第九話 戦場だけが戦場じゃない
【ミネルヴァ視点】
「ヌードゥル!麺ばかりでは、健康面に偏りが出ます!兵士たちへは肉を供給してあげてください!」
「ミネルヴァどん。しかし、おいどんは、麺料理が得意でごわす。それ以外は」
「それを言うなら私だって、デザートを封印して、苦手なメイン料理を作っています!料理長たちも表で戦っているのです!文句を言う前に非戦闘スキルの私たちにしかできない戦いがあるでしょう!」
「わ、わかったでごわす!やってみるでごわす」
「お願いします!」
そう、ビスマルク家の料理人の中でも戦闘向きではないスキルの私とヌードゥルは、フランク王国の厨房をお借りして、せめて兵士たちのため美味しい料理を作らせて貰っていた。
しかし、私はお菓子職人で、メイン料理の経験はありません。
頼みの綱のヌードゥルは、麺料理しか作れないとかほざく始末、全く役に立っていない状況です。
手頃に食べられる物が良いでしょうか。
唐揚げにおにぎりなら私でも作れるでしょうか?
「ヌードゥル、油と醤油を」
「了解でごわす!」
調理道具は、おにぎり型取り器と鍋とフライパンでいいでしょうか?
しかし、おにぎりを作るための便利な物があってよかった。
おにぎり型取り器で、おにぎりの形にして、醤油を塗って、フライパンで焼けば焼きおにぎりの完成です。
パン粉と卵と醤油で味付けした鳥のもも肉を一口大に切り分けて、大きな鍋に投入して。
「ああ!!!!」
「ど、どうしたでごわすか?」
「私としたことが唐揚げを取り上げるすくい網を忘れていました!」
「忘れてたのなら出せば良いだけなのではないでごわすか?」
「一々、五月蝿いですね!これもヌードゥルが麺しか作れない無能なのが問題です!」
「責任転嫁はやめて欲しいでごわすよ」
私はすくい網を取り出して、唐揚げを紙コップの中へと詰める。
これでおにぎりと唐揚げの軽食セットの完成です。
な、何とかできました。
帰ったら坊ちゃまにミネルヴァお姉さんはデザートだけじゃなくて、メイン料理も作れて偉いねって褒めて貰わないと。
「それよりも。ヌードゥル!ちゃんこ鍋はできたんでしょうね?」
「勿論でごわす。麺入りでごわすが」
「・・・。こんのぉ麺馬鹿がぁぁぁぁ!!!!」
私はヌードゥルをグーパンチで殴りました。
「あの、私にも何か手伝える事はありませんか?って、あの大丈夫ですか?もしもーし?」
「そこの馬鹿は、勝手に転んで頭を打っただけなのでお気になさらず。それよりも貴方は?」
「あ、はい!皆様と一緒にこの世界に呼び出された勇者とやらの1人で、棚瀬結衣って言います。あの最初に発言した女性のことを覚えていますでしょうか?その黛先生と同僚でして。私のギフトは、『食器生成』という料理をしてくださる皆様のお役に立つかと思って。キャッ!?」
私は頼りになる援軍の到来に引き寄せて抱きしめた。
「ありがとう棚瀬さん。早速だけど、水筒は出せる?」
「は、はい!やってみます」
ほんと、便利な能力よね。
これで、ちゃんこ鍋は水筒に入れて、焼きおにぎりと唐揚げは弁当箱に詰めて、兵士の皆さんにお届けできるんだもの。
「本当に凄い力!ありがと棚瀬さん!棚瀬さんさえ良ければこれからも私たちに力を貸してくれると嬉しいわ」
「あ、はい勿論。その皆さんは、どう言った関係なんですか?その、初めからすごくまとまっていたのが気になって」
「私たち5人は、ビスマルク公爵家に仕える料理人なの。それととある人が上に立つ未来を夢見ている同志って感じ」
「ビスマルク公爵家?それって、ひょっとしてラルク君と関係してます?」
「坊ちゃまのこと知ってるの!?」
「あ、はい勿論!私の担当は理科なので、ラルク君にも教えていましたから」
「坊ちゃまの学校の先生なんだ......あれっ?私たちは、屋敷にいた時に巻き込まれて。んん?ねぇ、棚瀬さんもピンク色に光る怪しい魔法陣に引き込まれた感じ?」
「はい。学校の職員室で」
「ヤバっ。このこと一刻も早く料理長に伝えなきゃ。ゴホン。教えてくれてありがと棚瀬さん」
つい、日本に憧れてギャルみたいなことしてた時代の口調が出そうになってた。
ヤバいヤバい。
でも、マジで棚瀬さんから良い情報聞けたわ。
坊ちゃまもこっちに巻き込まれてる可能性あるってことだし。
そしたらさ。
もう向こうに帰らずこっちで坊ちゃまをみんなで盛り立てれば良いだけっしょ!
希望が見えて興奮してきたら、まんま素が出ちゃってるし。
ま、いっか。
【ホプキンス視点】
だからフラグは勘弁してくれって言ったじゃねぇか!
何だよあの言葉を話すトカゲの集団はよぉ!
「ついに出てきたか。魔王16神将何1人、リザードマンのアイデクセム」
「やれやれ、奥の手で準備してきたサイクロプスやシルバーウルフまで殺されるとは、思ってなかったぜ。死に体の癖に中々やるじゃねぇのフランク王国。でも、これでチェックメイトだ」
リザードマン?
16神将?
何だか、わからないけど要は智慧のある魔物って事だよな?
厄介な存在が現れやがった。
こっちは、もう魔力カラッカラなのによぉ!
「野郎ども!フランク王国の連中を食い潰せ!」
「ヒャッハー!」
「いかん!歩兵隊、体勢を立て直してリザードマンを受け止めよ!これを凌げば我らの勝ちぞ!」
「うおおおお!!!!クローヴィス陛下とフランク王国のため、リザードマンを受け止めてやる!」
幸いにもこっちの士気は大丈夫だが。
相手の数が問題だな。
ハハッ。
しゃあねぇ。
俺も武器と盾を持って、受け止めるぐらいしてやらぁ!
どのみち、ここで生き残らなきゃ坊ちゃまにも会えねぇしな。
しゃあ!
気合い入れろ俺!
行くぞ!
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それでは、次回もお楽しみに〜




