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第107話 骨折れジョーカー

遅くなりました!

◾隆臣


 チームデスマッチに10ポイント差で勝利し、結果として俺たちは超アルティメットサバイバルゲームに勝利した。

 俺たち挑戦者チーム+助っ人5人は尚子とくるみ副会長に連れられ、高等部部室棟地下2階の秘密の部屋に再びやってきた。

 ついにお宝との対面だ。一体どんなお宝なんだろう!


「おったからおったからるんるんるーん!」


 凛はジョーカーの車イスを押しながら陽気に歌っている。凛もお宝が楽しみなんだね。

 そして宝箱の前までやってきた。


「おらよ」


 そう言って尚子は亀有さんに宝箱の鍵を指で弾いて渡した。

 パシッとキャッチして、亀有さんは宝箱を解錠する。


「開けるぞ」


 俺たちは無言でうなずく。

 亀有さんは宝箱の蓋をゆっくりと開いた。隙間からは黄金の光が漏れ出している。

 まさか本物のお宝が……!?

 宝箱の中には、


「これは……金塊!?」


 亀有さんの声は震えている。宝箱に敷き詰められた金塊に恐れおののいてるだ。

 すると尚子はゲスみたいな顔をしてこう言った。


「はいざんねーん! 金塊チョコでしたー!」


 ひねり潰そうかと思った。

 しかし、


「なーんてな。金塊チョコはただのオマケだ。その下を見てみろ」


 尚子に言われて亀有さんは金塊チョコを全て箱から取り出し、


「ッ! 3泊4日沖縄旅行ペアチケット!」


 と、叫んだ。


「もちろん本物だ」


 どうやらそれは5枚くらいあるようだ。

 マジかよ尚子! お前たまにはいいところあるな! 沖縄行ったことなかったから、ちょうど行ってみたかったんだよ!




 俺は三鷹家の洗面所で死にかけていた。

 全身を殴打して、くちびるからは血が出ている。痛てぇ! 痛すぎる!

 どうしてこうなったのか。これまでの経緯を説明しよう。




 お宝との対面が終わり午後1時になった。

 サバゲーチームの14人で昼食を取った後、その場でサバゲーチームは解散になった。

 保健室でジョーカーは捻挫だと言われたらしいが、念のため早退して病院に行ってみることにした。

 霊魂化して凛の体に戻れば、凛の体内由来の魔力粒子を使ってジョーカーの捻挫は痛みごとすぐに消える。

 しかし凜は左目に大魔法クレヤボヤンスを抱えており、ガイストであるジョーカーの治療に割けるだけの体内由来の魔力粒子を持ち合わせていないのだ。

 仮にジョーカーの治療を強行すれば、魔力自壊を引き起こして凛は死ぬ。

 なのでジョーカーは普通の人間のように体を修復しなければならない。

 そんなわけで俺とジョーカーは永寿総合病院にやってきた。

 レントゲン検査をしてもらったところ、なんと右足首が骨折していた。

 骨折による骨のズレがなく、関節の状態も悪くなかったので、手術が必要なかったのは本当によかったた。

 なのでギプスを填めてもらい、治療薬を処方してもらった。そして松葉杖を借りてタクシーで三鷹家に帰ってきた。

 ジョーカーと家で2人きりなんて初めてかもしれない。

 汗をかいただろうから、とりあえずシャワーを浴びてもらおう。

 ギプスは足首なので、ビニール袋でガードして、浮遊しながらなら入ることができるよな。

 唯一の問題は、ジョーカーが1人でスパッツを脱げなかったことだ。ギプスをしているのでピタッとしたものを脱ぐのは極めて難しい。

 そこで俺が手伝ってあげたんだが、ジョーカーはスパッツの下に何も履いてないもんだからジョーカーの大切なところが丸見えになっちまった。

 それに激怒したジョーカーに、俺はダークエネルギーでボッコボコにされた。



 そして今に至る。

 俺は緋鞠が小さい頃に例のあの場所を何度も見たことがあるから、あまりどうとも思わなかったが、ジョーカーはめちゃくちゃ恥ずかしかったんだろうな。

 あとで謝らなくては。

 リビングまで這って向かって、ソファでジンジンする痛みをしばらく味わっていると、お風呂場のドアが開く音が聞こえた。

 ジョーカーが上がったようだ。土下座して待とう!

 痛みを堪えて土下座の体勢を作っていると、


「ねぇ、着替えがないわ。取ってきて!」


 と、ジョーカーの声が聞こえてきた。

 ジョーカーがシャワーを浴びている間に着替えを用意しようと思っていたのに、あまりの痛みですっかり忘却していた。

 俺は凛とジョーカーの部屋でパジャマ上下とシャツとパンツを回収して、洗面所に入った。

 一瞬ジョーカーがいたらどうしようとは思ったが、ジョーカーはちゃんと風呂場にいてくれた。


「置いたぞ」


「ありがとう」


 さて、また土下座を作りますか!

 リビングに戻って再び土下座で待つ俺。

 少ししてパジャマ姿のジョーカーがふわふわ浮いてリビングにやってきた。


「さっきはすみませんでした!」


「ちょ……何してるのよ」


「土下座だ。知らんか?」


「知ってるわよそれくらい!」


「怒ってないの?」


 俺は恐る恐る顔を上げた。

 やばい、風呂上がりのジョーカーめちゃくちゃかわいい! しっとりとしめった髪の毛はジョーカーのかわいさをさらに極上のものへと引き上げている。それにいい匂いもする!

 ジョーカーに限らず、凛とかエースも風呂上がりはワンランク上のかわいさがあるんだよなぁ。毎日見てててもそう思うよ。

 するとジョーカーは俺から顔を逸らし、


「すっごく怒ってるわ! エリオット以外の男に見られたのは初めてだから! でも……隆臣は家族みたいなもんだから…………許してあげるわ」


 と言ってくれた。


「今日は……その、病院まで連れて行ってくれて……ありがとう」


 恥ずかしそうに頬をピンクに染めるジョーカー。俺はジョーカーの頭をなでなでせずにはいられなかった。体が勝手に動いたのだ。


「あ、ちょ……」


「ジョーカーもなでなで好きだもんな」


「あぅ……」


 頭をなでられると気持ちいいって凛は言ってたけど、ジョーカーも同じみたいだね。最初は嫌がっていたけど、すぐに頭を委ねてきた。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

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