擾乱を波瀾に導く来訪者。
美紗が帰った後の実家は修羅場だった。
今まで女、子どもどころか俺にさえ手を挙げたことのないオトンが、真琴の頬を引っ叩きながら激怒し、オカンは『一緒に美紗ちゃんに謝りに行こう』と真琴を諭しながら大泣き。俺は、
「やっていいことと悪いことの区別も出来なかったのか⁉ 馬鹿すぎるだろ、お前‼」
真琴が何故そんなことをしたのかが、全く理解出来なかった。
「お前らが悪いんだろうが‼」
おの質問に逆ギレの妹。オトンに叩かれた頬がよっぽど痛いのか、頬っぺたを抑えながら泣き喚き散らした。
「お兄ちゃんが私立の中学なんか行くから、私が近所でどんな風に言われてたか分かる⁉ 『残念な妹』ってコソコソ陰口叩かれていたのよ‼ お父さんもお母さんも『勇太、勇太』ってお兄ちゃんばっかり依怙贔屓してるから、私がどんなことをしていたか気付きもしなかったのよ‼」
そんな真琴が開き直りながら責任転嫁をする。
「じゃあ、お前も受験すれば良かっただろうが‼ オトンもオカンも『受験するな』なんて一言も言わなかっただろうが‼ お前が『私立には行かない』って言ったんだろ‼ 受験勉強を拒否したのは自分だろ‼ 逃げた自分を正当化して、周りに責任を擦り付けるな、このど阿呆が‼ しかも、それが理由なら美紗は関係ないだろうが‼ 自分と違って勉強が出来る美紗が鼻についたんだろ⁉ だから美紗に酷いことをしたんだろ‼」
目の前で怒りながら叫び泣く真琴に、怒号を浴びせる。
真琴の話で、なんで美紗を狙ったのか察しがついた。
美紗は、片親と言う事もあって高校も公立の進学校を出ていたし、大学も予備校に行かずにストレートで国立に入るほど優秀だった。
暗くはないものの控えめな美紗は、強めのギャル化して調子づいていた真琴にとっていじめ易い存在だっただろう。
思考が憤怒に覆われ、『何故真琴が俺の妹なんだ』『オトンとオカンは、どんな育て方をしたんだ』『こんな女、どうして産んだんだ』とオトンとオカンにまで忿怒が散乱し始める。
「お兄ちゃんは昔からそう‼︎ 自分さえ良ければいい人なのよ‼︎ 『お前も受験すれば良かった』⁉︎ はぁ⁉︎ 『お兄ちゃんが受験しなければ良かった』のよ‼︎ そしたら私も近所から出来損ない扱いされなかっただろうし、美紗も私から目を付けられる事もなかったかもね‼︎」
とことん頭の悪い真琴は、馬鹿すぎて最早諭す気さえも失う様な罵声を吐き散らす。
自分の妹が手に負えない。
なんだか頭痛がしてきて、中指でこめかみを押さえていると、
「さっきから何をほざいているんだ、お前は‼︎ 勇太が自分さえ良ければ良い人間⁉︎ 勇太じゃなくて真琴の方だろ‼︎ 気に喰わないことがあるとすぐに人のせいにして……挙句、他人様を傷つけて……。この馬鹿野郎が‼︎」
半ば妹を見限った俺とは違い、やはり親であるオトンは、激高しながらもしっかりと真琴の間違いを言い正した。
「はぁ⁉︎ お父さんとお母さんの方でしょうが‼︎ 2人は【お兄ちゃんさえ良ければいい人間】なのよ‼︎ 昔から私に関しては放任主義だったじゃない‼︎ 今更指図しないでよね‼︎」
が、オトンの言葉では正されない真琴。
そして、オトンもオカンも決して真琴を放任していたわけではない。
小さい頃から勉強嫌いで成績も悪かった真琴は、何故か悪知恵だけは働く人間だった。我儘放題な真琴に、オトンが厳しく叱ったある日、真琴は泣きながら児童福祉施設に駆け込んだことがあった。すぐさま施設の人間がウチにやって来て虐待を疑われたオトン。それから……というか、そもそも暴力が嫌いなオトンは、もちろん手もあげないし、注意の仕方も柔らかくなった。それが仇となり、真琴はどんどん増長し、今に至っている。
そんなオトンが、今日久々に激憤している。
「だったら出て行け‼︎ いい大人になって、金も入れずに実家でぬくぬくしてるんじゃない‼︎」
オトンが真琴の手首を掴み、リビングから追い出そうとした。
家に生活費も入れない上に、貯金もせずに毎月の給料を綺麗に使い切る真琴が実家を出ていけるはずもない。
「痛い‼︎ さっきから何なの⁉︎ 『暴力はいけない』って言ってたくせに、振るいまくりじゃん‼︎ 嘘吐きジジイが‼︎」
オトンの手を振り払おうと、真琴が大暴れしていると、玄関のベルが鳴った。
「和馬だ‼︎ いいよ、出てってあげるよ‼︎ 和馬と一緒に暮らすから‼︎ ホラ、出てくって言ってるんだから放せよ」
彼氏とデートの約束をしていた真琴は、彼氏が迎えに来たことをいいことに、オトンに悪態を吐くと「嫌だー。顔ボロボロ」などと言いながら玄関に駆けて行った。
「ちょっと待てコラ‼︎」
反省もしなければ謝りもせずに逃げ切りを計る真琴の態度に、俺の怒りは心頭。
真琴を追って玄関に行くと、真琴は彼氏らしき男に抱き着いていた。
「私、今日から和馬と一緒に住む‼︎ この家出て行く‼︎」
「その前に、真琴に聞きたいことがあるんだけど」
和馬は真琴の肩にそっと手を置くと、自分の身体にまとわりつく真琴をゆっくり剥がした。そして、
「真琴の中学の同級生に【木原美紗】ちゃんって子、いる?」
何故か美紗の名前を口にした。
「……なんで和馬まで美紗の話するの?」
真琴が頬をヒクつかせながら和馬を見上げた。
「しちゃいけないの? ねぇ真琴、美紗ちゃんとクラスメイトだった? ちゃんと答えて」
質問を質問で返された和馬が、更なる質問を真琴に被せた。
「……だったら、何?」
それでも真琴の返事は疑問文だった。
「さっき、真琴の家の近くで美紗ちゃんに会った。真琴と美紗ちゃんは、中学時代に何があったの?」
和馬も質問をやめない。
「美紗、和馬の前で泣いたりしたんでしょ? あの子の昔からそうなのよ。大げさに悲劇のヒロインアピールして他人の同情引きたがるのよ。和馬も美紗の話を鵜呑みにするの? 私を悪者にするの?」
真琴が美紗を侮辱しながら、自分に攻め入ろうとする和馬を責めた。
自分を正当化したいが為に、唯一の味方であろう和馬をも責め立てて敵に回そうとする、どこまでも頭の悪い妹に鳥肌が立つ。
「確かに俺、美紗ちゃんのこと泣かせたわ」
和馬が、美紗が泣いた事実だけ認めた。
……ていうか、『泣かせた』?
「お前、何してくれてんだよ‼」
思わず和馬の胸倉を掴み上げた。
俺は、女・子どもに手を挙げないが、美紗を泣かす男には容赦もためらいもない。
「美紗ちゃん、全然話したがらなくてさ。でも、真琴が関わる話なら聞きたいと思うでしょ。彼氏としてさ。だから美紗ちゃんに無理矢理聞き出した。だから、美紗ちゃんが泣いたのは、同情を誘う為じゃなくて、ただただ辛かったからだと思う。美紗ちゃん、言ってたよ。真琴のいないところでの真琴の悪口は欠席裁判になってしまうから、自分の話は話半分で聞いて欲しいって。話したがらなかった上に、話半分で聞いて欲しいって言っていた美紗ちゃんが、俺の同情を欲してるとは思えなかったけどな。俺、美紗ちゃんの話、全力で聞いてきたからさ、真琴の話も全力で聞かせて欲しいんだよね」
俺に掴みかかられても、和馬は至って冷静だった。
頭に血を上らせる自分が恥ずかしくなり、和馬の胸元から手を放した。
「失礼なことをしました。すみません。……あの、美紗の様子はどうでしたか? 美紗、フラフラしてたのに俺、追いかけられなくて……」
恐怖に、俺に、あんな風に脅える美紗を追いかけることが出来なかった。
呼吸も歩くことさえままならなかった美紗は、ちゃんと家に帰れたのだろうか。
「大丈夫です。タクシーに乗せて帰らせましたから」
「良かった。ありがとうございます」
和馬の言葉に胸を撫で下ろす。
「……何なの今更。本当に陰険。美紗って」
真琴の目には怒りが宿る。
この期に及んでまでも美紗を悪く言う真琴は、美紗にした仕打ちを全力で和馬に話す気はないらしい。と言うか、出来るわけがない。捨てられるに決まっているから。
「さっき言ったじゃん。美紗ちゃんは話したがらなかったって。今更な話をさせたのは俺。真琴は中学時代に何があったのか、何も話してくれないの? 話さないってことは美紗ちゃんの話を事実だと認識しても良いってことだよね?」
和馬が真琴の態度に嫌悪感を滲ませた。
「……」
それでも口を噤む真琴。さっき俺らが聞いた話を和馬にしてしまったら、この2人の関係は確実に終わるだろうから。
だけど、そんなことは俺の知ったことではない。だって、美紗と俺の関係が危機的状況に晒されているのだから。それに、
「美紗は何て言ってましたか? 真琴から苛めを受けていた話でしたか? 真琴が話そうとしないので、俺が話します。俺は美紗の婚約者です。美紗の事が知りたい。教えて下さい」
美紗が話した内容を知りたかった。真琴に気なんか遣う気もなければ遣いたくもない為、白状しない真琴の代わりに俺が真琴の悪事を暴露した。
「……美紗ちゃん、中学3年間ずっと真琴たちにいじめられてったって言っていました」
和馬は、口を割らない真琴をチラっと見た後、眉間に皺を寄せながらオレの問いかけに答えた。
彼氏に残念な視線を向けられても、真琴は「最悪、美紗」と呟き、美紗を恨み続けていた。
「何をされたって言ってましたか? 俺がさっき真琴から聞いたのは『カタツムリとカエルを炙って食べさせた』と『机に花を生けた花瓶を置いた』でした」
そんな真琴は無視して話を進める。
言いながら、美紗の苦痛を想い、胸が苦しくなった。
「良かれと思ってよ‼ エスカルゴとかカエルとか使う料理あるじゃない‼ 美味しいものを食べさせてあげようと思ったの‼ 美紗、片親だからロクな物食べれてないんじゃないかと思ったの‼ 花だって、綺麗だったから飾ってあげたのよ‼」
真琴が苦しい言い訳をしながら、美紗の家庭を貶した。
「……真琴。それ、本気で言ってるの?」
真琴の悪行にも、その言い訳にも愕然とする和馬。さっきの俺を見ている様だった。
「……」
さすがに『本気です』とは答えられず、真琴は和馬から視線を逸らした。
「美紗も同じことを言っていましたか?」
美紗はきっと、他にも酷いことをされたに違いない。真琴に負わされた美紗の心の傷に、美紗の婚約者として、真琴の兄として、責任を持ちたいと思った。
「……俺には、『口の中に虫と土を詰め詰め込まれた』って。『便器に頭を押し込まれて溺れさせられた』って」
和馬の口から出てきた言葉に、怒りを通り越して、妹に殺意を覚える。
ダメだ。俺、真琴の責任なんか負えない。負いたくない。赦せない。赦さない。
「……何が『からかっただけ』だよ。何が苛めだよ。お前のやったことは殺人未遂じゃねぇか‼ この犯罪者が‼」
憎悪で自分に歯止めが利かなくなる。
自分でも気が付かないうちに、拳を固く握りしめ、真琴に向かって振り上げていた。
「本当なの? 真琴のお兄さんの話は本当? 美紗ちゃんの話は?」
俺から真琴を護る様に、和馬が真琴と俺の間に身体を滑り込ませ、俺を引き離すと、真琴と向き合った。
「和馬は誰の言葉を信じるの? 私? お兄ちゃん? それとも美紗? 私を信じてくれないなら、何を話しても無駄だよね」
まるで『自分はハメられている』とでも言いたげなセコイ言葉を並べる真琴。
「俺は、疑わしくない方を信じる」
しかし、和馬はそんな浅ましい真琴の言葉を突っぱねた。
「私は、苛めたつもりはない」
認めたら和馬を失ってしまうことが分かっている真琴が、無理にも程がある【悪意の無さ】を主張し出した。ここまでくると、認めなくとも和馬は離れて行くだろう。
「……そっか。真琴は、美紗ちゃんが傷付くことは予想出来なかったんだね。なんか怖いわ。悪意があって苛めるのも嫌だけど、苛めの自覚なく、悪意なしにそういうことが出来るって……俺とは感覚が違い過ぎる。……俺、真琴と一緒にいるの、ちょっともう無理だわ」
和馬の言わんとしていることは、【真琴との同棲のお断り】ではなく、【別れ】だった。
「なんで⁉ 嫌だよ‼ 私は和馬と一緒にいたい‼ 何なの、美紗‼ 10年も前の話を穿り返してネチネチネチネチ。しつこい‼」
真琴は、この場にいない美紗に対して怒りを露わにし、逃すまいと和馬にしがみついた。
和馬は真琴を見下ろすと、
「無理だって言ってるじゃん。しつこいよ、真琴」
真琴の言葉を引用して、自分に絡みつく真琴の腕を解いた。
「何なのよ。みんなで私を責め立てて。私を吊し上げてそんなに楽しい⁉ 最低‼ 酷すぎる‼」
真琴は泣きながら俺と和馬に怒声を浴びせると、2階にある自分の部屋に駆け上がって行った。
さっきオトンに『出て行ってやるよ』と息巻いていたくせに、尻尾を丸めて自室に引っこんで行く妹に呆れる。
「とんだ醜態を晒し、あなたに失礼なことまで……しかも家にも上げずに玄関で……重ね重ね本当に申し訳ありません。家の中にお通ししたいのですが、中もちょっとゴタついておりまして……」
和馬に頭を下げながら溜息が出た。
なんであんな訳の分からない女が俺の妹なのだろう。真琴の存在が、佐藤家の恥としか思えない。しかも、謝罪も玄関。失礼極まりない。でも、家の中ではまだオカンが泣いているだろうし、オトンの怒りも収まっていないだろう。もう、ここでお詫びするほかなかった。
「気にしないでください。別れた彼女の家に入るっていうのも、俺的に抵抗があるので」
和馬が「頭を上げてください」と、俺の肩をポンポンと叩いた。
顔を上げると、苦笑いを浮かべる和馬と目が合って、自ずと俺の顔もしょっぱく歪んだ。
「本当にすみません。ウチのどうしようもない妹が……」
最早、俺の口からは謝罪の言葉以外出てこない。
「……さっき、美紗ちゃんに会って話した時に聞かれたんです。『真琴ちゃんのどこが好きですか?』って」
和馬が俺のどうしようもない妹の話をし出した。
「真琴の勝気なところも活発なところも好きでした。一緒にいて楽しかった。俺には優しかったですし。美紗ちゃんから真琴の苛めの話を聞いた時、正直『本当かな?』って疑ったし、本当だったとしても今の真琴は昔とは違うんだからって思っていました。ここに来るまでは、真琴と別れる気なんかサラサラなかった」
真琴が上って行った階段を見つめる和馬。
別れを切り出したのは和馬だが、さっきの出来事は和馬にとっても急転直下だったらしい。
「美紗ちゃんが言ってたんです。『結婚出来ないって言って逃げてきてしまった』って。俺、『なんで⁉』って咎めたんです。だって、真琴のお兄さんは何も悪くないじゃないですか。それは分かってるって美紗ちゃんも言っていて。だったら何で⁉ って思ってたんですけど……美紗ちゃんの気持ち、俺もさっき分かりました。【過去は過去、現在は現在】なんて簡単に割り切れない。俺は真琴に何もされていない。真琴だって、蒸し返されたから怒っただけで、心を入れ替えたかもしれない。だけど、真琴の過去の事実を知った途端に真琴が信用出来なくなった。あぁ、そういうことをしていた人間なんだって、軽蔑してしまいました。なんか、裏切られた気がしました。拘ってもどうすることも出来ない過去に、どうしても拘ってもしまう。美紗ちゃんに【真琴と義姉妹になる】と言う決断は、なかなか厳しいかもしれない。……と思いました。真琴のお兄さんにこんなこと……すみません」
今度は和馬が頭を垂れた。
「……いえ」
さっきとは逆に、俺が和馬の肩を摩り、頭を上げる様に促す。
『家族は一生続く』美紗の悲痛な表情が脳裏を思い出す。
「『過去を水に流して』ってよく聞くけど、どんな傾斜の滝から、どんな水勢のダムから放り投げれば流れるんでしょうね、過去って。流れるのは時間だけで、過去はその場に留まって、未来にまで漂い続けるものなのかもしれませんね。『時間が解決する』ってヤツも、当事者たちが解決に向けて最大限努力した場合にのみ適応されるってことなんでしょうね。だって、美紗ちゃんと真琴はこの10年、会わずにいたからその過去に触れなくて良かっただけで、過去自体は何も解決せずに、現在を脅かしている。過去って、忘れることも出来るけど、思い出すことも出来てしまうから厄介ですよね。事実は消えないし消せない。だから真琴は【謝罪した】という事実を過去に置いてこなければいけなかった。でも、それをしなかった。難儀な過去に巻き込まれましたね、俺ら」
和馬がしょっぱい笑顔を作りながら俺に同意を求めた。
和馬の言っている事は理解出来る。だけど、
「……すみません。ちょっと頭の中が混乱していて……」
頭と気持ちの整理が出来ない。
どうしたら良いのか分からない。美紗と真琴の過去を、俺にどうしろというんだ。
今日初めて知った過去の事実に、胸糞も気分も悪くなり、鉛を担がされている様な疲労感が身体を覆った。
そんな疲弊した俺に気付いた和馬が、
「疲れましたよね。中に入って休んでください。俺、お暇しますので」
俺を家の中に戻る様に促すと、玄関のドアを開けた。
「何のお構いもせず失礼しました」
頭を下げる俺に、
「いえいえ。俺の方こそ変なタイミングで登場してしまいまして……お邪魔致しました」
和馬もお辞儀を返すと、玄関を出て行った。
「……ふぅ」
静かになった玄関で、やるせなさの滲む息を吐き出す。
そして、ポケットから携帯を取り出すと、美紗に電話を掛けた。
美紗としっかり話し合いが出来るほど冷静にはなれていないが、美紗がちゃんと家に帰れたかどうかが心配だった。
美紗は電話に出なかった。
この日の夜にもう一回掛けてみたが、やっぱり美紗は電話に出てくれなかった。