貧乳眼鏡彼女・1

この作品は、練習用に書いた物　「書いた事の無いジャンルに挑戦」という題名で上げた物です。

　彼女は貧乳で眼鏡だ。

　髪は肩くらいで、艶のある黒。前髪を分けて、紺色のヘアピンで止めている。

　眼鏡も派手すぎずに、落ち着いた感じで、一言で言えば地味と言われるような部類だろう。

　身長は俺の顔一つと半分くらい小さく、背の低い事をまったく気にして無いし、胸が無い事も気にしてはいない。

　普段は本の事以外はあまり喋らないが、今は紙媒体の本を読んで、激甘の紅茶やコーヒーにミルクをドバドバ入れて飲みながら微笑んでる。

　今日は読書デートで、お互いに日の当たる場所で、空気清浄機の音しか聞こえないくらい静かな部屋にいる。

　付き合ったきっかけは、図書館で本棚の上段にあった本を、取ってあげたのがきっかけだった。お礼と言う事で、近くにあったコーヒー店に入って、好きな本の話して、お互いの好みと趣味が合い、そのまま仲良くなった。

　最初は生意気な子供かと思ったが、話してみれば、年齢は俺より一つ下で、俺より頭が良かった。

　そんな彼女がいきなり立ち上がり、近づいて来た。

「今読んでる小説の中で、キスシーンが有るんだけど、私達そろそろそういう事をしても、良いんじゃないかな？」

　背中から抱き付いて来て、肩に顎を乗せ、甘えて来てくる。

　耳に吐息が当りもぞもぞするが、今読んでる小説の影響だろうか？

　もう半年ほど付き合っているが、普段なら絶対にこんな事はしないし、こんな考えにならないはずだ。

「まぁ……そうだね。軽く？　ディープ？」

「え？　ふ、普通ので……」

　小説では、普通にキスでもしていたんだろうか。

「んー。舌、入れるの？　入れないの？」

「し、舌！？　入れない、そういうのはまだ早いよ！」

「俺の膝の上に乗って、首に手をまわしてくれないかな？　そういうの憧れるんだけど」

「ふぇ！？」

「じゃぁ、俺の頬を優しく両手で支えて、目を見ながらで」

「ぁ……その……それ……無理」

「そっちから誘ってきたのに、それは無いんじゃないかな？　まぁいいさ」

　そう言って彼女の方を向き、座ったまま顔を少し傾け、彼女にキスを軽くする。

　唇が軽く当たるが、お互いの唇は、少し乾いていたし、触れたという表現が近い。

「んっ……」

　そんな声を軽く出し、顔を真っ赤にしている。

「思ってた以上に刺激が強いのね」

　彼女は手の甲で唇を押さえ、目が少し泳いでいる。

「舌入れたらどうなるんだ？」

「ま、まだ駄目だよ、普通のキスでこれなんだから、舌なんか……」

　語尾がどんどん小さくなっていく。少しからかってみるか。

「当分、一緒の布団の中で、同じ本を読む事は出来ないな」

「駄目だよ、そういうのは結婚してからじゃないと！」

　さっきより顔を赤くして、少し大きめの声で怒られた。

　本当こんな女性は希少だ、がっつかないで、気長に俺の手から離れない様に、共に歩んでいきますかね。