真を取っていた。いい思い出ができてよかったな。

 そして俺は朝ぶりにエースに会う。


「エース!?」


「ちょっと男の子とケンカしちゃった」


 顔には引っかき傷ができていて、目には涙を溜めている。


「ケンカ?」


「男の子にお昼のお薬取られたの。取り返そうとしたら引っかかれちゃって……しかもお薬噴水の中に捨てられちゃった」


 と、エースは詳しく説明してくれた。


「じゃあ昼の薬は飲めてないのか?」


「うん」


「そいつは今どこにいる。エースにいじわるしたやつはガキであっても許さんぞ」


 俺は今ものすごく怒っている。エースをいじめたガキをとっ捕まえてボコボコにしてやりたい。

 すると、


「エース!」


 見知らぬ声が聞こえてきた。

 声の主の方を見てみると、そこには初等部の男子生徒が立っていた。


「その……さっきはごめん!」


 男子生徒は折り目正しく頭を下げている。

 なるほどこいつが例のガキか。

 一発ぶん殴ってやろうかと思ったが、どうやら反省しているみたいなので殴るのはさすがにやめておこう。


「凛から聞いた。お前、脚悪いんだってな。あの薬が脚の薬だってのも聞いた。本当にすまなかった」


「ううん、大丈夫だよ。1回飲まなかったくらいだし。でも、これからはいじわるしないでね?」


「ああ、わかった」


 話が終わったみたいなので、俺はドスの効いた声で、


「次エースにいじわるしたら、どうなるかわかってるよな?」


 と、男子生徒を脅しておく。まあこれ、脅しじゃなくて本気なんだけどね。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

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