登下校
「孝之君今日ウチでゲームしない?」
下校中明宏君が話し掛けてきた。
「ご、ごめん!今日は塾に行かなくちゃ行けないんだ…」
咄嗟に僕は嘘をついた
「孝之君塾に行き始めたの?凄いや!勉強熱心だね」
明宏君は僕の顔をまじまじと見つめながら言った
僕は明宏君の顔を見ることが出来ず下のコンクリートを見つめていた
下校後、家に帰り母親に相談する
「今日明宏君が学校に来たんだよね… 」
僕の言葉を聞いた母は
「悪い冗談は止めてくれる?」
そう言いながら僕を怒鳴った
僕は悪くない
悪いのは全て明宏君だ…
明宏君がこの世に存在するから悪いんだ…
僕は怒鳴られている間、頭の中でそう思っていた。
次の日1人で登校中
明宏君は僕の肩を後から触ってきた
「おはよう孝之君!今日は寒いね」
「おはよう明宏君… 」
僕は目を合わせないようにしながら言った
「今日は調子悪いの?」
明宏君は僕の目を見ながら言ってきた
「いや…」
「今日あんまり喋んないね。お母さんと喧嘩したの?」
「してないよ 」
二人で会話をしながら歩く登校道
曲がり角の端にあるカーブミラーには
黄色い帽子に黒いランドセルを背負った子供と
全身真っ黒で足は一本ボロボロに壊れかけた子供が写っていた
全身真っ黒な子供は、まるで火事で焼け死んだ後の死体のような黒さだった。
朝日が綺麗に昇り、もうすぐチャイムがなる