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お前は勝ち組and俺は負け組  作者: 日光さんDX
1章
13/26

彼女は変わらず俺は……

不快な部分が続くので注意。


私も駄文を書くので注意。

予想外の人物の登場に俺は戸惑ったが、口を開いたのは深城だった。

「あなた達がなぜこんなところにいるのかは分からないけれど、大体の事情は掴めたわ」

 深城は俺と村川を交互に見ながら、そう言うと、


「おおよそ、相沢が原因なんでしょう?」

 先程、背負い投げでコンクリートの地面に叩きつけられた相沢を見た。相沢は泡を吹きながら、気を失っている。

 俺は中学時代、深城と同級生だった。だから、同じ同級生の相沢の存在も彼女は知っている。勿論の事ながら相沢からいじめを受けていたことも。

 彼女の質問に俺は頷く。俺の動作を確認して、深城は村川の方へと向いた。


「ゆい。平気?怪我とかしていない?」

 深城は周りが空気だと思ってるのか、村川を気遣う。

 相沢のツレ達は動物に例えるなら自分のボスがやられた群れのようで深城に注目を集めていた。かなり警戒しているようだが、彼らに動きはまだない。

 俺達が取り囲む人だかりもざわざわと騒ぎ始めていた。これ以上は警察が来るぞ。


「有希……怖かったよぉ」

 村川は深城に抱き付き、目から涙をポロポロ溢しながらしゃくりあげた。

 そこから、深城の胸で泣き始める。

 初めは村川が突然泣き出したので、深城は驚いていた。けれど、次第に彼女の表情は優しく微笑み、ゆっくりと村川の頭を撫でる。


「よく頑張ったわね。後の事は任せて頂戴」


「うん」

 ファーストネームで呼び合う仲ならば、彼女は友達なんだろう。

 俺一人取り残された気分になりながら、彼女たちの関係をそう察した。


「で?上井草。これはどういうことかしら。返事の内容によってはあなたもただでは済まないのだけれど」

 ニッコリと俺に微笑みかける深城。

 怖い。怖いよ。その笑顔。ドライアイスみたいに冷たい瞳だよ。凍傷するよ。

 俺はできるだけ言葉を選び、深城に伝えようと試みる。原因は俺にあるが、いかに俺の罪を軽くするのが今は先だ。相沢たちは外出しない限り顔を合わさない。だが、深城は同じ学校なのであまり適当な事は言えない。


「え~。あのだな、その~」

 俺が言葉を選んでいると、村川が横から会話に入ってくる。


「ち、違うよ。上井草君は何もしてないよ」

 と村川は俺にフォローをいれる。

 深城は多少不服そうな表情をしたものの、相槌を打ち、納得したようだった。

 た、助かったー。


「今はそれでいいけど、いつか話してもらうわよ」

 深城が俺に対して言ったのは言うまでもない。

 ははー。目つきが怖いですよ。深城さん。


「てめーら!無視してんじゃねーぞ」

 相沢のツレの一人がようやく俺達以外で沈黙を破り、声を出す。

 深城はピクッと肩を震わしてから、ゆっくりと彼らに対して目線を向けた。目の威圧感が半端ではない。冷たく軽蔑に満ちた瞳。

 俺なら泣いて逃げる。絶対。


「無視はしているつもりはないわ。私はあなた達がかかってくるのを待っていたのだけれど……」

 深城は薄っすらな笑みを浮かべ、相沢のツレを一人、一人眺める。

 彼女は低い声で、


「どうやら……単なる臆病者だったみたいね」

 その言葉で相沢のツレ達はイラついたらしく、深城に殴りかかろうとする。


「なめんじゃねーぞ。こらっああああああ!」

 深城は顔面目掛けて襲ってくる拳を姿勢を低くすることで避ける。体勢を崩したのを深城は見逃すはずもなく、殴ってきた奴に足をかけた。見事に転ぶ。

 俺にも分かるぐらい嫌味たっぷりな笑みを浮かべた。


「もう終わり?」

 次々と相沢のツレ達は深城に対して怒りの感情を露わにし、襲いかかってくる。

 君達、それ負けフラグだぞ。


 喧嘩で素人の俺からして見ても、圧倒的な深城。


 一人ずつ冷静に対処する。攻撃を避けては怪我を負わない程度に料理をしていく。

 一番こいつを敵に回したくない。

 俺は心底そう思った。


「ひいいいい。許してくれー」

 全員片づけてしまいやがった。

 昔から彼女のやり方は変わっていない。

 いじめをする者といじめをされる者の間に入り、解決するというやり方。その解決策は暴力だけでなく、誰かを助けを求めることもある。要は「チクり」であった。

 俺がいじめを受けていた時、彼女は俺の担任であった教師にその事を報告し、解決を試みた。

 結果として、俺へのいじめは無くなった。


 あくまで、表面上だけだったが。


 俺は深城のやり方が気に入らないし、納得もしていない。

 なぜなら、助けられた俺側としたら、その行為は実に惨めであり、自尊心を傷つけるものだからだ。

 彼女は感情を考えていないのだ。いじめを受ける人の気持ちを理解していなかった。

 

 だけど、彼女の判断は正しい。

 世間では、そのような行為は好意として、彼女を称賛する。

 いじめに立ち向かった勇気ある人間だ。


 いじめを止めようとした判断は世間では正しい。


 だが、彼女の行なったそれは最善の解決策とはいえない。

 少なくとも、俺は最善とは言いたくなかった。


 俺が「いじめられてきた期間」は何だったのだろうか。

 俺は「誰にも相談しなかったせい」で無駄に傷を負ったのだろうか。

 そうだとしたら、俺一人で「いじめを解決」しようとしたことも無駄だったのだろうか。


 深城には感謝しているつもりだ。俺に出来なかった問題をいとも簡単にこなしてしまったのだから。

 それでも、俺は納得をしない。


「警察だ!君達、今すぐ暴力を止めなさい!」

 人だかりの中から数人、警察の人が出てきて、俺達を取り囲んだ。深城が呼んだのか、また人だかりの誰かが呼んだのか、それとも人だかりの原因を警察が察したのかは分からない。

 それでも、


 また今回も俺が納得しない形でこの問題は収束した。

やばいですね。

ほぼ主人公の一人語りでこの話終わっていますが、寛大な心で見てやってください。

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