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第101話 よわよわ豆腐メンタル ドミネーション終了

◾隆臣


 薄男の作戦勝ちだった。

 さっきの撃ち合いを制したのは、4キル1デスで俺たちだったが、その1デスがジョーカーなのが作戦負けしたことの何よりの証拠だ。

 俺の横でジョーカーは呆然と立ち尽くしていた。


「じゃあな黒ロリ」


 亀有さんにキルされた薄男はそう言って満足気にリスポーン地点に歩いていく。


「どうして……このわたしがキルされるなんてっ!」


 ジョーカーは悔しそうに小さな拳をぎゅっと握りしめている。


「わたし、負けたくなかったのに……。1回も死にたくなかったのに……」


 こりゃあ相当落ち込んでるな。話しかけるのもはばかられるくらい。

 ジョーカーはうつむいてブツブツつぶやきながらリスポーン地点へ向かっていった。




 ――ジョーカー死亡


 ジョーカーはリスポーンした直後に薄男にキルされた。リスキルだ。


 ――ジョーカー死亡


 続いてチャーリー側でも薄男にリスキルされている。

 薄男お前、走って先回りしてジョーカーをリスキルしに行っているな。狡賢い野郎だぜ。

 ジョーカー、あいつ大丈夫か?

 どうしてリスキルされるんだ? 斥力バリアを常に張っていれば殺されることはないのに。

 俺はジョーカーに会って話をするために自分から死にに行った。

 A旗付近で交戦しているので、C旗から少し離れた場所がリスポーン地点になるはず。

 早歩きでそこに向かっていると、地面の小石を蹴飛ばしながらとぼとぼ移動しているジョーカーに合流した。


「ジョーカー、さっきからどうした」


 俺は尋ねる。


「隆臣? ……わたし、もうダメだわ」


「どうして」


「だって、もう3回も死んじゃったから」


「弱気だな。らしくないぞ」


「……」


 ジョーカーは黙ってしまった。


「お前は最強の黒の魔女だろ? もっと胸張れよ!」


 胸ないけど。


「時間操っちゃえよ。いっそデスしたこともなかったことにすればいいだろ」


「無理なのよ」


「無理?」


「ロザリオ、さっきリスポーンしたときにKKKトリプルケーに取られちゃったから……」


 おいおいマジかよ。めちゃくちゃ大事なものを他人に取られるなんて、何やってんだこいつ。

 そんな会話をしているうちに、俺たちはリスポーン地点に到着してしまった。リスポーンせざえ得ない。


「斥力バリアも攻略された。魔法だって使えない。わたしはただの……ゴミなのよ」


「何言ってんだよ! はやくロザリオを取り返しに行くぞ! あれはお前が生前、命に変えても守り抜いた大切なモノだろ! 誰にも奪われるなよ! ロザリオ事件の中心もロザリオだった。俺たちはボスにロザリオを奪われないように命懸けで戦ってきた。そんなものを薄男ごときに奪われるなよこのバカ!」


「……」


 ジョーカーの頬に二筋の涙が流れた。

 泣くなよ。かわいすぎて説教できなくなるだろ。ジョーカーは強がりなくせに実はよわよわ豆腐メンタルなんだな。そんなところもかわいいが。


「どうして……わたしはいっつもこうなるの? ガイストになったら変われると思ったのに、やっぱりわたしはわたしのまま。人に嫌われてばっかり……。隆臣にも嫌われて……」


「何言ってんだよ! 俺がジョーカーを嫌いになるわけないだろ! 俺はネガティブなジョーカーが嫌いなんだよ! いつもみたいに楽観的なジョーカーが好きなんだよ!」


 バカジョーカーに俺は本心を告げた。

 そして、


「ちょっ、隆臣!?」


 ジョーカーを思い切り抱きしめた。ちっちゃくて抱き心地がいいな。甘い匂いと温かな体温がすげーきもちいい。もっと抱きしめていたい。


「薄男からロザリオを取り返せ」


 俺の背中にいくつものBB弾が当たった。

 急に抱きついたのは、壁となってジョーカーがリスキルされないようにするためでもある。


「じゃあなジョーカー。次合流するときは、笑ってろよ!」


 俺はそう言って次のリスポーン地点に向かった。


◾ジョーカー


 隆臣の今の言葉、わたしが死ぬ直前にエリオットから言われた言葉だ。

 なんかその言葉を聞いたら色々吹っ切れてきた。

 わたしの目の前にはあの忌々しきKKKがいた。

 あんなザコにわたしは怯えていたの? なっさけない。


「黒ロリ、もう君はおしまいだ」


 紙ペラがなんか言ってるわ。


「散々わたしをコケにしてくれたわね。でもあんたなんかもう怖くない!」


「取り返してみろよ。時間を止められない君には無理だと思うけどね」


 絶対痛い目見せてやる!


「2秒で取り返してやるわ」


「万有引力で無理やり奪い取ろうってのかい? そんなことしたらロザリオちぎれちゃうよ?」


「違うわ」


 次の瞬間、わたしはKKKは後方に吹き飛ばした。


「何ッ!?」


「ダークエネルギーよ」


 そして飛翔アーマーを水平方向に使って一気にKKKに肉薄。紙ペラが握るロザリオの十字架部分に、わたしは左手の親指の血を万有引力操作で飛ばして付着させる。

 時間が止まった。

 わたしはすぐにロザリオを奪い返し、KKKの顔面に向けて2丁の93Rを全弾発射する。

 時間が動き出すと、2丁分40発のBB弾が全弾KKKの顔面に命中した。


「わたしに勝とうなんて100年早いわっ!」



 To be continued!⇒

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