episode 2 少女捕獲
「彼女…渚が生まれたのは、その世界に大きな影響を与えた」
それは余りの魔力の強さに、渚が生まれてすぐに母体が死に行き、父親は悲しみに暮れたほどだ。
父親は錯乱して渚に対して酷い扱いを繰り返した。しかし、当時の渚に味方は居なかった。周りの人間が大量の魔力を恐れ、気味悪く思ったからだ。
虐待とも呼べるそれは、彼女が生まれてから五年間、毎日続いた。余りの拷問に物心ついた渚は苦しんで居たが、それと同時にもっと頑張って父親に認められなければ、と子供ながらに思った。勿論、心の何処かではそれは無駄だとわかって居たが。
6歳になった頃、無数の足跡と共に、父親が部屋に押し入って来た。
「君が…渚かな?」
数人いた中の一人が問う。
渚は不思議に思いながらも頷くと、その人は口角を上げて指を鳴らした。すると、その人の後ろに仮面をつけて立っていた数人が、渚を取り押さえにかかった。
「え……⁈いや、いやぁっ‼︎」
渚は必死に抵抗するのだが、数人の力は強く、気絶させられた後、乱暴に運ばれた。
「父上殿、実験体の確保に協力ありがとうございます。しかし、まさかこんな良物を手に入れられるとは…私はとても幸運です。感謝致します」
その人は父親に敬礼をすると、父親は小汚い、媚を売るような顔で、ごますりをする。
「いえいえ、あいつには困っていたんですから良いんですよ。それに……ねぇ?あの件、受けて下さる約束ですし」
「はは、そうでしたな。では、今後とも、何卒よしなに」
「ええ、勿論」
二人は、不気味に笑って居た。
その頃、渚は遠く離れた山奥にある、近代的な研究街に運ばれて居た。目隠しをされ、両腕は後ろ手に縛られ、両足も、足首の辺りで縛られていた。
無論、今だ気を失ったままで。
暫くして、一見普通の家のような施設に車が半ば乱暴に止められた。
渚の寝かされているトランクが開き、一人の肩に担がれて施設の中に入っていく。
バタンと言う音と共に丁寧に施設のドアが閉じられると、渚は地下にある部屋に入れられ、そこに置いてあったベッドに寝かされた。
そして、徐に枷を取り出すと、渚の足へ、枷を取り付け、彼らは出て行った。
仮面の下の表情は、皆それぞれ違っていたが、それを知る者は居なかった。
閲覧頂きありがとうございます。
今回の話から、本編に入っていきます。
作中に、ようじ……少女が傷つけられるシーンなど、残酷な物がありますが、決してそのような事を推奨したりしているわけではありません。作中の演出であり、舞台裏ではとても仲良いので、ご注意を。
…いや、仲がいいと言うのは勝手な妄想なんですが。
何はともあれ、この小説ではシリアスが点々と連なっているので、苦手な方は閲覧しないことを推奨致します。
嫌なに、作者がグロ好きなせいでこんな目にあってるんですけどね。彼女等。←
そ、それは置いておきまして!
次回も是非閲覧お願いします。