第105話 物部千尋の圧倒的強さ 四皇集結
00:10はまだ5月10日です!
◾隆臣
「あーかったりー」
物部千尋は大きなあくびをしながら言った。もちろんミニガンを携えている。
「とっとと終わらせっか」
千尋さんはだるそうに指をパチンと鳴らした。
「んじゃ、おやすみ」
その言葉が聞こえた瞬間、俺の視界は暗転した。
ああ、こんなことが……こんなひどいことがあってたまるか!
気がついたときには、740対10で俺たちがボロ負けしていた。
千尋さんが俺たち全員を眠らせて、その隙に全員でハードポイントを優雅に獲得していたのだ。
さすがにこれは反則すぎだろ! とも思ったが、こっちもさんざん反則にならない反則行為をしてきたわけだし、お互い様か。
第八感を発動していた七海と四谷もお構いなしで眠らせるなんて、バケモノすぎんだろ。
というわけで、ハードポイントは俺たちが寝ている間に終わってしまい、ついにラストのチームデスマッチを迎えた。
今のところ4ゲーム中3ゲームを制していて970対600で俺たちがリードしているが、あの物部千尋というたった1人の存在だけで、油断できない状況にある。
チームデスマッチでは通常キルでしかポイントを稼ぐ方法はないし、敵に1キルを取られるだけで20ポイント分差が埋まってしまう。
つまり14キル差がつけられてしまうと、ボーナスで100ポイントも追加されるので逆転負けてしまうということだ。
千尋さんにかかれば14キルなんてたやすいだろう。
ジョーカーはリタイアしているし、七海&四谷の第八感に再び頼りたいところだが、2人は疲労によりまだ目を覚ましていない。
魔導具持ちや第八感感覚覚醒者がいない今、俺たちはかなりまずい状況だ。
しかし絶望するにはまだ早い。
チームデスマッチは11対11の総力戦。こちらは3人が試合に出られないので6人しかいない。残りの5人はどうするのか。
そう、助っ人を呼ぶのだ。最強の助っ人を呼べば、俺たちにもまだまだ勝機はある。
この際サバゲー部やシュテルンのやつらに助っ人を頼みたいところだが、残念ながらサバゲー部に知り合いはいないし、亀有さんは凪子さんと友達らしいが、現在絶賛派閥争い中で無理だそうだ。
そこで俺たちが招集した――いや、招集せざるを得なかったのは、番人、ゲイーズ青戸、爺さん目白、ガチロリコン板橋、椿先生の5人だ。
仙人が四皇繋がりで残る4人の四皇呼び、亀有さんが自分の顧問である椿先生を呼んだのだ。
クセが強すぎる四皇にクセが強すぎる教師……正直いって頼りない5人だ。まあいないよりはマシか。
にしてもこの学校は本当におもしろいよな。謎の四皇システムに、生徒主催の行事にめちゃくちゃ積極的に取り組む教師。
ちなみに椿先生は他の先生たち3人とスクワッドを組んでいて、この4日間競技に参加していたみたいだ。
助っ人5人が千尋さんの意識操作に対抗できるような力を持っているとは到底思えないが、四皇の名を信じるしかない。
チームデスマッチが始まってしまった。制限時間は13分。
作戦はとにかく敵を見つけたらキルをし、千尋さんを見かけたら速攻逃げる、だ。
攻撃は最大の防御。敵にキルされないように立ち回っていてもジリ貧なので、とにかくキルを意識して立ち回ることにした。
生徒会チームはとにかくキルが必要なので、千尋さんは俺たちを試合終了まで眠らせるわけにはいかない。
だから千尋さんは意識喪失以外の技を使ってくるだろう。いずれにせよ千尋さんに近づいてはいけないことは明白だ。
そんなわけで、俺は中央ビルの1階ホールまでやってきた。ここは激戦区になるぞ。
近くには凛、篝、番人、ガチロリコン板橋、椿先生がいる。
他のメンバーは別のルートから激戦区に入ることになっている。
篝はフラググレネードをビルの反対側の敵チームめがけて投げたが、惜しくもキルを取ることはできない。
このグレネードで敵をキルする必要はない。敵を牽制しできればいい。
続いて番人はロケットランチャーを担いで、向こう側の壁にロケット弾を発射した。
ロケット弾が壁に当たると、弾頭から大量のBB弾が飛び出し、生徒会チームの1人に命中したようで、キルを取っていた。
番人は細い目をもっと細め、親指を立てたが、
――吉祥慶介死亡
スナイパーに頭を射抜かれて華麗に散っていった。何やってんだこいつ。
「ぬぉぉおおお! くるみたんがおるではないかデュフ〜!」
するとガチロリコン板橋は物陰から飛び出し、一直線に敵陣の方に走っていった。
このバカッ! こんなところでロリコン発動してんじゃねーッ!
「え!? なになに! わっ! 板橋っ!? きゃー来ないで〜!」
――ズダダダダダ
尻もちをついたくるみ副会長は、かわいい悲鳴をあげながらガチロリコン板橋にMP5をぶっぱなしている。
キルされたはずなのになぜか歩を止まらない板橋。
「オイラは死なないデュフ! くるみ副会長にタッチするッ! その時ま――」
「――キタナイ」
「ちー姉!」
くるみ副会長は目をきらきらさせてある人物を見上げた。物部千尋だ。
千尋さんは四足歩行で向かってきた板橋を意識操作をつかった何らかの方法でダウンさせた。
さっそくボスが登場ってわけか。
てか板橋によるゾンビ行為でマイナス100ポイントされたし! 板橋……許さんぞ!
「よしよーし。くるみちゃ〜ん、よろしく頼むよ〜」
千尋さんはくるみ副会長の頭をなでなで。くるみ副会長はうれしそうにほほえんだが、
「ひゃーっひゃっひゃ!」
突然奇妙な声を上げて立ち上がったぞ。
「ひょーっひょっひょ!」
「ひぇーっひぇっひぇ!」
「ひぃーっひぃっひぃ!」
そして壁の陰から、同様に奇妙な声で笑う生徒会の3人が現れた。
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