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異世界転移に巻き込まれた坊ちゃま好きたちによる坊ちゃまを最強に育てる異世界開拓  作者: 揚惇命
第二章 フランク王国

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第二十話 隠れた名店

【とある冒険者視点】


「ふぅ〜腹減ったなぁ」


 誰かれ構わずこんな声が漏れるのも無理はない。

 俺たちは、隣国フランク王国が魔物の群れから攻撃を受けたという報告を聞き、自由を愛する冒険者の国プロイセン王国の王から特命を受けて、フランク王国の援軍に向かった冒険者の一団だ。

 さぁ、今から戦うぞと意気揚々とフランク王国に入るも道端で倒れている人々を見て、一瞬もう滅ぼされたのかと思ったが宴の後だったのか呑気に寝ていただけだった。

 さらに唖然となったのは、1人の女性がリザードマンたちに命令をして、フランク王国の町々の復興支援をしていたことだ。

 リザードマンの多くは、魔王16神将と呼ばれているリザードマンのアイデクセム傘下だと聞かされていたからだ。

 それが皆、1人の女性の言葉に従って、続々とレンガを運び、高いところの作業もこなしている。

 汗水、垂らして働いてるのだ。

 一瞬、あの女が新しい魔王軍の幹部かと怪しんだが住民たちと親しげに話す様子や時折聞こえてくる勇者様という言葉で、理解した。

 勇者召喚で呼び出された勇者なのだろうと。

 要は、そうしなければ守れないほど追い込まれていたのは確かなようだ。

 最早、やることのなくなった俺たちは先ほどまで、あらかた片付いている街の復興支援を済ませるとプロイセン王国へと歩みを進めた。

 驚いたのは。


「あの〜この街ももう大丈夫そうなので、途中まででも良いですから旅について行っても構いませんか?女一人旅は、何かと危ないでしょう?」


 大量のリザードマンに蛇の魔獣として最上位のサーペントやコイツの毒に苦しめられた仲間は五万と居るとされる厄介な蛇の魔獣として知られているポイズンスネークを連れてる女が一人旅でも危ないわけがない。

 まともな冒険者なら女が連れ去られてると勘違いして、助けようと返り討ちに遭うのが関の山だ。


「姫が頭下げて頼んでんだ。なんとか言ったらどうなんだ?おい!」


 大量のリザードマンに凄まれて、ビビる俺たち。


「もう、リーちゃん!そんな脅すような言い方しちゃダメって言ってるでしょ。悪いリザードマンのリーちゃんは、ここに置いて行っちゃうからね」


「す、すんません姫!頼む冒険者のお兄さんお姉さん方、姫や俺たちも一緒に連れて行ってください!」


 と、こんな感じでリザードマンたちが女性にペコペコして、丁寧に頼んでくるのだ。

 まぁ、こちらとしても道中の安全が保障されたようなもので願ってもない。

 それに勇者召喚とやらについても詳しい話も聞くことができるだろうと同行を許可したのだが……この女は道中でも目についた蛇の魔物に進んで近付いて行き、パラライズスネークやチャームスネークと厄介な蛇の魔物だけでなく、この辺では冒険者が束になってようやく倒せるとされるファイヤーリザードですら手懐けてしまう有様だ。

 その度に身構え、気を張りすぎた俺たちの誰かれ構わず聞こえてきた言葉が冒頭の「腹減った」なのだ。


「結構歩きましたもんね」


「主〜この先の洞窟から良い匂いがするぞ〜」


 あの恐ろしいファイヤーリザードが女性に甘えて何かを伝える様は、何度見ても言葉が出ない。

 この先の洞窟から良い匂いがする?

 その洞窟には、行きも急な雨を凌ぐのに立ち寄ったが何も無かったはず。

 俺たちは顔を見合わせながら真っ先に新種の『ダンジョン』の可能性を考えた。

 料理で人を堕落させ魔王側に取り込むとかそういう類の。

 だから、安全確認も兼ねて立ち寄ることを決めた。


「いらっしゃいませ……ってヒロちゃん!?」


「えっユイ!?いきなりいなくなったから心配してたんだよ〜」


「ごめんね〜。料理を作ってくれた人たちに私のギフトが役に立つってスカウトされちゃって」


「そうなんだ〜」


 どうやら仲良さげに話す2人は知り合いのようだ。

 だが、こんな短時間でこれだけの設備を整えるとは……やはり言い伝え通り勇者召喚で呼び出された勇者に女神様から授けられるギフトとやらは、どれも強力なものらしい。


「何名様でしょうか?」


 メイド服を着た別の女性に話しかけられた。

 周りを見ると執事服を着た女性とこのメイドとスーツを着た女性の3人がウェイトレスのようだ。

 会計には、どう見ても猫耳のおもちゃをつけたまだ幼い少女が居て、その傍らには……見なかったことにしよう。

 こんなところに災厄を呼ぶスコティッシュケルベロスがいるわけがない。

 あれ1匹で大都市が軽く滅ぶとされている。

 そんな危険なスコティッシュケルベロスがまだ幼い少女に、顎を撫でられて甘えているなんて……うんあり得ない。

 あれは、まだ幼い少女が会計をきちんとするために睨みを効かせるためのハッタリみたいなものだろう。


「お客様?聞いておられますか?」


「す、すまない。俺たちはプロイセン王国の冒険者で、50人近く居るが大丈夫だろうか?」


「はい。大丈夫ですよ。お席につきましたら、置いてあるメニュー表を見て、注文がお決まりになりましたら、ベルと呼ばれるこちらの金属を軽く押してくださいますと注文を取らせていただきます」


 どうやらしっかりとしている店で安心した。

 これなら魔物が運営しているダンジョンの可能性も無いだろう。

 俺が頷くと仲間たちも意気揚々と席に着き、メニュー表を見る。

 さて、どんなメニューが……。

 ソーセージ?ヴィーナーシュニッツェル?ラーメン?寿司?

 なんだか見慣れない言葉が立ち並ぶ辺り、料理人も勇者召喚の勇者とやらなのだろう。

 どれを注文しようか悩む俺なのであった。

 ここまで、お読みくださりありがとうございます。

 少しでも続きが気になると思っていただけましたら評価・良いねしてくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。

 それでは、次回もお楽しみに〜

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