第一話 フランク王国の勇者召喚
ここは、由緒正しき王国の一つで、名をフランク王国と言う。
王の名をクローヴィス・キルデリクと言い、勇猛果敢で、兵たちと共に前線で武威を振るう猛者であった。
しかし、奮戦虚しくワイバーンの襲撃を受け滅びの時を迎えていた。
【クローヴィス視点】
「よもやハーピィだけで無くワイバーンまで持ち出してくるとは、魔王の奴め。本気でフランク王国を取るつもりのようじゃな。やりよる」
「クローヴィス一世陛下!一時、城内まで退いてください。ここは我らが何としても死守します!」
「何を言う。ワイバーンとやり合える楽しみをワシから奪うことは許さんぞ。それにワシが死ねばどの道フランク王国は終わりじゃ。怯えて民すら盾にする愚息ではな」
「だからこそ!だからこそ!クローヴィス一世陛下さえ、御健在であれば、立て直しができます!何卒!何卒!ここは、城内までお退きください!」
「絶対にワシは退かん!そもそも、お主らだけでワイバーンが防げる訳なかろうて」
「ハァ。もう良いです。兵の命すら見捨てられないそれがクローヴィス一世陛下だと言うことを失念していました。もうどうなっても知りませんよ」
「望むところじゃ。この苦難、共に乗り越えようぞ。我が国の英雄たちよ!いざいかん!ワシに続け!」
空を飛ぶ魔物たちの襲撃。
フランク王国には対空兵器が存在せず。
弓だけで撃ち落とせる魔物の数などたかが知れていた。
それを補い多くの魔物を討ち取っていたのが雷の魔法を使いこなすクローヴィス一世陛下であった。
この異世界において、異世界召喚された勇者が持つギフト以外に魔物に対抗できうる力、それが魔法である。
特に雷の魔法は強力で、空を飛ぶ魔物たちにとって、特攻であった。
これもあり、大多数の空飛ぶ魔物の襲撃を受けて尚フランク王国が持ち堪えている所以である。
しかしそんな恵まれた力を持つクローヴィス一世陛下も子には恵まれなかった。
領土的野心はありつつも自らが傷付くことは良しとせず後方にて人を使うことしか考えないクロータル・キルデリク、今も城内に籠っている臆病者である。
【クロータル視点】
ひぃぃぃんんんん。
ワイバーンが沢山飛んでるぅぅぅぅぅ。
もうおしまいだぁぁぁぁぁぁぁぁ。
死にたくないぃぃぃぃぃ。
死にたくないぃぃぃぃぃ。
どうせ終わりなら、、、古に聞く勇者召喚とやらを使って。
そうだ勇者召喚があるじゃ無いか!
「クロータル殿下!どちらへ?」
「俺の邪魔をするな!そこを退け!」
制止しようとした兵士に体当たりして、そのまま地下へ向かうクロータル。
古に聞く勇者さえ勇者さえ召喚すれば、俺の命は助かる助かるんだ!
馬鹿な国民が何人死のうが関係ない!
俺さえ俺さえ生きていれば、この国は俺のモノなんだから。
地下へと続く扉を開け、勇者召喚に使用する魔法陣を起動するクロータル。
ははは。
やったぞ。
これで、勇者が召喚される。
俺の命は助かる助かるんだ。
早く来い!
早く来いよ!
勇者ぁぁぁぁぁ!!!!
【クローヴィス視点】
フランク王国のトゥルナカム城内から光の柱が天高く空へと伸びるのを見るクローヴィス。
誰が地下の魔法陣を起動させたのだ大馬鹿者が!
他所の世界の人間を巻き込んでまで守る命などあるはずなかろうが!
「クローヴィス一世陛下!あの光は?」
「誰かが地下の魔法陣を起動させたようじゃ」
「馬鹿な!?あれは、禁忌のはず!一体誰が?」
考えたくはない。
考えたくはないが。
そんなことをする奴など愚息を置いて他におるまい。
よもや、ここまでの大馬鹿者であったとは。
しかし、あの愚息が異世界から勇者を召喚したとなれば、ますますワシは死ねん。
ワシが死ねば、呼び出された異世界人があまりにも可哀想であろう。
やはり、あんなもの早々に壊しておくべきであった。
これは全てワシの失態じゃ。
「グルァァァァァァァ!!!!」
「クローヴィス一世陛下!危ない!」
ワイバーンの放った火球がドカーンという音を立てると共にクローヴィスを庇った1人の兵士の下半身が吹き飛んだ。
「へ、へいか、が、ぶじで、よかっ、た」
「喋るな馬鹿者!ワシがよそに気を取られたばかりにすまぬ!死ぬな!死ぬでない!貴様ーーーーー!許さんぞーーーーー。サンダーボルト!」
「グア゛ア゛ア゛」
クローヴィスの放った雷の上級魔法サンダーボルトを受け、ワイバーンが落下していく。
「医療班は、まだか!ワシがワシが余所見をしたばかりにすまぬ!本当にすまぬ!」
しかし、クローヴィスを庇った兵士から声はもう聞こえない。
ただ、屍があるのみである。
【クロータル視点】
ヒィィィィィィィ。
また、外で爆音が。
ワイバーンが。
ワイバーンが。
来る!
クソッ!
何が勇者召喚だ!
ちっとも来ないじゃないか!
死にたくない!
死にたくない!
死にたくない!
俺は、このフランク王国の王子だぞ!
さっさと来やがれ、異世界人ども!
その時、魔法陣が怪しく光るとそこには、コック帽にコックコートを着た人物が5人と正装に身を包んだ人物が12人現れた。
ようやく来たのか。
これで助かる!
「おい勇者ども!とっとと外に蔓延ってやがる魔物どもを蹴散らしてきやがれ!俺様のためにな!」
ここまで、お読みくださりありがとうございます。
少しでも続きが気になると思っていただけましたら評価・良いねしてくださいますと執筆活動の励みとなりますので、宜しくお願いします。
それでは、次回もお楽しみに〜




