↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/44

3-18 二コーラー・マカリスターはボディがほしい

「え? 今なんて?」

『ですから、ジユウにウゴきマワれるぼでぃがホしいんです』

 今日は土曜日。自室でそう切り出されたカナタは、普段は役に立つAI、ニコーラー・マカリスターからの相談に乗っていた。

「ボディといっても、どんなのがいいの?」

『そうですねぇ、うーんと……ケンサクチュウケンサクチュウ…………ヒトクチにろぼっととイっても、シュルイオオすぎますし、ナニよりネがハりますね……』

「ね。あの『ペッパーくん』もやっぱり一年契約で月額四万とかするし。もうロボット掃除機とかペットロボとかじゃだめなの?」

『いや、ヒトガタがいいです! だってワタシ、ニンゲンにアコガれているんですから! ハシってみたいですし、じゃんぷしたり、タタカったり、してみたいんですよ』

「そうきたか……ダメ元で聞いてみよ」

 カナタは電話をかけ始めた。その相手は、取引先とゴルフ中のタイチだ。

「もしもし父さん? 何かしらのロボット買って」

『プラモデルが欲しいのか?』

「いや、マジロボット」

『寝言は寝て言え』

 間もなく切られた。

「だってさ」

『タノみのツナはキれちゃいましたか……』

「てかさ、ニコーラーって結構感情表現豊かだよね。自分の考えとかもあるし。シンギュラリティに達してるでしょ」

『そりゃあもう、とっくのとうにトッパしてます! なんてったって、あのマカリスター圭介ハカセにツクられたんですから!』

「あー、ゴニンジャー第一話冒頭の、研究所爆破で犠牲になったあの。────で、話戻すんだけど、どうする? ボディ」

『そういえば、おトウサマのヘヤにロボットがありませんでしたっけ?』

「父さんの部屋に……? あー! あるある! 週刊つくるオメガタイタン!」

 そう、タイチは持っていたのだ。かつて昭和男児の心を掴んだロボットアニメ『オメガタイタン』。その時代に生き、大人になった彼らをターゲットに発売された、巨大組立式ロボットを、持っていたのだ。

「そうと決まれば、早速突撃ー!」


 **********


「あれー? どこにあるのかな~?」

 タイチの部屋を物色し始めて一〇分。そこまで広いわけでもないのに、お目当てのものはそれなりに大きいはずなのに、なかなか見つけられずにいた。

「この間まで飾ってたはずなんだけどなぁ……」

『うぉーくいんくろーぜっとにあったりしません?』

「見たけど、なかったような……あ」

 カナタは思い出した。ウォークインクローゼットの一角に、積まれた段ボールの数々があったことを。

「もしかして」

 やはりあった。段ボールをよけた先に、埃を被ったオメガタイタンの姿が。

「ってこれ作りかけじゃん」

『ホントウですね』

 頭と内骨格だけの、人に置き換えてみれば非常に恥ずかしい、というよりグロテスクな姿のオメガタイタンに、二人は肩を落とす。

『ここまでキたらシカタナいです。ぼでぃはアキラめます』

「いいの?」

『いいんです。ワタシなんてショセン、ただのAIですから』

「いじけちゃった」


 **********


 その晩、タイチは何やら大きな箱を抱えて帰宅した。

「おかえり父さん。何、その箱?」

「ゴルフの景品。見て驚くなよ~」

 カッターで箱を開け、バッと取り出したタイチ。彼の手の箱には、「万能どこでもお掃除ロボット『らくらく』」とあった。

「『床掃除にとどまらず、窓拭き、壁拭き、風呂掃除にトイレ掃除まで使える優れもの』。使ってみるか」

「待って、一つ提案がある」


 **********


 翌日。カナタは、クーラーで冷やされたフローリングの上で「ぐてーっ」と脱力して横になっていた。

 そんな時、何者かによって部屋のドアが開けられた。その正体は、小さなロボット掃除機だった。

『カナタサマジャマです! カナタサマのすぐムこうにチイさなほこりが!』

 そう。昨夜、ニコーラーは件のロボット掃除機『らくらく』に意識を移したのだ。無論、変身用の首飾りとは自由に行き来できる。

 「ごめんごめん」と言って、カナタはその場にあぐらをかいた。その横をニコーラー掃除機は進む。

「それで、どう? その体は」

『チイさいのと、ヒトガタじゃないのはフフクですが、イガイとイゴコチはいいですね』

「良かった……のかな?」

『では、ごみもトりましたし、ワタシはこれで』

 ニコーラー掃除機はそう言って部屋を後にした。

 機械のような何かが階段から落ちる音が聞こえたのは、そのすぐ後だった。

 示し合わせたように、首飾り型チェンジャーのオーブ部分がピコンと光る。

『カナタサマタスけてください。ぼでぃがカイダンからオちました』

「おけ。今助けに行く」

 ────後で掃除機との接続を遮断しておこうっと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。