プロローグ.出会いと日常の終わり
異世界転移ものです。
個人的に好きな要素をがんがんに詰め込んだらこうなりました。
少しでも楽しんで頂ければ幸いです。
よろしくお願い致しますm(_ _)m
※2/12 加筆修正致しました。
季節は春である。
満開に咲き誇った桜の木々が時折吹く春風に薄紅色の花弁をはらり、はらり、と舞い散らしている。
高校生活が始まって約二週間が過ぎようとしているこの日。
おれ――白谷真皓と隣の家に住む幼馴染み兼同級生の黒井依弦、基、いづは日直だからという理由でおれ達が在籍する一年二組の担任である風岡京輔先生に放課後に雑用を申し付けられていた。
「いやあ、明日使う資料を纏めるのをすっかり忘れててなぁ。お前らが今日日直で良かったわ。無理言って悪かったな。気ぃつけて帰れよ?」
常に気だるそうな雰囲気を纏い、ひょろりとした高身長にセットしているのかいないのか分からないぼさぼさの髪と無精髭に死んだ魚の目のように見える切れ長の瞳がトレードマークのその数学担当教師と昇降口で別れたのが十八時少し前の事。
「すっかり遅くなっちゃったね。」
西の端に僅かに残る茜色に染められ薄ピンクから群青色へのグラデーションが広がる空を見上げ隣を歩くいづに話しかけると、高校一年にしてすでに身長は百八十五センチ超え、肩幅が広く均整の取れた男らしい体の成長期という言葉を遺憾無く体現し過ぎているきりりと上がった男らしい太い眉と少しつり上がった瞳を持つ、ともすれば強面に見える腹立つくらいの精悍な顔立ちの男前がどこか疲れたように大きく息を吐き出した。
「ああ、下校時間はとっくに過ぎてるからな。あのくそ教師、缶コーヒー一本でこき使いやがって……。」
うっすらと眉間に皺を寄せたまま首に手をやりごきりと鳴らした彼に「お疲れさま」と労えば瞳を瞬かせ、ふっと小さく笑ったいづが「お前もな」とポンとおれの頭に手を置き、くしゃくしゃと髪を掻き混ぜる。
「あ~~っ……しっかし腹減ったな。真皓、駅前のワック寄っていかねえか? お前、あそこの新発売されたトマトチーズバーガー、食いたいって言ってただろ? あとナゲットのアボカドソースも試してみたいんだったよな?」
「今から? いいけど、トマトチーズバーガーは食べれないかも。夜御飯食べれなくなっちゃうし。」
いづの言うようにお腹は空いてるし、魅力的なお誘いなんだけど、残念ながらおれの体にはそんなに食べ物は入らない。
「お前なあ、そんな事言ってるからいつまでもチビでモヤシなんだろうが。」
「酷い!」
あまりに歯に衣着せない言い方に抗議の声をあげる。
確かにこの前やっと百六十二センチになった典型的なもやしっこで、さらにでかい二重の丸い瞳の童顔なのも災いして良くて中学生、下手したら女子に間違えられるおれといづじゃ雲泥の差だけどさ!
「ってかおれが小さいんじゃなくていづが大きいんだよ!」
「そりゃあ、俺は成長期だからな。」
「おれもだけどっ!!?」
楽しそうに笑ういづに少しむくれながら反論すると、まあまあ、と宥めるようにポンポンと頭を撫でられる。
「でも、一個食っちまうと腹いっぱいになっても半分ぐらいなら食えるだろ? 半分食ってやるよ。」
「え? でもそれだといづが食べたいもの食べれなくなっちゃうから駄目だよ。いづだってあそこのダブルバーガー好きじゃん。」
慌ててそう言えば気にするなと即答された。
「言っただろ、成長期だって。ハンバーガー二つくらい何でもねえよ。むしろ、最近母さんから多少腹膨らましてから帰ってこいって言われてるからな。」
「千早さんから? 何で? ついにいづの食費が黒井家の家計を圧迫し始めたとか?」
「おいこら。ついにってなんだ、ついにって。」
瞬間ぐわしっといづの男らしい長く節だった指がおれの頭を鷲掴んだ。
「えっ!? わっ、いづ!!? っていたたたたたた!! 痛い、痛いって!!」
「人を大食漢みたいに言ってんじゃねーよ! 訂正しろ訂正!!」
「やあああああ!! ギブギブギブ!! 頭割れるってえええ!! てか本当の事じゃんか!!」
そのまま指先にぎりぎりと力を込められ、あまりの痛さに喚き散らす。
実際、成長期だってのは勿論あるだろうけど、いづはおれから見るとどこにそんなに入るのってくらい良く食べる。
現に彼がいつも食べてるお弁当箱にはご飯一合入るらしく、この前千早さん――いづのお母さんがドヤ顔で「これならあの大食漢でも文句ないでしょ!」とおれと母さんの前でふん、と胸を張っていたのは記憶に新しいし!
その後何とかいづの手を頭から引きはがし、とりとめもない会話を交わしながらおれ達の足は確実に駅前を目指し始めた。
「あ、でもおれポテト食べたい。ね、いづ、ポテト割り勘しない?」
「いいぜ。ただしLサイズな。」
「それ食べれる量からしておれのが損するじゃん!!」
「なら代わりにシェイク奢ってやるよ。あ、俺にも飲ませろよ?」
「それ奢るっていう? でもやった? チョコね!!」
そんな感じでじゃれ合いながら駅前に行くための最後の角を曲がった時。
≪――――…け……、て…!≫
「……え?」
何か聞こえた気がして、今来た住宅街の一角を振り返る。
夜の帳が落ち始め辺りは少し薄暗いものの、ぽつぽつと等間隔に並んだ電柱の街路灯に照らされた民家や塀に挟まれた車二台がギリギリすれ違えるぐらいの幅の道路には誰の姿も見当たらない。
「……あれ?」
「真皓? どうした?」
急に振り返り立ち止まったおれを怪訝そうに見ているいづの視線に気が付き、うん、と曖昧に頷く。
「……今、何か聞こえた気がしたんだけど。気のせいだったのかな、って、いづ!?」
「――うるせえ、離れるなよ。」
一瞬で雰囲気を変え、鼻に皺を寄せ道路を睨み付けたいづにぐいっと片手で抱き寄せられ、思わず苦笑しながらその胸元にとんっと触れる。
「……心配性。」
「俺は、不安要素は潰しておきたいだけだ。で、まだその声は聞こえてるのか?」
その言葉に改めて道路を見遣るけど、いかにも閑静な住宅街の一角と言ったそこにはやっぱり誰の姿もないし、声も聞こえない。
「ううん。今はもう聞こえない。ってか一瞬だったし、おれの気のせいかも知れないからさ。 いづも聞こえなかったんでしょ?」
「……ああ。俺には聞こえなかった。けど、そういうのも含めて『見鬼』はお前のが上だ。俺はどちらかというと感覚で把握するからな。」
だから気にしないでと続けかけ、溜め息混じりに返された言葉にぴくっと反応する。
『見鬼』。
要約すれば他人には見えない存在を視る力で俗に言う霊感である。
――そう。
家系の血筋って事が一番大きな要因だろうけど、おれには幼い頃から他人には見えない存在――人為らざるモノ達が見えている。
幼少期はおれの中の「当たり前」が他人には「当たり前」じゃないという事に悩んだりもしたけれど、おれにとって何よりの救いだったのは同じ景色を見ている幼馴染みが――いづがいつも隣にいてくれた事だった。
それと…………。
「まだソッチ関係って決まったわけじゃ……。姿を見た訳じゃないんだし。」
「なら確かめに行くか? 側に行けば俺でも分かるかもしれないからな。」
「わざわざ藪をつついて蛇を出す事もないと思う、けど。」
≪……っけ……す、て……っ、さ……!!≫
くいっと彼に道を顎で示したのを見て小さく息を付いた次の刹那、子どものような高く澄んだ声が耳朶を打った。
「……聞こえた?」
「――ああ。今度は俺にも聞こえたな。」
そのまま二人でその一角を睨み付けていると、やがて道の向こうから中型犬くらいの大きさの何かが此方へ向かって走ってくるのが見えた。
……ん、だけど……。
「…………え?」
街路灯の光に照らされたその姿に一瞬見間違いかと瞳を瞬かせた。
≪助けてっ!! 助けてくださあああああいいいい!!≫
大きなアーモンド形の瞳を恐怖からか潤ませ、ほとんど転がるようにして走るソレが叫び声をあげる。
その声はつい先程聞いたものと同じもので、改めておれ達が聞いたのはソレ――魔法使いが被るような金色の星の装飾がちりばめられ先が折れた葡萄茶色の三角帽を被り、同じデザインのマントを胸元の三日月型のブローチで留めているサファイアブルー色の瞳の黒猫のぬいぐるみの声だと理解した。
……と言うか。
「…………え、あれ、ぬいぐるみ、だよね?」
「……ああ。まごう事なきぬいぐるみに見えるな。」
自慢じゃないけど、今まで人為らざるモノ達は結構見てきたと思う。
でもさすがに、ぬいぐるみが動いてるのを見るのは初めてで、半ば呆気に取られているとそのぬいぐるみが不意に肩越しに背後を振り返し≪――ヒッ!!≫と引きつった声を上げた。
つられるようにぬいぐるみの背後に視線を向ける。
ぬいぐるみから二十メートル程後ろ、辺りの暗がりに紛れるようにして音もなく現れたのは、体高は多分一メートルは優に超えているだろう大きさの犬の姿をした異形だった。
犬種にしたらドーベルマンとかに近い姿だろうか、身体の凹凸さえ分からない影そのもののような体躯の中で唯一それと分かる金色の瞳がギラギラと輝いている。
さらにそれと同じような異形が全部で六体。
明らかにぬいぐるみに狙いを定め地を飛ぶように駆けてきているのだ。
「何だ、あれ。どう見ても、普通の犬じゃないよな? 妖か何かか?」
「……多分。でも、あんなの見た事ないよね。……ってそんな事言ってる場合じゃない! 何かよく分からないけど助けなきゃ!」
「――っああ、そうだなっ。」
再び呆けかけハッと我に返り言えば、同じく呆けていたいづの顔が瞬時に変わりぬいぐるみに向かって走り出したのに続き、おれもまた地を蹴る。
おれ達とぬいぐるみの距離は、およそ十メートル。
すぐに辿り着くだろうと思った次の瞬間、後ろを気にしすぎて足元が疎かになっていたのかぬいぐるみが小石か何かに躓き、その場にズザザ……と音を立て倒れ伏した。
その隙を逃す事をしなかった一番先頭を駆けていた一体が跳躍し、ぬいぐるみ目掛けて鋭い牙が生えそろった大きな赤い口をガパリと開け飛び掛かる。
「っ、真皓!!!」
「うん、任せてっ!!」
いづの焦燥を帯びた声と共に放り投げられた彼のスクールバックをキャッチすれば、彼のスピードがさらに増し、そして。
≪ヒィィイイイイイィ!!!!≫
「――っ失せろッッ!!!!」
涙声で悲鳴をあげるぬいぐるみにその牙が届こうとした刹那、横からその間に飛び込んだいづの一切手加減なしの蹴りをが異形の横っ面に炸裂した。
≪ギャンッ!!!!≫
まさか攻撃を加えられるとは思ってなかったのか、犬のような悲鳴を声をあげた異形は、軽々と吹っ飛び塀に激突した直後、バシュッと音を立て消し飛んだ。
「――どうやら、こっちの攻撃は通るらしいな。」
ぬいぐるみに背を向け立ち、体勢を立て直したいづが仲間を消されたためか警戒するかのように止まり、唸り声をあげる残りの四体に向き直る。
――うん、あっちはいづに任せておけば大丈夫っぽいかな。
「大丈夫?」
そう判断し、両膝を付いていづの背中を凝視したまま呆けているぬいぐるみへと声をかけた。
≪へっ!? え、あっ、は、はいっ!? 大丈夫です!?≫
おれの声に我に返ったらしいぬいぐるみが目を白黒させながらおれへと顔を向ける。
サファイアブルーの瞳と目があった瞬間、何かが頭の隅に引っ掛かかった。
「……あれ?」
何だろう、このぬいぐるみ、どこかで?
「――――真皓っ!!!!」
不躾にぬいぐるみを見つめたままその既視感に首を傾げているといづの鋭い声が耳朶を打った。
ハッとそちらに目を向ければ、残り五体のうちの一体がいづの頭上を跳躍し、おれとぬいぐるみに向かって飛び掛かってくるのが目に入った。
「――っ!! ごめん、舌噛まないように黙ってて!」
≪えっ!?≫
咄嗟にぬいぐるみを片手で抱え、体勢を整えると片手バク転の要領で後方に大きく飛んだ。
その際胸元から聞こえた≪ヒェッ!?≫という声は聞かなかった事にする。
「いづ、取り逃がすなんてらしくないじゃん。やっぱお腹空いてて力出ない?」
視線はおれ達が一瞬前までいた場所に着地しぐるる、と唸り声をあげる異形に向けたまま、四体を一気に相手どっているいづに声をかければ「うるせえぞ!」と言う返答と共にいづ右ストレートを顔面に食らった異形がまた一体消し飛ぶ。
「サボってないでお前も働け!! もっと腹空かせれば夕飯の心配せずにハンバーガーの一つくらい食えるようになるんじゃないか!」
「どんなにお腹空いてても、おれのおなかに入る食べ物の容量は変わらないの!! あ、でも、いづお手製のロールケーキならどんなにお腹いっぱいでも入る! 後で作って!!」
笑いながら言えば、人使い荒すぎんだろ!という怒鳴り声と≪ギャンンン!!≫という悲鳴が返ってくる。
次の瞬間、唸り声をあげ飛び掛かってきた一体目掛けてぬいぐるみを抱えている手とは逆の手に持っているいづのスクールバックをフルスイングで振り抜いた。
≪ギャウウウウンッ!!!!!≫
スクールバックがぶち当たると同時にバチィ!!という音が辺りに響き、異形が音もなく消し飛ぶ。
「……本当だ。見た事ないものだけど、こっちの攻撃は通用するんだ。」
≪……っ!!≫
胸元から息を飲む音が聞こえ、あ、そうだ。とぬいぐるみを下ろしかけると再びいづの声が飛んでくる。
「てか、てめぇ真皓!! 人の鞄乱暴に扱ってんじゃねえよ!!」
「仕方ないじゃん、両手塞がってるんだし! 大丈夫、そんな強くはしてないし、それに……っ!」
いづの蹴りを避け、さらにこちらに飛び掛かってきた一体の顔面に回し蹴りを叩き込み、消し飛ばす。
「……おれのリーチじゃ獣系のこういうのには不利だからさ。」
「ハッ、どの口が言ってんだよ。」
どごんと激しい音を立て最後の一体の脳天に踵落としを決めたいづが、それを消し飛ぶのを確認してからおれへと向き直り、口の端を吊り上げた。
時間にすれば五分足らず。
辺りは何事もなかったように静寂が戻っている。
あの影のような異形の姿がもうない事に肩の力を抜くと、おれの元へ歩み寄ってきたいづがふっと微笑んだ。
「――お疲れ。」
「うん、いづもお疲れ。」
そう労い合い、スッと突き出されたいづの拳におれもまた笑いながら自らの拳をコツンとぶつける。
「――さて、色々説明してもらおうか。」
やがて、拳を下ろしたいづがおれの腕の中でどこか驚愕の表情を浮かべているぬいぐるみに視線を向ける。
≪……あ、あの……≫
「ああ、怖がらなくて大丈夫だよ。いづ、ガサツで乱暴だしああいう時凄い悪人面になるけど、悪い奴じゃないか、らっ!?」
「おいこら。」
常よりも僅かに低い一本芯が通った強さを抱いた落ち着いた声にびくりと体を強張らせたぬいぐるみにそうフォローをいれた瞬間、べしりと頭をはたかれた。
「いったい!!」
「お前が普段俺をどういう目で見てるのかよーく分かった。後で覚えてろよてめえ。」
「何で!?」
≪グゥアアアアアアアアアアア!!!!≫
そんなおれ達のやりとりにぬいぐるみの肩から力が少しだけ抜けたように見えた刹那、いづの背後から大きく跳躍したナニカがおれ達に向かって飛び掛かってきた。
「なっ……! もう一体隠れてやがったのかよ!!」
「っ、いづ、お願い!!!!」
反射的にいづの腕をぐいっと強く引くのと同時にぬいぐるみを押し付け、一歩前へ出ると牙を剥きだしたナニカに向かって懐から取り出したそれを思い切り投げ放つ。
「――いい加減しつこいっ! 消えろっ!!」
まるで吸い込まれるように一直線にナニカの眉間に刺それ――赤い持ち手の鋏がぶっすりと突き刺さると同時に、その姿が音もなく消し飛ぶ。
カシャン、という微かな音を立てその場に落ちてきたどこにでも売っている子どもが使うようなプラスチック製の鋏を拾い上げ小さく息を付くとぽんといづに頭を撫でられた。
「悪ぃ、油断してた。六体だと思い込んでた俺のミスだ。」
「ううん、おれも六体だと思ってたし。お互い様だって。」
そう首を振り答えれば、彼の視線がおれの右手に握られた鋏に向けられる。
「……しかし、まさかお前にそれを使わせるなんてな。」
「――うん、おれもあのレベルの異形……異形だよね? 異形に使う羽目になるとは思わなかったけど、これなら確実だと思ったからさ。」
実際その判断は間違っていなかったわけだし、仕方ないよ。と懐に鋏をしまい直していると≪ふぉおおおおおおお!!!!≫という興奮と感動に打ち震えるような声が聞こえ、見ればいづの腕に抱えられ、ぬいぐるみがキラキラと輝いた瞳でおれといづを見つめていた。
≪なんと……っ!! 何という力ですかっ!! あの『クェアディアス』をたった一撃で! しかも武器もほとんど使わずに倒すなんてっ!!≫
「……『クェアディアス』?」
その単語に聞き覚えがあって首を傾げると興奮のあまりか髭をピーンと張り、鼻息も荒くぬいぐるみがさらに続ける。
≪そうです!! 貴方方のような退魔師様にお会いしたのは初めてで御座いますっ!! このルシュケム感動致しました!! つきましてはお頼みしたい事が御座いますので、私と……!≫
「おい、待て! ちょっと落ち着け!」
「そう、まずは落ち着いて話を……っ!!」
早口で言うぬいぐるみをいづと二人で落ち着かせようとしていると彼?の三日月のブローチが淡く光り出し、その顔がハッとしたものに変わる。
≪帰還の時間です! お二方、申し訳ありませんが説明している時間は御座いません! 詳しい話は向こうでしますので、まずは私と共に私達の世界に来て下さい!!≫
「えっ!?」
「おい!!」
あまりの展開の早さについていけずいづと声を上げた刹那。
カッとその場に閃光が走り、同時にぐいっと誰かに思い切り腕を引かれた。