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第106話 オールフォアオール作戦 超アルティメットサバイバルゲーム終了

◾隆臣


「ひゃーっひゃっひゃ!」

「ひょーっひょっひょ!」

「ひぇーっひぇっひぇ!」

「ひぃーっひぃっひぃ!」


 生徒会の4人が奇妙に笑いながら、俺たちの方にゆっくりと歩いてきた。その中にはくるみ副会長や高尾美咲風紀委員長もいる。

 ミニガンを持つのは尚子と千尋さんだけなので、この4人は脅威ではない思うが、なんかよからぬ雰囲気を感じる。


「撃て!」


 篝の掛け声で俺、凛、椿先生は4人向かって一斉に射撃する。

 しかし、


「ひゃーっひゃっひゃ!」


 その全てを避けられてしまった。


「なにッ!?」


 狼狽する篝。


「はーはっは! さすが我がかわよきしもべどもだ」


「こいつらに何をした!?」


 俺は尋ねる。


「意識操作さ。全員に清瀬の意識を分け与えたのさ」


「意識を……分け与える?」


「あいつの回避能力は神だ。あいつの意識を他人に分配すれば、他人でも清瀬のようなけスキルが身につくのさ」


 千尋さんはミニガンを構え直しながらそう教えてくれた。

 なるほど、俺たちじゃなくて味方の意識を操作したのか。

 ということは、薄男が複数人いるのと同じじゃねーか! なんだよこの無理ゲー!


「ひゃーっひゃっひゃ!」


 ――ババババババ!


 リトル清瀬と化した4人と千尋さんの一斉射撃により、俺たち4人は為す術なくキルされてしまった。




 自分以外の全員をリトル清瀬に変えてしまうなんて、頭のネジが10本くらいぶっ飛んだ先輩だ。


「ヤバイぞ! このままだと負けちまう!」


「ああ、わかっている。しかしどうする! 相手は10人の薄男と意識操作の千尋さんだぞ!」


 俺に対して篝はそう言い、頭を抱える。

 すると、椿先生はわざとらしく大きな咳払いをしてみせた。

 俺、篝、凛は一瞬椿先生の方を見たが、


『はぁ』


 同時にため息をついて目を背けた。


「どうしてため息!? ここにいるのが誰だかわかってるの!?」


 椿先生は得意げな表情をしている。


「自称永遠の18歳の35歳独身のかわいそうなおばさん英語教師の椿先生」


 と、篝はスラスラと当たり前のように答えた。


「そうよそうよ私は椿先生! お肌トゥッルトゥルでツッヤツヤでモッティモティかつ8頭身かつコンパスおばさん並の細い足を持った、みんなのアイドル椿先生よッ!」


 こいつ、自分の都合悪いことは聞こえないタイプの人間だな。

 お肌ガサガサ5等身短足小太りおばさんの間違いじゃないのか? みんなのアイドルはあながち間違いではないが。


「作戦があるのよ」


「作戦?」


 篝は椿先生に聞き返した。


「そうよ! その名も! オールフォアオール作戦!」


『……』


「その名の通りよ。リトル清瀬が大量に発生した今、個々の力では到底適わない。だからみんなで力を合わせるのよ。そうすればリトル清瀬の元凶である千尋ちゃんを倒すことができるはず!」


 椿先生は拳と拳をぶつけ合わせた。それは21歳な。お前は35歳だ。

 しかしなるほど、幼稚だが悪い考えではない。


「みんなを集めてちょうだい!」




 椿先生の言うように、俺たちはリトル清瀬たちに翻弄されていた7人を集めた。11人全員が集合する。

 そこで椿先生が告げた言葉はたった一言、「とにかくみんなで協力すること!」だけだった。

 残り時間はあと5分。俺たち11人は例の激戦区にやってきた。

 すでに770対700と点数差が70点まで縮まってしまっている。

 チャンスは一度きり。この作戦に失敗すれば、俺たちは負けてしまう。

 1階ホールの向こう側には10人のリトル清瀬と、その中央には千尋さんが立っていた。

 椿先生は一歩前に出て、


「ここは先生の私から行かなくてどうするのよ!」


 自らのジャージを破り捨てた。

 そしてそこに現れたのは、


『HKT35ッ!』


 パンティー1枚で3つのポイントを隠した究極なるファッションの女だった。

 その名をHKT35――変態仮面椿35歳というらしい。


「みんな! この私が来たからには安心して!」


 HKT35はそう言ってリトル清瀬軍団に攻め入った。

 ただのハレンチ女だと思っていたが、この女はただの変態ではなかった。


「今の私にかかれば、おもちゃの鉄砲くらい見切れるわ」


 BB弾の嵐の中を酔い潰れたような足取りで進んでいくのだ。1発も被弾せずに。


「さっすが美ボデーのわ・た・し! こんなの当たらないわ!」


 なるほどこのおばさん、自分に酔いしれてるんだ。


「助太刀致すッ!」


「あら白ちゃん」


 HKT35に続いたのは爺さん目白。


「弟子に第八感を使わせおって、おのれ物部千尋。ワシもたまには本気を出してみるか。ふん! こんなもんいらん!」


 爺さん目白はそう言って小銃を地面にたたきつけ、日本刀1本でいくつものBB弾を真っ二つに斬っていく。


「さすが白ちゃん」


「いえ。これほど大したことではございません」


 72歳の爺さん目白が35歳の椿先生に敬語を使う光景……これが魔術学園だ。

 HKT35は華麗にBB弾を避けつつも、デリンジャーで反撃する。このおばはん、自分を峰不二子とでも思ってんのか?

 爺さん目白も日本刀でBB弾を両断したり跳ね返したりしてる。

 しかし2人の反撃は虚しく、リトル清瀬たちに軽々避けられてしまう。


「アアアヌ! もう見てらんぬァいわアアッ!」


 黒きダイヤが走り出した。ゲイーズ青戸である。

 ちなみにきのうの全国高校生ボディビル選手権大会では優勝し、これで大会三連覇らしい。


「これでも喰らいなさァアアいッ!」


 ゲイーズ青戸は迫撃砲弾を手に掴み、それを地面にたたきつけ、自慢の筋肉をフル活用して投擲した。

 迫撃砲弾は敵陣のど真ん中でワンバウンドして、大量のBB弾を放出する。

 しかしこの程度の攻撃を避けるのリトル清瀬にとっては造作でもない。

 しかし、


「ぐひゃ!」

「ぐひょ!」

「ぐひぇ!」

「ぐひぃ!」


 4人のリトル清瀬が突然倒れ始めた。


「ふっ、こんなもんか」


 そう、爺さん目白はリトル清瀬の弱点をついたのだ。

 いくら回避能力がすさまじいからといって、リトル薄男では視界外からの攻撃には対応できない。

 迫撃砲弾に気を取られていたリトル清瀬の背後に回り、爺さん目白がBB弾を跳ね返して攻撃していたのだ。


「やるわねェ爺さん目白」


「お前もたまには頭が効くではないか」


 互いに認め合うゲイーズ青戸と爺さん目白。


 ――目白幸隆死亡


「アンタ男ね」


「あとは任せた」


 爺さん目白はそう言ってリスポーン地点に向かってゆっくりと歩いていった。

 そうか、爺さん目白は自分がデスしてでも4人のリトル清瀬たちを倒してくれたんだ。かっこいい! かっこよすぎる!

 しかし爺さん目白に続いて、


「はァはァ……やばい! 疲れてきた! 昔はこんなんじゃ……まさかこれって歳!?」


 ――駒込クリスティーヌ椿死亡


 椿先生は場を掻き乱しただけで死んでいった。無能めが。

 すると、


「い、いいですか? あとでほっぺをぷにぷにさせてあげますから、リトル清瀬をこの鉄砲でやっつけてかてください。それと、弾に当たったらおしおきですからねっ!」


 凛がガチロリコン板橋にそんなことを言っていた。

 四足歩行状態のガチロリコン板橋は首を大きく上下に振っている。

 凛は自分の立場 (ロリであること)を理解して、チームのために自分を犠牲にしてまでガチロリコン板橋を使役したのだ。

 なんてやさしい子なんだ! かわいい! かわいすぎる! だっこしたい! なでなでしたい!


「ごー!」


 凛が指示を出すと、


「デュッフ〜!」


 ガチロリコン板橋は超スピードの四足走行でリトル清瀬軍団に突っ込んでいった。

 ここで不思議な出来事が起こった。

 なんと銃弾の嵐が止んだのだ。

 そう、ガチロリコン板橋がキモすぎて、さすがのリトル清瀬軍団も引いているのだ。


「今だ! 前進!」


 篝の指示で、隠れていた俺、凛、亮二、亀有さん、仙人、番人はガチロリコン板橋の切り開いた道を突き進む。

 しかし、


「何か飛んできたぞ!」


「これは……C4!」


 千尋さんが俺たちの方にC4人を投げてきたのだ。


「ヤバイ!」


 ――カチッ! ボンッ!


 C4が爆発し、大量のBB弾が飛び出してきた。

 だが、


 ――赤羽涼太死亡

 ――吉祥慶介死亡


 巨躯を誇る仙人と番人が肉壁となって、俺たちを守ってくれた。

 

「行けッ!」


 仙人はそう言い、番人は親指を立ててほほえんでいる。


「チッ!」


 千尋さんは大きく舌打ちをしてミニガンを構え直し、最も近いガチロリコン板橋にBBストームを放つ。

 しかし、ガチロリコン板橋は四足歩行状態なので、超高速移動が可能。千尋さんは狙いを定めることができないのだ。


「なんだこいつッ!」


「デュフフフフ! オイラは凛ちゃんのほっぺたをぷにるのだデュフ! ババアに殺されてたまるかデュフ!」

 

 と言ってガチロリコン板橋は千尋さんの周りで狼狽えているリトル清瀬2人を両手に持ったハンドガンで仕留めた。

 隠れていたリトル清瀬2人が飛び出してきた。その中にはミニガン持ちの尚子もいる。

 しかしロリに使役された板橋は強かった。その2人も瞬殺だ。


「すごいです板橋さんっ! ってうわぁ!」


 凛が褒めると、板橋は四足歩行で凛のところに一瞬で戻ってきてた。凛は急接近に驚いて尻もちついちゃってるよ。


「アホかこいつは」


 しかし千尋さんは、そんな板橋のケツにミニガンをぶっぱなした。


 ――板橋幹雄死亡


 死んだことに気づいていないのか、板橋は目を輝かせて凛を見つめ続けている。


「まだダメです。リスポーン地点にに帰ってください」


「了解デュフ!」


 凛の言うことは素直に聞く板橋は、元気よく返事してリスポーン地点に戻っていった。

 これで残るは俺、凛、亀有さん、亮二、篝の5人と、生徒会チームの千尋さん、壁に隠れていたリトル清瀬、床に隠れていたホンモノ清瀬だけだ。

 残り時間はあと1分。ここで耐久しても勝てるわけじゃない。

 なぜならこのチームデスマッチでのキル数は生徒会チームの方が多いからである。

 総合得点では70ポイント差で俺たちが勝っているが、チームデスマッチでは1キル差で負けている。

 このままだと生徒会チームにボーナス100ポイントが入り、俺たちは負けてしまう。この瞬間が勝負の分かれ目だ。


「これを使うときが来たな」


 亀有さんがそう言って取り出したのは、


「閃光手榴弾」


 亮二が言ったように、それは閃光手榴弾――別名スタングレネードだった。


「これでやつらの目と耳を奪う。その隙に杉野、京、品川はゼロ距離まで詰めて、ヤツらを倒せ。いいか?」


 俺たちは首肯した。


「目を隠せ! いくぞ! 3、2、1……」


 亀有さんはスタングレネードを千尋さんたちの目の前に投げ入れた。

 このスタングレネードはサバゲー用だから、本物に比べれば音も光も赤ちゃんレベル。

 軽く耳鳴りがした。目はガードしていたので、視界は全然問題ない。

 この感覚、アンナとストレートを思い出すな。あのときは投げられた側だったけど。

 そんなわけで俺、亮二、篝は千尋さん、リトル清瀬とホンモノ清瀬のところまで走っていき、ゼロ距離で引き金を弾いた。



 To be continued!⇒

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