第17章 坂田
坂田がバイトに出て2週間が過ぎた。
元々学生時代に少しアルバイトしただけで、医療の道にはいってからは医師以外のなんの仕事もしたことがない坂田にとってはこのホテルの清掃は新鮮に感じられた。
この2週間、仕事をまず覚えることに専念した
そもそも人格障害の調査をしたいつもりだった。
弓子の言った言葉・・もう一人ホテルの従業員にいるという話。
それと自分でもなにかそういう仕事をしてみたかったという願望もあった。
坂田には学生時代に恋人といえる女性はいた。
双方とも一人暮らしだったために、こういうところとは縁がなかった。
結局一度もラボホテルには行かずに、その恋愛は終わった。
以降は恋愛らしき恋に発展することはあるにはあったが、プラトニック以上にはなかなか進まなかった。
ホテルの室内のたったいま情事が終わった室内は妙に坂田を興奮させるものがあった。
ホテルは廊下や玄関にはカメラがついているのである程度年齢や、背格好は確認することができる。
しかしそれ以上のカメラの精度はなく、顔がはっきりわかる程度のものではなかった。
どんな人がどんな風にどんな事をするのか・・
坂田の興味は尽きなかった。
まだ2週間くらいしかたっていなかったが、一人で部屋を任されることも多くなってきた。
ゴミ箱をあさる。
テッシュの山とゴム。
時折、生理で使った衛生用品の類、媚薬の薬瓶なども出てくる。
坂田はそれを自分のポケットにテッシュで包み持ち帰った。
あくまでフェチの研究のためと納得させていた。
ホテルの室内清掃は12時でピークを向かえる
その後は宿泊に切り替わるために、当面室内清掃の仕事は出てこない。
休憩の時間が回転が早く、一部屋で2回転3回転することもあった。
12時過ぎに坂田のバイトの時間を終えて、車にもどった。
一台の車がホテルからでたところだった。
坂田は自分の車のエンジンをかけてその車を追った。
白塗りのベンツ。
そのベンツを20分もつけていたら、女性だけが降りて目の前のマンションにはいっていった。
坂田はエレベーターがどこに止まるか確認し、外に出て電気のつく部屋を確認した。
4階にエレベーターはとまり、4階の端の部屋の明かりがついた。
あ、ここだ・・
彼女がどんな私生活をおくっているのかどんな仕事をしているのか、どんな性格でどんな生き方なのか。。
興味は尽きなかった。
なんとか4階のべランダに上がれないものか・・
横の電柱を使って4階の端にはいけそうな気がした。
なんとか電柱にあがり、4階のベランダに降り立ち、窓の隙間から彼女の姿を確認することができた。
見ると、着ている洋服を全部脱ぎ捨て、全裸で生活をしているようだった。
目を疑った。
窓を蹴破って中に入りたくなる衝動をなんとか押さえ、自分で果てた。
坂田もまた弓子たちと同じように進行しつつあった。