第一六話 リーツェン王国の滅亡
【フリードリヒ視点】
「陛下、もう押さえきれません!早く、早くお逃げください!」
「逃げる場所など何処にあると言うのだ馬鹿者!」
「陛下は常々言っておられたではありませんか!この国には不測の事態が起こったときに避難できる地下通路があると」
そんなもの、余がとうの昔に破壊したわ!
暖炉の奥にある地下通路など煤だらけになるだけではないか!
しかし、そんなことを言えるはずもない。
「それがあるのは寝室の暖炉の後ろなのだ。既にゾンビが埋め尽くしている寝室のな!」
「何で、そんなところにあるんですか!普通、こういう時は玉座の後ろとかでしょうが!」
「お前は、誰に向かって口を聞いておるのだ!とっとと、敵を排除せぬか馬鹿者!」
「こんなことなら陛下を寝室からお連れするんじゃ無かったですよ!そのまま、寝室にいたら逃げられたじゃないですか!」
「喚くな!」
「もうやってられないっす!どうせ死ぬんなら、自分で死ぬっす!」
ええい!
馬鹿な真似は良せ!
そんなことをすれば、余の死期が早まるであろうが!
もう目前にゾンビが。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ」
余が築きし王国をこんな目に。
許さん、絶対に許さんぞ死霊術師ーーー!!!
地獄の底から呪ってやるぞ!
【根暗葬視点】
なんか鳥の囀りが聞こえますねぇ。
「ゾンビ01、どうしましたか?ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「そうですか。そうですか。何人か言うことの聞かない馬鹿が爆弾魔に焼かれましたか。まぁ、良いでしょう。組織の中で勝手なことをする人間なんて要りませんからねぇ。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「ふむふむ。ゾンビ02からも何か報告があると聞きましょう。僕は優しくて寛大な屍の王ですからねぇ。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「ほぉ。言うことを聞かない馬鹿はそちらにも居ましたか。にしても走屋と塊もやるじゃないですか。無事に逃げ切るなんて、まぁ元クラスメイトとして序盤も序盤。こんなところで死なれたら困りますからねぇ。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「何ですかゾンビ03からも報告ですか。良いでしょう聞きましょう。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「ふむふむ。女性陣はまとめて、委員長が伝通の郵便トラックに乗せて、無事にここから離れたと。聖女の清瀬がいなくなったのは、良い傾向です。僕とすこぶる相性が悪いですからねぇ。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「ゾンビ04からも報告があるとモテる男は辛いですねぇ。良いでしょう聞きましょう。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「流石、騎士道と言ったところですねぇ。でも、あの民家に住んでる女は、顔は超絶ブサイク声は超絶乙女、胸と尻は貧相、ぶくぶくと太っていたはず。騎士道のタイプと一致しませんねぇ。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「ゾンビ05からも報告ですか?良いでしょう、聞きましょう。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「そうですか。留学生は、忽然と姿を消しましたか。まぁ、良いでしょう。アイツだけは殺しておくつもりだったのですが。思った以上に優秀な駒をお持ちのようですねぇ。ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「はいはい。ゾンビ06、どうしました?ふひっ」
「あ゛ーう゛ー」
「とうとう、クズが1人死にましたか。それにしても、許さないなんて、死んだら僕に利用されるだけなのに何かできると思ってるんですかねぇ。ふひっ。それでは、予定通り、今日この日からこのリーツェン王国でしたっけ?この国は、僕たち不死者の国、イモータルキングダムとでも名を改めるとしましょう。こうやって、人類に害を及ぼしていけば自ずと魔王様の方から接近してくれるはずですからねぇ。ふひっ」
根暗葬は、こうしてリーツェン王国を掌握。
不死の者たちの国、イモータルキングダムを建国。
屍の王に就任したのだった。
【ローザ視点】
メアリーが首根っこ捕まえて持ってきたのは、確かに見覚えがあります。
屋敷の近くをウロチョロ。
木を登って、屋敷の中をちょこちょこと見ていた学生のようですね。
身のこなしが軽やかで、猫みたいだったので覚えています。
何はともあれ先ずは安全かどうか『鑑定!』で確認しませんと。
名前 猫宮袮夢
職業 小学生兼ストーカー
ギフト テイマー(動物を手懐けることが可能。ここで言う動物の中には魔獣も含まれる)
生い立ち 猫宮家の老夫婦の子供として誕生する。猫が沢山いる猫宮家の猫と一緒に育ったからか異常に俊敏で夜目が効く。その分、朝は苦手で良く遅刻しそうになるのをラルク=フォン=ビスマルクへの推し活で、何とか耐えている。猫のように寒いのも苦手で、よく炬燵で丸くなってるのを猫宮家の老夫婦は微笑ましく見ている(本人には秘匿事項。実は、猫宮家の老夫婦に猫と一緒に捨てられていたところを拾われた。尚、本人は猫宮家の老夫婦の実の子供と思っている)
本人には見えないように隠されている部分がありますがそれも私のギフトの前では筒抜け。
うっ。
こんな可哀想な生い立ちが。
それを首だけで捕まえてまるで物のようにぶら下げて持ってくるとは。
めちゃくちゃ、苦しそうじゃないですか。
やれやれ。
「こんの馬鹿メイドが!」
「あぎゃぱぁ」
私の手刀の一撃を受けて、その場に崩れ落ちるメアリー。
「ヨシヨシ、もう大丈夫ですからねぇ。あのもし良かったら。行くところがなかったら坊ちゃまのメイドになります?」
「えっ!?良いのかにゃ!?」
そのキラキラな瞳、良いです。
坊ちゃまを推す仲間を無碍にはできません。
それにテイマー、良いじゃないですか。
有用な人が坊ちゃまを好きで居る。
味方に引き入れるのは、当然の判断と言えるでしょう。
決して、私が猫好きだからではありませんからね。
そこ、お間違えの無い様に。
「ローザ、いくら何でも猫宮さんをメイドにするのは反対だよ。パーティ仲間として迎え入れるという方向で」
「勿論、わかっております坊ちゃま!」
「うん。じゃあ、これから宜しくね猫宮さん」
「はいにゃ〜」
「で、ローザ、僕たちは何処へ向かうべきかな?ホプキンスさんも巻き込まれてるなら早く合流したいし、やっぱり戻るべきかな?」
「いえ、あれだけ探して見つからなかった以上、ホプキンスは、ここではない別の国に召喚された可能性があります。ここは、お隣のフランク王国に行ってみませんか?魔物に襲われていると言っても坊ちゃまによるダンジョンでの地底移動なら気付かれることはないでしょう」
「あくまで様子を見るだけだからね。危険だと判断したらすぐに逃げるから」
「勿論です」
「じゃあ、発進するよ」
後で、坊ちゃまに詳しく聞いたところどうやらダンジョンに乗り物として乗ってる感覚なのだそうで、疲れは一切なかったと。
坊ちゃまが無理してなければ、良いのですが。
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それでは、次回もお楽しみに〜




