第103話 尚子の秘策VS七海ちゃんの第八感
◾亮二
中等部の頃から豊園尚子が何を考えているのかわからなかったが、今になってもわからない。
第2ラウンド。ヤツは部隊全員にバケモノを持たせていた。
バケモノというのは、弾数無限、レート最速、リロードなしの最強武器――その名もミニガンである。
ミニガンを尚子も含めた5人が持っているなんて、いくらなんでもヤバすぎるだろ
そんなわけで始まったラウンド2。
ヤツらは全員浮遊装置を使って空から現れ、上空から銃弾の嵐を降らせた。
俺たちは為す術もなく蹂躙されてしまった。
ラウンド3も同様、俺たちは空からの攻撃により壊滅した。
てかミニガンは反則すぎだろ! 俺たちの武器庫には置いてなかったぞ。さすがは極道生徒会長。なんでもありだな。
そしてラウンド4。俺たちはメンバーを入れ替えた。
◾隆臣
次のメンバーは俺、凛、七海、篝、仙人だ。
攻守交替で、俺たちが攻撃側になる。
空中からのBB弾の嵐を避けるためにはBの爆破地点(ドミネーションのB地点)を狙う必要がある。
だがヤツらは俺たちがここを攻めることを確実に予測できている。
待ち構えられていたら撃ち合いでは勝てない俺達に為す術がない。
しかしこっちにも秘策がある。凛の未来予見と七海の第八感だ。
運良く生徒会チームのこの部隊には上級感覚覚醒者がいないので、魔法方面でどうにかするしか勝つ方法はない。
そんな俺たちの作戦はこうだ。
とにかく屋根のある場所に隠れて、篝と仙人には囮になってもらい、俺、凛、七海がB地点まで向かう。そこで凛が数秒先の未来を予見し、七海の護衛で俺がB地点に爆弾を仕掛けるというものだ。
第4ラウンドがスタートした。
俺は爆弾を回収し、5人全員ですぐに屋根のある場所まで移動する。
すると浮遊装置の音が近づいてきた。ヤツらが来たのだ。
尚子も含めた5人全員がミニガンを構えて上空から俺たちを探している。
「最初は俺が行く。お前らはこの生垣に沿ってタワーまで移動しろ」
と言って篝は飛び出した。
「行くぞ!」
俺たちはその隙に生垣に沿ってタワーに突っ走る。
――バラララララララ
「ぬぁああああ!」
篝が蜂の巣にされた。
――京篝死亡
続いて仙人が死にに行った。
――赤羽涼太死亡
篝、仙人! お前たちのおかげで俺たちはタワー内のB地点まで来れたぞ! お前たちの決して死は無駄にしない!
俺たちの部隊は俺、凛、十六夜姉の3人だけになってしまった。
ここで凛が眼帯を外す。青藍色の宝石のような瞳が顕になる。立体的で複雑な魔法陣が瞳の中で回っている。
久しぶりに凛の左目を見たが、やはり見とれてしまうほどに美しい。
さて、ここまで来たら後は凛と七海の力を信じるだけだ。
俺は目標物に爆弾を貼り付け、小型パソコンで次元爆破のプログラムを起動する。
これには20秒ほどかかってしまう。その間はこの子たちに全てを任せよう。
■凛
尚子さん率いる5人がすぐにわたしたちのところまで来て、ガトリングをぶっぱなす未来が見えたわたしは、ラウンドが始まる前から第七感を発動させていた七海ちゃんにその旨を伝えた。
七海ちゃんはうなずいて大きく深呼吸する。すると、周りの空気が一瞬のうちに冷たくなった。
「ワシに任せよ」
七海ちゃんはいつものかわいらしい声ではなく、渋くてかっこいい声でそう言った。
どうやら第八感まで到達したみたいだね。第八感は第七感の延長線上にあって、第七感を発動するまでにも時間がかかるが、第八感を発動するには第七感発動後にさらなる時間を用する。
七海ちゃん曰く、霊獣や神霊、宇宙的存在を呼び出してこの世界に来てもらうまでに時間がかかるからなんだとか。
わたしには縁遠くてよくわからないや。
とにかく、第八感が発動できたからには、地獄のBB弾ストームもなんとかできるかもしれない!
数秒後、ガトリングを持った5人がわたしたちの周りを取り囲み、一斉にBB弾を放ってきた。
敵部隊は完全に勝ったと思っただろう。観客も完全にわたしたちが負けたと思っているだろう。
しかしわたしだけは違った。そう、わたしたちは勝つからだ。
瞬間、飛んできたBB弾や敵部隊の5人、床に配置されていた障害物の全てが吹っ飛んだ。
ジョーカーの斥力操作のようにも思われるその光景だが、それは七海ちゃんの第八感によるものだ。
「風神であるワシにかかれば、この程度朝飯前よ」
と、七海ちゃんは渋いおじさんの声で言った。
To be continued!⇒
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サーチアンドデストロイは今日で終わりです。明日から3〜4日でハードポイントとチーデスを終わらせて、その後に五日目を3日くらいで終わらせます。だから第二部第一章もあと一週間くらいで完結です。第二部第二章をお楽しみに(書きだめできてなくてやばめですw)!




