表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/363

第97話 カミ回避清瀬の奇策

■ジョーカー


 ――バララッバララッ!


 隆臣の顔面に向けて放たれた6つの弾丸(BB弾)。

 それらは軌道を変えて隆臣の顔面を避け、後ろの狙撃手へと飛んでいく。

 相手は隆臣が邪魔でわたしを狙撃できないが、ガイスト能力――万有引力操作を使えば、射線や射程距離、敵の動きはわたしにはまったく関係ない。問答無用で百発百中よ。

 弾丸は非物理的軌道を描いて屋上へ飛んでいくが、ガイスト能力効果範囲である半径10メートルから外に出てからはあとは物理法則の影響を受けてしまう。

 狙撃手はそれらを避けようとするが、6発がうまい具合にバラけてくれたので、


「ヒット」


 そのうち4発が胴体に命中した。

 HPヒットポイントは100。わたしの93Rの一発あたりのダメージは31。距離減衰でダメージが26まで減少されたが、なんとか倒すことができた。


「ふふっ! いっちょ上がりっ!」


 キルログを見る。このスナイパー、蘭ではない。敵チームの知らない人だわ。

 わたし……すっごく楽しんじゃってる。やっぱり戦うのって楽しい。PCゲームで無双するのもいいけど、実際に体を動かして自分の能力や魔法で敵と戦う方が断然いい。

 こんなわたしってやっぱり変かな? 女の子なのに戦うのが好きって、変わってるのかな?

 でもこれがわたしのさが。どんどん敵を見つけてガンガン倒してやるわっ!


 ――ズダダダダダダダ


 おっと奇襲ね。

 けど、わたしを中心に半径2メートルで斥力バリアを張っているから、弾はすべて跳ね返るわよ。


「さっそく君に会ってしまうとは、

俺も運がないようだ」


 目の前に薄い何かが現れた。体も気配も薄い清瀬薄男という男だ。


「噂には聞いているわ。あなたがKKKトリプルケーね」


「そうとも言われているな」


 斥力で跳ね返した弾丸を、紙のように薄い体でひらひら全部避けるとは、さすがカミ回避清瀬の名前は伊達じゃないわね。

 面白そうな相手だし、とりあえず遊んであげよう。

 わたしが2丁の93Rを構えると、薄い男もヴェクターを構えた。

 先に仕掛けたのはわたし。まずは相手の動きを見ることが重要。

 3点バーストでペラペラ男の胴体に連射する。

 10メートルほどしか離れていないのに、薄い男は全弾回避した。未来予見並の動体視力ね……素直にすごすぎるわ。

 未来を予見することは、クロノスかカイロスを第八感で体内に宿すか、クレヤボヤンスを宿さない限り不可能だ。第九感では到達できない。

 実際、凛の未来予見も第九感っぽいけど本当は大魔法だし、未来予見の大魔法は禁忌魔法だから、作った本人以外は誰も構造を知らないから、クレヤボヤンスの所持者である凛以外に魔法で未来予見できる者はいない。

 それにこの男が第八感覚醒者だとは到底思えない。

 単純に第六感が強くて身体能力が高いのね。驚きだわ。


「次はこっちの番だ」


 そう言って薄い男は手にグレネードを構え、安全装置をはずした。そしてそれをわたしに向かって投てきしてくる。


「無駄だわ」


 わたしはダークエネルギーを用いて空中でグレネードを破裂。大量のBB弾がばら撒かれる。

 こんなことわたしには無意味だってわからないのかしら。

 斥力場によりわたしにはBB弾は一発も当たらない。


「ふふっ。おバカさんねっ! ……ってあれ!?」


 わたしはペラ男に銃を向けたが、しかしすでにそこにはペラ男の姿がなかった。

 周りを見渡してみるが、男はどこにも見当たらない。気配が薄すぎてそれすら辿れない。

 すると、


「え……どうして!?」


 いつの間にかこめかみに拳銃を突き付けられていた。まるで時間でも止められたかのように、まったく気づかなかった。

 でもこの世界で時間を止められるのは、わたしと、クロノスやカイロス、カオスだけ。

 こいつ……強すぎる。気配が薄すぎる!


「君、地面に接している部分だけは斥力バリアを発生させられないんだね。だからマンホールから地下を通って入門してきちゃった」


 足元を見てみると、たしかにマンホールの蓋が開けられている。さっきまでペラ男がいた近くのマンホールの蓋も同様だ。

 なるほど、グレネードはあくまでデコイだったのね。まさかマンホールを使って来るなんて思わなかったわ。てかマンホールと下水道まで再現するなんて、この生徒会頭おかしいわ!

 BB弾が目の前まで飛ん来ると怖いので、少し大きめに斥力場を張ってたんだけど、もっと小さくしておけば入門されることはなかったのに!


「討ち取ったり!」


 男が引き金を引こうとしている。

 わたしは左手の人さし指にはめたプラチナの指輪の小刀で左手の親指を切り、血を出す。

 それを腰にぶら下げたロザリオの十字架部分につけ、大魔法を発動させる。


「ふぅ、間に合った」


 時間が止まった世界で、わたしは男から離れ、


「頭のキレはいいわね。さすが生徒会書記だわ」


 弾を節約するために、単発に切りかえて2発だけ男の額に放った。ヘッドショットのダメージは2倍だから、ちょうど2発で倒せる。

 わたしが直接関与していないものは、時間が止まった状態を維持し続けるので、命中する直前にBB弾が空中で止まる。


「時間よ動き出せ」


 わたしの一声ですべての時間が元に戻った。

 男の額に2発のBB弾が命中。


「ッ!?」


 信じられないといった顔だ。


「ふふふっ」


「お前……本当に時間をッ!」


「死人に口なしよ」


 わたしはくちびるに人差し指を当てて、やさしくほほえみながら言った。



 To be continued!⇒

ご閲覧ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ