第104話 ハードポイント 生徒会執行部の上級感覚覚醒者
◾凛
七海ちゃんの第八感は風神こと志那都比古神と同化すること。
シナツヒコノカミは伊邪那岐神と伊邪那美神の子どもで、日本神話に登場する風の神である。
第八感は神話や伝承上の神及び生物と同化する上級感覚で、神霊や霊獣との相性がよくなければ会得することは不可能なんだって。
神様だって暇じゃない。人に付き合うってことはその人のことを相当信頼してるってことだよね。
神様から信頼を得るためには、第七感のチャネリングで交信して関係を築いていく必要があるんだって。
十六夜家は古来より交霊術や降霊術を行っていて、それで風神のシナツヒコノカミや雷神の建御雷神とかなり仲がいいと聞いた。
神様と仲がいいってすごいよね。わたしには想像できないな。
にしてもシナツヒコさんの声って渋くてかっこいい! 中田譲治さんみたい!
そんなわけで、七海ちゃんの第八感のおかげで卑怯な生徒会チームにまたまた勝利することができた。
残るはあと2試合。ハードポイントとチームデスマッチだ。
ハードポイント。これも5人1部隊で行われるモードで、60秒ごとにA→B→C→D→A……のようにローテーションする拠点を合計250秒間占拠していれば勝利となるモードだ。
拠点内に1人でも味方がいれば、10秒ごとに10ポイント加算される。
通常キルで10ポイント、デスでマイナス10ポイント、拠点内キルで50ポイント、拠点確保でボーナス50ポイント、勝利チームにボーナス100ポイントだ。
一見難しそうなルールだが、とにかくハードポイントは敵をキルするよりも拠点を占拠する方が大事なのだって。
次の拠点があらかじめわかるので、味方が固まっているとすぐに次の拠点を占拠しに行けないない。そのためできるだけ散らばることが大事だってジョーカーが言ってた。
ジョーカーはシューティングゲームも結構やるから、こういうのに詳しくてすごく助かる。さすがプロゲーマーと一緒にゲームしてるだけあるよ。
■隆臣
ハードポイントがスタートした。
メンバーは俺、亮二、篝、十六夜七海、十六夜四谷だ。
そして敵部隊には生徒会執行部唯一の上級感覚覚醒者がいる。
名前を物部千尋といい、高等部2年で文化委員長を務めており、実の弟は初等部生徒会長の物部薫なんだとか。
そんな千尋さんは第九感覚覚醒者で、意識操作の能力を目に宿していると亀有さんが言っていた。
でも誰もその能力の詳細を知らないから、対策を考えることができない。
ゲーム中に千尋さんの能力を看破して、方策を考えなければならないようだ。
俺たち5人は全員で最初のハードポイントへ向かった。ある程度時間がたったら3人が次のハードポイントに向かう作戦だ。
敵部隊も3人ほど現れた。もちろんミニガンは継続して持っている。
千尋さんはいないようだが、非能力者なのに能力者ばりの回避能力を誇る薄男もいる。
俺は敵部隊より先に拠点内に入って秒数を稼ぎ、拠点前で亮二、篝、七海、四谷に拠点を防衛してもらう。
上級感覚――特に第八感は発動時に酷く疲労してしまうようだが、七海と四谷にはまだ第八感を発動してもらっている。
だから明日の打ち上げの際には、このサバゲーチーム+αで叙々苑に行って、七海&四谷の分をみんなでおごることになった。
体育祭の打ち上げで叙々苑に行くなんて……やっぱり金持ち学校の生徒は違うな。
やっすい食べ放題の店で打ち上げをしていた中学の頃が懐かしい。
おっと、話を戻そう。
薄男を含めた3人はミニガンをぶっぱなしてきた。
しかし、風神と同化した七海は先ほどと同様、強烈な風でBB弾を吹っ飛ばす。
それに続いて雷神と同化した四谷が雷撃により3人の持つミニガンをぶっ壊す。
やつらがミニガンを使えなくなったところを、亮二と篝は正確な射撃で薄男以外の2人を撃破した。
薄男がサブ武器のガバメントを取り出したそのとき、
「邪魔だ」
髪の毛ボサボサ&メガネの女子がかったるいそうに薄男を制した。
「物部姉」
薄男が言った通り、そいつは物部千尋だ。
「清瀬、お前の回避能力があってもこいつらには勝てない。次のハードポイントに向かえ」
「くっ……了解しやした」
薄男は悔しそうに千尋さんの言葉に従い、次の拠点に走っていった。
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