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ゲームキャラの現実世界転生記  作者: 矢野 光輔
12/21

仲間

ルナとの再会、舞の新事実発覚、ルナの衝撃の行動があった日から、少し経った朝。

私は家で家族と食事をしていた。

不和は無いが、先の一件以来家庭内での地位が下がった私に父が言った。

「陸。そろそろ受験のことを考えないといけないな。」

そう言って父が読んでいた新聞を畳むと、そこに受験についてのことが書かれているのが見えた。

父は時々新聞を読んでいて、読んでいたその内容に触発されて話し始めることがある。

人によっては安直だと感じるだろうが、為になる事柄について話すので私は問題ないと思っている。

「学力が普通の高校にしようと思ってる。学力の関係で進学校には通えないと思うし。

今の学校には友達のおかげで入学出来たと思っているから、次は自分だけの力で受験を頑張らないと。」

正直今の中学に合格出来たのは、いののおかげだと思っている。くわもそう言っていた。

何故かいのに相談したり、勉強を見てもらうと成績が上昇する生徒が多かった。

いのは成績も良いし、実際教え方が上手いので、高校進学は余裕だと聞いている。

ただ、教え方が厳しく軍隊のようで、いの主催の勉強会の後は参加者が精神的に疲弊するが。

「あー。八千代ちゃんか。勝利くんと一緒によく勉強教えてもらってたしね。

中学受験の時は受ける学校が同じだったから良いけど、八千代ちゃんも進みたい高校は違うだろうし、今回は他の子の勉強なんて見てられないでしょうね。」

母がパンにバターを塗りながら言ってきた。

いのは学力がやや低い私に目を掛けてくれる。

付き合いが長いからいのの厚意に甘えてしまっていたが、そろそろ甘えから卒業するべきだろう。

「いのは生徒会でも活躍しているから余計にね。」

現在いのは生徒会選挙で副会長になっている。

文武両道といった感じのいのの人気は、それなりに高かった。

選挙の時に聞いたが、本人は生徒会長になるつもりだったらしい。

しかし、熱血というか厳しいイメージもあったいのは友人たちから「副会長の方が適任」と言われ、渋々と副会長になる道を選んだという。

くわに聞いたところによると、

「いのって信頼されてるけど、猪突猛進っぽいだろ?

周りにも色々強要する癖みたいなの、治ってないし。

だから生徒会長になったらちょっとヤバイかもって思った女子辺りが副会長に推薦したんだよなー。

ま、会長はムードメーカーとイメージキャラクターみたいなもんだし、副会長は経営とか実務担当みたいなところはあるよなー。

組織って、ナンバー2の存在が重要らしいぞ。漫画で読んだし。」

くわよ、漫画知識か。

まあ、いのの友人の気持ちは分かるので黙っておいた。

なんにせよ、高校受験はいのの手を煩わせないようにしなければいけない。

「・・・舞は受験でプレッシャーとかは無いみたいだな。」

私はトーストを食べる舞に話しかけた。

舞は食事は黙々と食べるタイプで、おしゃべりしながらの食事はあんまり好きではない。

ルナのキス以来、私は舞に対してややぎこちなくなっていた。

「・・・まあね。勉強してるし・・・。」

「うむ!舞は可愛いし、成績も優秀、おまけに部活でも賞を取ってるからな!

リア充だな!素晴らしい!モ-イ!モーイ!!モーイ!!!」

確かオランダ語でモーイは「凄い」という意味だったと思う。

父はアニメや漫画にあった知識をよく使いたがる。どうせ今回も好きな作品に感化されたのだろう。

しかし父はとても嬉しそうだ。

反対に舞はテンションは低く、眉を寄せて微妙な顔をしている。

そんな話をしてから、学校へ向かった。

登校途中、舞が立ち止まり誰かにメールを送っていた。

少し気にはなったが、そのまま学校へ向かった。


メール(安達舞⇒天城月子)

「父が私の成績が良かったり部活で活躍すると、異常に喜びます。今朝もです。

前世の仙田舞が完璧少女だったから、姿を重ねてるんだと思います・・・。

私が高校生になったら一体何が起こるか・・・。気持ち悪さが半端ないです。助けてください・・・。」


メール(天城月子⇒安達舞)

「舞ちゃん、好きな言葉を選んでねー。

①強く生きろ②明日があるさ③大丈夫大丈夫、気にすんな④愛とは耐え忍ぶことなり

⑤べ、別にお父さんのことなんて好きじゃないんだからね!」


メール(安達舞⇒天城月子)

「月子さんって自由ですよね。」


私は学校へ行ってから、くわに高校受験について相談した。

「あー。受験かー。俺は親からバスケの強い高校が良いんじゃないかって言われてる。

バスケは嫌いじゃないけど、体育会系って暑苦しいイメージがあるんだよなー。

でもバスケやってるとモテそうだし。高校ではモテたいからなー。」

そんなことを言いながら、くわは机に突っ伏した。

くわも受験のことで悩んでいるようだ。

成績について何も言わないのは、くわは成績が上の下くらいだからだ。

くわは頭が良く、バスケ部で活躍し、顔立ちも悪くない。

しかし、女性に対して軽いので今まで恋人ができたということは聞いたことが無い。

「あー、俺もりーみたいに彼女欲しいー!」

「何言ってるんだ?僕に彼女なんていないぞ?」

突然そんなことを言われた。身に覚えはない。

「はーん!?この前、道場の巨乳の先輩と一緒にいるの、実は見てたし!!

友として黙っててやったが、今の発言許せねえ!デートは楽しかったかい、セニョール!?

裏切り者のりーちゃんよお!熱いベーゼでも交わしたのかい!?レモンの味はしたか!?

むきー!!モテない男の怒りを知るがいい非国民!ぶるああああ!」

くわがチンピラ化して掴みかかってきた。

いやそんなことより、この間憩さんといたのを見られていたのか!

「お、落ち着いてくれ!憩さんとは付き合ってないし、買い物はしたけど本当に何もなかったんだって!」

「黙れ小僧!お前に俺の気持ちが分かるかー!」

ぎゃーぎゃーやっていたら予鈴が鳴ったのでつかみ合いは終了。助かった。

朝から男の嫉妬は恐ろしいのだと学んだ。

しかし、くわがあれでは高校受験について全く協力してもらえそうにない。

そういえば、いのとくわにルナとの関係を尋ねるのをすっかり忘れていた。

ちょうどいい機会だし、ルナ本人に聞いてみよう。

ついでに勉強も教えてもらえると有り難い。

前世で知力の高い話術士だったルナなら、この世界でも学力は高いだろう。



「あー。井上さんも桑田くんも前世が≪WEO≫なのー。

しかも同じギルドのキングコング様とトシアキ・ザ・チェリー様に創造されているのー。」

「ぶー!!」

口に含んでいたペットボトルの紅茶を吹き出してしまった。

放課後ルナに連絡をした後、お互い指定した公園に向かった。

会話が聞かれないように、公園の人気の少ない場所を選んだ。

飲み物を飲みながら前に駅前で見掛けたことを言ったら、これである。

「な・・・何でそんな重要なことを黙ってたんだ!?」

「聞かれなかったからー。」

開いた口が塞がらない。

こんな近くに仲間がいたとは・・・。灯台下暗しとはこのことだろう。

軽い感じで謝るルナを放置し、すぐさまいのとくわに電話を掛けた。

すると二人はこう言ってきた。


「へ?いちいち言う必要ないでしょ?子供じゃないんだから。仲間が恋しいとか言わないわよ、普通ー。

私ら今は人間として生きてるんだから、そっちの方が大事でしょ?現実見なさいよ。

ルナだって、過去は過去って言ったんじゃないの?それよ、それ。

言っとくけどリックとルナは前世で夫婦だけど、この世界じゃ、りーは未婚の未成年だからね。

頭おかしくなって、手出すんじゃないわよ。それしたら犯罪だからね。警察呼ぶよ?」


「はーん!?言うわけないだろうが!

前世の嫁が会いに来たなんてお前に言いたくないし!巨乳の先輩とイチャラブしてんのも気に入らん!!

なにそれ?ハーレム!?ふざけんなし!1人くらいこっちに寄越せばいいのに!

皆で分かち合えば、皆幸せになるのに、偉い人にはそれが分からんのですよ!!

くそう・・・。神様、俺にも雪さんみたいな女神を下さい・・・。」


いのとくわは冷静だった。

あれ?私の方がおかしいのか?よく分からなくなってきた。

「多分リックが変なんじゃなくて、元々の性格設定の影響だと思うよー。」

ルナが私の腕にしがみつきながら言ってきた。

「2人の細かいプロフィール教えてあげるねー。」


・所属メンバー11:アルルカン 女 軍人 レベル100

          ギルドマスター・キングコングの創造したキャラ。

          ステータスは平均的だが、味方の能力を上昇補正することが出来る。

「ただひたすらに活発。正義感の強い女。鉄の女と言っても良い。仲間思いではあるが、慣れ合いを好まず、孤高の魂を持つ。自立心が強く、怠けた奴を見ると口を出したくなる世話焼き。首尾一貫した考えの者には善悪問わず敬意を払っている。自立した者を好み、軟弱な奴を嫌う。」


・所属メンバー18:ナナシ 男 特殊工作兵 レベル100

          トシアキ・ザ・チェリーの創造したキャラ。

          暗殺や破壊工作に関するスキルをいくつか持っている。

「普通。可もなく不可もないムブ的な性格。だがしかし、女に関してだけは人一倍執着している。モテたい。めちゃモテたい。リア充を見たら嫉妬の炎を燃やす。彼女が出来たら尽くすタイプ。1人の時は怠け者。自発的には動かない。働いたら負けだと思っている。与えられた仕事はする、社畜の魂を持つ。」



「・・・。」

色々なことがあって、頭が回らない。

とりあえず紅茶を飲んで空を眺めた。

空の青さと、くっついているルナの温かさが身に染みた。

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