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1.暗闇
どうしてみんな、将来についてそんなに楽しそうに、嬉しそうに語れるんだろう。
分からないものを、楽しそうに。
変わるかもしれないものを、嬉しそうに。
いつ死ぬかも分からないというのに。
わかんないよ、将来の夢なんか。
どうせすぐに死ぬんだから。
何もなせずに死ぬに決まっているのだから。
「なぁ、海斗お前はもう決まった?」
「いや、まだ」
隣の席の、名前も忘れた男子が聞いてくる。
俺のことを名前で呼ぶほど仲が良かったっけ。
誰だっけ、この子。
人の名前も顔も覚えるのが苦手なのはきっと、俺が周りに興味が無さすぎるからだ。
だから、こんなに捻くれた子供になった。
両親は優しくていい人達なのに。
この両親たちからなんで俺が生まれたんだろうか。
余計な思考ばかりが連なって、目の前の「進路希望調査」の用紙にはまるでペンが乗らない。
周りの楽観が、今だけは少し羨ましい。




