第一五話 クラスメイトたちの動き
【爆弾魔視点】
俺は比較的、火の周りの遅いところから重点的に金目のものを漁った。
「おい芳雄、何してるんだよ!とっとと逃げようぜ」
背後から腐れ縁の騎士道司の声が聞こえるが俺は気にしない。
逃げたいなら勝手に逃げれば良い。
この機会を逃せば俺が生きていくための金を得られる機会は無いかもしれない。
いや、無いなら俺のギフトを使って、作れば良いだけか。
勝手に召喚されて、不動みたいに殺されるなんて俺はごめんだ。
殺される側になるぐらいなら殺す側になる。
自分の身を守れるのは自分だけなんだからよ。
「芳雄!気が狂ったのか!早くこっちに来い!火の手が回るぞ!」
あぁ、落ち着く。
後ろでは相変わらずキャンキャンと騒いでる奴がいるが、俺のことはほっといてくれ。
俺は元の世界に帰るためにこの世界で、生き抜かなきゃならねぇ。
そのためなら、誰を犠牲にしてもな。
不思議と俺の身体は炎には包まれない。
むしろ、熱さも感じない。
へぇ。
これが『バーニングマン』の実力か。
火が大好きな俺とまさに最高の組み合わせだな。
「爆弾魔、お前あの火の中から火傷も負わずに出てきたのか?」
何だ、電気流も付いてきてたのかよ。
ゾンビにビビって篭ってりゃ良かったのによ。
「電気流が言う程、火の回りもなかったよ。それよりもアレぐらいでビビってたのかビビリが。あぁ、ゾンビ見て卒倒しそうになってたぐらいのビビリだもんな。仕方ねぇか」
「誰だって苦手なものの一つや二つぐらいあるだろ!お前がプールが苦手なように」
プールが苦手?
ちょっとちがう、俺は水が苦手なだけだ。
「芳雄も翔もその辺に。それよりも芳雄、お前正気かよ。これ犯罪だぞ」
「はっ?司。お前こそ、頭お花畑か?ここは現実世界じゃねぇんだぞ。燃え尽きそうになってるものを俺が貰って何が悪いんだ?それともお前は、野垂れ死にしたいのか?生きるってのは、こういうことなんだよ!ガキの俺たちに稼ぐ手段があるとでも本気で思ってるのか?アルバイト?戸籍は?住所は?んなもんねぇだろ!なら、手っ取り早く奪っちまえば良い!生きるためなら仕方ねぇ!これは、仕方ねぇことなんだよ!」
「でも芳雄」
「俺は別に司の同意を求めてねぇよ。俺が生きるために必要だと思うことをやってるだけだ。じゃあな」
「待てよ芳雄!」
「キャァァァァァァァァァァァ。入ってこないで!」
「女の子の叫び!?翔、助けに行くぞ!翔?」
「爆弾魔。いや、爆弾魔の兄貴!俺、感動した!確かにガキの俺たちが生きていくためには、裕福な他人から奪うのが1番だ!どこまでもついていきやすぜ爆弾魔の兄貴!」
「翔?お前まで、正気かよ。勝手にしろ!」
俺からしたら正気を疑うのは、お前の方だぜ司。
人が簡単に死ぬ異世界で他人のことなんて構ってられる余裕なんてあるかよ。
「付いて来い電気流」
「ヘイ!」
【騎士道視点】
芳雄も翔も有り得ねぇ!
か弱い女性が助けを求めてたら助けるのが男ってもんだろ。
それを犯罪行為に手を染めるなんて、見損なった!
声が聞こえたのは、この辺りだったはず。
扉を叩いてるのは、ゾンビか。
ゾンビの弱点は頭、いや正確には脳だ。
そこを的確に俺のギフト『ナイトランサー』で呼び出した槍で貫く!
「ゾンビどもが!調子に乗るんじゃねぇ!疾風突き!」
走る速度が急激に上がると俺の槍がゾンビの頭を破壊した。
こうやって、技の選択をすると戦い慣れてない身体でも何とかできるもんなんだな。
「お嬢さん、御無事ですか?」
「はい!ありがとうございます」
なんて可憐な声なんだ。
御礼にムフフな展開になったりして。
扉が開いて、出てきた女性は、俺のことを軽々とひょいと抱き抱え、頬にブチューっとキスされる。
その顔を見て、俺は。
「ゴリラ!?」
「まぁ、失礼な殿方ですわね。でも、私の未来の夫となる御方ですもの許しますわ」
いやいやいや、無理無理無理!
ゴリラ顔に胸はぺちゃんこ、ウエストは太い、尻は小さい。
俺の理想とする女性は、ボン・キュッ・ボンなんだよぉぉぉぉぉぉ!!!!
このゴリラ女に捕まった俺に逃げる術なんて無かった。
抵抗できないまま、こうして2人で逃避行してる。
どうやら俺はゴリラ女の所有物として、何処かへと向かっているみたいだ。
こんなことなら、芳雄や翔と一緒に。
いや、俺が犯罪に手を染めれるわけがない。
ハァ。
これも運命だったと諦めるか。
【塊団視点】
「渉!チンタラしてんじゃねぇぞ!」
「わかってるよ団!」
アァん?
テメェ、この状況で俺様に自己紹介しろって言ってんのか?
塊団だよ!
今の状況が見てわからねぇのか?
絶賛、ゾンビとスケルトンに追われてんだよ!
ハァ?
お前がいる所は何処かだと?
んなもん俺の弟分の背中の上に決まってんだろうが!
不動が死んだと思ったら、現れた忍者野郎の仕業だとか。
この世界は、一体どうなってんだよ!
今のドイツって、こんな国なのか?
ゾンビやスケルトンに溢れ、忍者まで蔓延ってるって?
ざっけんなよ!
「団!前からもキターーーー」
「うっせぇぞ渉!ちょっと黙ってろ!ルービック爆団、発進!」
ぐんぐんぐんと俺様と渉の周りを守るように足と手の生えたルービックキューブの戦士たちがゾンビに向かっていき、自爆していく。
「よーし!オラァ!渉、邪魔者は排除してやったんだからよとっととその自慢の足を使えや!」
「わかってるよ団!」
にしても、俺様のギフトが『ルービックキューブ』とか、神様の悪戯かよ!
アァん?
何でルービックキューブなら神様の悪戯なのかって?
んなもん俺様がルービックキューブ世界選手権の大会に何度も名を連ねてるからに決まってんだろうが!
クソッタレが!
身体が吹き飛んでも頭だけで飛んできて噛みつこうとしてくるとかどんなホラーの世界やねん!
「ルービックピストン!」
俺はルービックキューブの一つ一つを指でピストンのように弾いて、ゾンビの頭を貫いていく。
「へん!見たかよ渉!」
「うん。やっぱり団は凄いや」
「おぅ!わかったらとっとと走れや!こんなヤバいところからとっととおさらばすんぞ!」
「うん!」
それにしても、これからどうやって生きていけ言うねん!
頼みの王様とやらは、もうあの城でおっ死んでるやろうし。
勝手に召喚してくたばるとか最悪やろ!
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それでは、次回もお楽しみに〜




