第十三話 分身の生成
【ローザ視点】
新しくテイマーの猫宮様が仲間になった私たちは、転生して三日目にしてフランク王国を目指して動いておりました。
主に坊ちゃまのダンジョン地底移動で。
「坊ちゃま、お疲れではありませんか?」
「大丈夫だよローザ。皆んなにはダンジョン内の地面ばかり見させて退屈させてごめんね。僕のように地上も確認できれば良いんだけど。うわっ!?」
「坊ちゃま!?」
坊ちゃまが悲鳴を、何かあったのでしょうか?
「う、うーん。はっ!?このぉ!堅物眼鏡、酷いじゃないですか!侵入者を捕らえた私の頭に肘鉄を食らわせるなんて!」
煩い雌豚が起きてしまいましたか。
「そ、そんなこと言ってる場合じゃないのにゃ。推しのピンチなのにゃ!」
坊ちゃまの危機に反応するとは、流石猫宮様です。
「皆んな、驚かせてごめんね。今、頭の中でレベルアップの音が鳴ってさ。あはは〜」
なんだレベルアップの音ですか……そんなの私もこの雌豚も……私としたことが坊ちゃまに説明するの忘れていました。
ここは、今知ったかのように驚いておきましょう。
「この堅物眼鏡!坊ちゃまに説明してなかったんですか!?」
チッこの雌豚のせいで、万能執事の面目が丸潰れです。
「えっ?ローザは、このこと知ってたの?」
坊ちゃまに言われて知らなかったと言えませんね。
「申し訳ございません。私もあの群れるゾンビどもを倒していた時に知りましたので」
「そうなんだぁ。あの状況なら仕方ないね。僕のこと守ってくれてありがとうね2人とも」
「坊ちゃまをお守りするのが執事の務めですから」
「専属メイドとして当然のことです」
ズッキューン。
こういうきちんと仕事に対して、褒めてくれるところが坊ちゃまの良さなのです。
旦那様も奥方様も、無表情で『当然ね』みたいなところを坊ちゃまだけは、こうして労ってくださるのです。
あぁ。
坊ちゃまに褒められるだけで、私のしてきたことが報われる。
あー好き大好き。
【ラルク視点】
ふわぁ〜。
少し眠たいけどまだリーツェン王国に近いし、ゾンビもスケルトンも地面から湧いてくるんだよね?
その辺りで死んだ人と出会うとか絶対に避けたいし、もうちょっと頑張って歩いて離れよう。
「坊ちゃま、お疲れではありませんか?」
いけないいけないローザは勘が鋭いから疲れに気付かれるわけにはいかない。
「大丈夫だよローザ。皆んなにはダンジョン内の地面ばかり見させて退屈させてごめんね。僕のように地上も確認できれば良いんだけど。うわっ!?」
まだ僕はスライムとすら戦闘してないんだけど!
某有名ゲームのレベルアップ音が頭に。
声に出して驚いちゃったせいで、みんなを驚かせちゃったじゃないか。
安心させないと。
「皆んな、驚かせてごめんね。今、頭の中でレベルアップの音が鳴ってさ。あはは〜」
メアリーが僕にその話をしてなかったのかとローザを責めたりと色々あったけど。
まぁ、あの屍どもが動き回る中で説明なんてできるわけないよね。
それを責めるなんてあんまりだぞメアリー。
えーっとステータスオープンと。
えっ2ページ目?
何々。
『こちらはギフト専用ページです。どちらを確認なさいますか?』
ギフト『吸収』を選択と。
ギフト 吸収
説明 このギフトはレベルアップで成長しない代わりにありとあらゆるギフトを吸収・付与することが可能です。
そうなんだ。
僕のギフトって成長しないんだ。
じゃあレベルアップの意味って……ひょっとして不動君のギフト『ダンジョン』の方かな?
ギフト ダンジョン
説明 ダンジョン魔力を使ってモンスターの生成及びダンジョン内を整えることができます。
現在使用可能なスキル
モンスター生成ランクG(ダンジョン魔力を10使って、冒険者ギルドに登録されているGランクモンスターを召喚できます)
通路及び壁の生成(ダンジョン魔力を1使って、通路と壁を生成できます)
罠の生成(罠を生成する。但し罠に応じて必要なダンジョン魔力が変わります)」
ダンジョン魔力って?
うーん、分からないことはローザに聞けば良いよね。
「それでねローザ。ダンジョン魔力って何かわかる?」
「ダンジョン魔力ですか。成程、坊ちゃまのダンジョンはダンジョン魔力を用いて、成長させるタイプなのですね。成程。こういう場合、ボーナス特典として、付与されてる事があります。何処かに現在のダンジョン魔力が書かれていませんか?」
あはは〜僕のダンジョンじゃなくて不動君のだけどね。
えーっと、現在のダンジョン魔力は……これかな?
『ようこそダンジョンマスター様。ここでは現在のダンジョン魔力及び、ダンジョン内限定でマスターの分身を登録する事が可能です。マスターの分身を登録しますか?』
分身だって!?
誰もが自分がもう1人いたら時間に余裕があるのになぁって思ったことはあるはず!
それが叶えられるなんて、最高じゃないか!
登録しますっと。
『先ずは、貴方様のお名前をお教えください』
ラルク=フォン=ビスマルクっと。
『ダンジョンマスターラルク様ですね。続いて、ラルク様の分身と成られるダンジョン内モンスターの作成をお願いします』
モンスターの生成じゃなくて作成ということはオリジナルモンスターって事かな?
モンスターって怖いイメージがあるから僕の分身は可愛くしたいなぁ。
あっこの兎可愛い。
良し、素体は兎で決定っと。
で、自由自在に歩くには四足歩行じゃなくて二足歩行の方が便利だよね。
あ、でも逃げる時は四足の方が速いよなぁ。
両方いけるようにしよう!
とにかく可愛さ重視で!
うんうん。
可愛い兎さんが立ってるだけのモンスターができたぞ。
『こちらをダンジョンマスターラルク様の分身として登録して宜しいですか?』
はい!
うわぁ、兎さんがぴょんぴょん跳ねてる。
か、可愛い。
「ダンジョンマスターラルク様、これから宜しくなのです」
うわぁ。
兎さんが話してる。
か、可愛い。
「うん。僕こそこれから宜しくねキャロット」
もうね兎さんの名前は先に決めてた。
「はい。宜しくなのです。マイマスター」
こうして僕は自我を持った分身を手に入れたのだった(ダンジョン内限定だけど)
ここまで、お読みくださりありがとうございます。
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それでは、次回もお楽しみに〜




