木管の響き
エレクトーンあるある「演奏機会がない」。合唱の伴奏とかはピアノやってる人が引き受けるし、むしろ自分はピアノそんなに上手じゃないと思ってる。もちろん学校にエレクトーンはないので、周りの人には楽器やってる人だと認識されにくい。
B-107…ここであってるよな…?
「失礼します…」
「あっ、こんにちは!もしかしてメールくれた子…?」
机が並んだ教室に、女子が二人、話かけてくれたのは、スーツに身を包んだ、いかにも先輩、って感じのひとだ。もう一人の人は…小柄で、ちょっとオタクっぽい…?
「はい、あの、ここ、エレクトーンで合ってますか…?」
「うんうん、えっと、どうしよう…ちょうどその話してたんだよね。とりあえず、そこ、座って?」
と、言い終わらないうちに、もう一人。ドアをノックする音が。
「…。」
「あ、えっと、エレクトーンだよね?」
「…。」
「あー…とりあえずそこ座れる?」
「…。はい。」
何というか、静かな女の子だ。多分何かしゃべってるんだろうけど、ここまで聞こえてこない。謎の女子が着席したのを見て、先輩が話し始めた
「とりあえず自己紹介するね。私はカオリ、心理学科の4年で、今ちょうど就活の時期なんだ。今日もこの後就活があるから、私は失礼するね。こっちにいるのが…」
と、指さした先にいる、もう一人の先輩が話し始めた。
「アオイです。ロシア語学科の2年で…」
「えっ、ロシア語学科なんですか!?あっ、いや、僕もロシア語で…」
「嘘!?すごい本当?なになに?ロシアの何が好きなの!?」
「あっ、えっと、雪が降るところ…」
まずい、あまりの勢いに本音を言ってしまった。この学科、ガチロシアオタクが多すぎて、この話題が、つらい…
「ふふふっ、面白いこと言うじゃんっ、よろしくね!えっと、君は…」
「ハルです、よろしくお願いします」
「そっか、ハル君か、よろしく。で、そっち側に座ってるのが…」
「サチって呼んでください」
相変わらず小鳥の鳴き声より小さい声だ…
「そっか、サチちゃんか、よろしくね~!」
「サチさんは、学科はどこなんですか?」
「フランス語です」
『フランス語かぁ…』
フランス語…イメージと違う…むしろ神学部とかでイエス様に祈ってそうな雰囲気…
多分先輩たちも同じこと考えてるんだろうな、あの言い方だし…。
「えっと、何となく自己紹介も終わったところで、サークルの現状を説明するね」
めちゃくちゃスーツの似合うカオリ先輩がすらすらと話し始めた。
「このサークル、去年までは先輩が3人くらいいたんだけど、今年卒業しちゃったので、今はこの2人しかいません。活動内容なんだけど、不定期、多分月1くらいかな、でみんなで集まってスタジオ借りて、演奏会をしてました。みんなで順番に演奏して、聴かせあう感じで。それで…」
先輩たちが顔を見合わせた。
「今年、活動するかどうかは未定です」
キャラクターに楽器のイメージを割り振ってます。
カオリ先輩(スーツの先輩)がクラリネット、アオイ先輩がトロンボーン、サチさんがオーボエ
次は明日の夜予定です。サークル早くも消滅の危機…