第98話 フリーフォーオール ゲームセット
■隆臣
ARグラスにリスポーン地点が表示されたので、俺はそこまで歩いて向かいリスポーンする。
今度はできるだけ早く建物の中に入った。中央のタワーからは少し離れた、2階建ての店を模した建物である。
すると、
――ダタタタタタ
どうやら2階には敵がいるようだ。
入口のドアは開放されていたので、俺が入店する音は聞かれていないはず。
俺はM16を構え、忍び足で階段へ向かう。慎重に……少しの物音も呼吸音も出さないように。
だが、
――ギシシギシギシ
と、階段のたわむ音を出てしまう。
――ト、ト、ト、ト、ト、
敵の小さな足音が聞こえてくる。
どうやら俺の存在がバレてしまったようだ。
こうなったらコソコソしていてもしょうがない。
俺はグレネードを手に持ち、安全装置を外す。
そしてそれを階段の踊り場から2階に放り投げる。
少しして破裂音が聞こえ、それと同時に、
「痛っ!」
かわいい声が聞こえてくる。この声は……。
俺は急いで2階に向かった。
するとそこには……、
「凛!」
やっぱり凛がいた。迷彩服にキャップ帽姿もかわいいなぁ。
「隆臣!? ひどいですっ! グレネードを投げ込んでくるなんて!」
「ごめん」
と言って俺は凛に歩み寄る。
「容赦ないんですね」
「うん。だって戦いだから」
「まあいいです。なでなでしてくれたら許してあげます」
凛は笑顔でそう言って、キャップ帽を外して俺に頭を向けてきた。
「まったくしょうがないなぁ」
俺は頭をなでるために凛に近づく。
1歩近づく度に凛がどんどん笑顔になる。逆に1歩後ずさるとしょんぼり顔になる。何これおもしろい!
凛の笑顔が最高潮に達したそのとき、床から無数のBB弾が飛んできた。
「え?」
「はい、隆臣しぼ〜う!」
何が起こったのかよくわからなかったが、下を見たら一目瞭然だった。
「これは……クレイモア地雷」
「わたしが設置したんです」
「今のはひどくね?」
「へへへっ」
デス後に会話することは反則行為だけど、かわいいからチクらないでおこう。だってかわいいは正義だから!
「はぅぅ」
なでなで。凛はなでられると子猫みたいになるんだよなぁ。ますますかわいい!
「きもちぃれすっ!」
凛はふにゃーんととろけている。
「それはよかった」
ピンク色のほっぺたをぷにぷにしてみたが、桜もちみたいにモチモチしていてとてもきもちいい。
「よし、じゃあリスポーンするぞ」
「はいっ!」
俺と凛は別々のリスポーン地点に向かい、それぞれリスポーンをした。
残り時間あと10分か。そろそろポイントをかせがないとな。
味方チームを見つけても見なかったフリをして、敵チームを見つけたら全力で倒しにいこう。
そんなことを思っていると、ちょうど敵チームの誰かが中央タワーの方に走っていくのがわかった。
距離はおおよそ20メートル。射程圏内だ。
俺はすぐさまM16を構え、偏差を考えてフルオートで撃つ。
38ダメージが4、5発入ったが、シールド(シールドを回復するアイテムはフィールド内に点在していて、HPとは別に100まで回復することができる)をマックスまで回復していたようで、室内に入られて仕留めきることができなかった。
だが敵は激ローだ。詰めよう!
俺は別の入口からタワーに入り、足音を忍ばせて激ローの敵を探す。
するといたいた。壁の角で俺が来るのをガン待ちしている。でも残念だな。俺はそっちの入口からは入らなかったんだぜ。
俺はM16で敵の頭にBB弾を放ち、確実にキルを取った。
そんなこんなで10分間のフリーフォーオールが終わった。
俺の最終スコアは6キル4デスでたったの20ポイント。
そしてフリーフォーオール1位は言わずもがなジョーカーで、合計は11キル0デスとボーナス100ポイントで210ポイントだった。
2位の亮二は8キル3デスとボーナス50ポイントで100ポイントだから、ジョーカーの圧勝だった。
ちなみにチームとしては30ポイントしか入らなかった。
けどまあ、フリーフォーオールは練習みたいなものだ。
本番はこれから。次は大量得点が狙えるドミネーションだ。
To be continued!⇒
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