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第96話 開幕! 

遅くなりましたー( •̥ ˍ •̥ )‬

■隆臣


 そして翌日の午前10時頃。

 俺たちは跳躍力ちょうやくりょく増強外骨格型超高機動パワードスーツと魔力石駆動式浮遊装置を身につけ、第三野外競技場の控え室にいた。

 強化外骨格と浮遊装置を両方同時に身につけていても、そんなに重さを感じない。こりゃすげーや。

 魔力石駆動式というのは、魔力石からの魔力源由来の魔力粒子を、魔力粒子変換装置コンバーターというもので体内由来の魔力粒子に変換し、それを魔術を用いるという仕組みだ。

 ちなみに魔力粒子変換装置コンバーターを世界で初めて開発したのは、あの片瀬さんだ。

 片瀬博士は学生時代の和也さんが所属していた研究室の教授で、今では共同で魔法マテリアルの研究・開発を行っている。

 日本はアメリカに次ぐAI大国だが、科学技術が発達した先進国の中ではヨーロッパ諸国に並ぶ魔術都市でもある。

 先端科学と魔術を融合して利用するという点では、アメリカとイギリスを掛け合わせたような国だ。

 実際、日本の電気のおよそ4割は魔力発電によるもので、それまで主流だった火力発電の割合を8割から3割まで減らした。残りの3割は再生可能エネルギー発電や水力発電、水素発電によるものだ。

 魔力発電による危険性やCO2排出はまったくなく、無害な残滓粒子が生成されるだけなので、環境問題が騒がれる現代ではかなり主流な発電である。

 他にも、今年の海の日に開設されるマリーンエデンでは、様々なAI技術や先端魔法マテリアルを用いて15年先の未来都市を再現しているのだという。




 俺たちの目の前には多量のトイガンが並べられている。

 ハンドガン、サブマシンガン、アサルトライフル、ショットガン、スナイパーライフルなどがあるがそれらの名前まではよくわからない。

 亮二と篝曰く、これらは全てガスガンというもので、液体から気化したガスの圧によってBB弾を発射する仕組みなんだとか。

 俺たちには銃に詳しくないので、亮二と篝に適当に武器を選んでもらった。

 俺と仙人はM16とかいうアサルトライフルと、サブ武器としてガバメント。

 亀有さんはL96というスナイパーライフルとサブ武器に92Fというピストル。

 凛と十六夜姉妹はピーちゃんとジャッジという散弾リボルバー。

 亮二と篝は立ち回りを活かすために機動力のあるサブマシンガンのMP5にガバメント。

 ジョーカーは93Rという3点バーストで撃てる拳銃を2丁。魔法や能力を積極的に使うために、機動力重視の二丁拳銃だ。

 また、トイガンなのに銃の種類によって射程が違うらしい。それはこのおもちゃがただのガスガンではなく、魔法マテリアルであるためだ。

 バレルを通過するときにBB弾が特殊な魔性帯びて、空気中で一定数の魔力粒子と衝突するまで真っ直ぐ飛ぶように作られているんだとか。

 そしてもう1つ、普通のサバイバルゲームと異なるのは、一定以上のダメージを受けとデスになるという点だ。

 俺たちが着ているこのユニフォームも魔性を帯びた特殊な素材でできていて、どの銃から発射されたBB弾かを読み取り、距離減衰も含めてダメージ計算をするんだって。

 一定以上のダメージを受けるとゴーグル視界内に通知が来るようになっていて、それで自分がデスしたか分かるようになっている。

 ちなみにデスすると実行委員からリスポーン場所を指定され、そこまで歩いて向かい、リスポーンすることになる。

 このゴーグルはいわゆるAR(拡張現実)グラスで、自分の体力や、ミニマップ、武器の残弾数などのHUDを表示することができる。

 俺たちは9人で生徒会チームは11人なので、尚子ともう1人が最初は控え室らしい。




 最初はフリーフォーオールだ。

 フリーフォーオールって味方をキルしてもチームとしてはプラマイゼロだよね。

 でも同じチームだからといってキルをしなかったら、それは反則でマイナス100ポイントだから、誰でも容赦なくキルしないといけない。


『10、9、8、7、6……』


 カウントダウンが進む。

 第三野外競技場内は小さな街のようになっており、製作者の努力が目に見える。

 中央には5階建てのタワーがあり、その周りには3階建てや2階建ての建物がいくつかある。車や生垣など、遮蔽物が結構見当たるな。


『5、4、3、2、1……よーい! スタートっ!』


 かわいらしい声とともにゲームが始まった。

 ゲーム好きのジョーカーが、足音を注意深く聞いた方がいい、って言ってたけど、正直屋内じゃないとなかなかわからないよな。

 なので大事なのは位置取りポジション。俺は強ポジを探しに行こうと足を踏み出した。

 その瞬間、1発のBB弾が俺の顔の横を通り過ぎていった。

 撃たれたのだ。俺は咄嗟に低い生垣に身を隠す。危うくスポーンキルされるところだったぜ。レインボーシックスじゃないんだからやめてくれよな。

 きっと俺を撃ってきたやつは、スタートする前から俺を見つけてたんだ。だからスタートした直後に狙われた。

 よし、エースの分割高速演算にアクセスしたときの感覚を思い出せ! そして推測するんだ! 弾の飛んできた方向を!

 そういえばエースは今頃何しているだろう? 友だちと楽しくやってるかな? って! んなこと考えてる場合じゃねー!

 俺のスポーン地点は遮蔽物が多い場所だから、横からはきっと見えない。となると、上から俺を見ていたに違いない。

 そしてあの弾道。敵は中央のタワーだ。おそらく最上階の窓か、屋上から撃ってきたんだろう。

 敵は俺の位置を把握しているが、俺は敵のだいたいの位置しか特定できていない。

 ここは一旦逃げるのも手だな。

 そう思い至り、できるだけ体勢を低くして次の遮蔽物へ移動する。


 ――パスンッ!


 背後から着弾音。

 どうやら偏差の計算を誤ってくれたようで、弾は俺の背中側に飛んでいった。危ねぇ。

 俺は車の陰に隠れる。

 そして1つだけわかったことがある。

 連射してこないことから単発銃だな。射程から考えてスナイパーライフル。

 スナイパーライフルを使っているのは亀有さんか敵チームの誰かだ。

 俺のM16でも一応射程距離内だが距離減衰もあるし、きっとガン待ちされているから撃ち負ける。

 と俺が考えていると、


 ――バババッ! バババッ!


「ッ!?」


 次々と俺に弾が当たった。地味に痛い。


「わたしからは丸見えよ。隆臣」


 眼前には両手に拳銃を握り、風に漆黒のツインテールをなびかせたジョーカーが立っていた。


「ヒット!」


 俺はそうコールして立ち上がり、スナイパーからジョーカーへの射線を切りつつ、


「スナイパーに気をつけろ」


 と、警告してあげる。

 しかし警告は無駄だった。

 ジョーカーは俺の顔に2つの銃口を向け、同時に引き金を引いた。



 To be continued!⇒

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