第十二話 逃亡
【ラルク視点】
「坊ちゃま!起きてください!敵襲です!」
「ふわぁ〜。んんっ」
僕はローザに起こされて眠気まなこで返事をする。
「坊ちゃま!直ぐにここを離れる準備を!」
ローザは何を言ってるの?
明日は、フランク王国の使者としてフリードリヒ王と会談が。
ふわぁ。
「メアリー!」
「もう、わかってますよぅ。それにしても毛色の悪い人ですね。吹き飛びなさい!」
ゾンビを蹴り飛ばすメアリー。
「頭だけで動いてきますか。やはり脳を完全に潰さないと停止しませんか。チェスト〜」
高速で動くゾンビの頭に鋭い踵落としを決め、脳を完全に踏み潰すメアリー。
「あぁんんん。また、靴が汚れちゃったのですぅ。で、またゾンビ!ゾンビ!ゾンビ!一体、いつからここはホラーの世界になったんですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「泣き言を言うなメアリー!坊ちゃまにあの穢らわしい肉の塊が取り憑いても良いのか?」
「こんの堅物眼鏡めぇ。そんなの良くないに決まってるじゃないですかぁ!」
この会話の合間にも蹴りの一閃からの動く頭を的確に踏み潰すメアリー。
ローザも暗器を次々と呼び出して、ヘッドショット宜しくと言わんばかりに脳天にナイフを投げていた。
「2人とも。これ、現実?」
「ようやくお目覚めですか坊ちゃま!見ての通りです!直ぐにダンジョン内に避難を!」
「もう、靴汚れたくないのですぅ。坊ちゃま、お願いしますぅ」
「わかったよ」
でもダンジョンを出して、その後入って消したらどうなるの?
って考えてる場合じゃないか!
「出でよダンジョン!急いでローザ!メアリー!」
2人が飛び込んだのを確認してから僕も中へと入る。
「消えろダンジョン!」
ポワンとまるでそこには初めから何もなかったように普通のって、僕自身がダンジョンになってるぅぅぅぅぅぅ!?
しかも地表を移動してるぅぅぅぅぅ!?
「一時はどうなることかと思いましたが上手く行ったようで何よりです坊ちゃま」
「僕自身がダンジョンになって、地表を動いてるけどね」
「ということは、ここは坊ちゃまの中ぁ!?こうやって頬擦りしても、良いですかぁ?スリスリ。スリスリ」
「あひゃひゃ。ちょっとメアリーやめてよ。こしょばいって」
「成程、感覚も共有されるということですか。疲れは、どうですか?感じますか?」
「うーん。今のところはまだ何も」
「坊ちゃまの身体に変化があったら教えてください。今後の運用方法も考えなければなりませんから」
「了解」
【???視点】
遠くから見つめてるだけだった推しをこっそり見守ってたらダンジョンが現れたにゃ。
そんなん飛び込むしかないニャンね。
ウチの名前は、猫宮袮夢にゃ。
ウチがラルク君の推しににゃったのは。
「今日から1年間留学でお世話になりますラルク=フォン=ビスマルクです。気軽にラルクと呼んでください。キラン」
ズッキューン。
ヤバい、猫好きのウチに対して、猫目男子やにゃんて、これは運命にゃ。
推さにゃ絶対に推さにゃアカン!
その日から、ウチはラルク君観察日記を付けるにょが日課ににゃった。
「これ、今月分」
「おぅ。毎月、払うならきちんと守ってやるからよ」
「うん」
誰も怖くて寄りつかない不動にお金あげるにゃんて、ラルク君優しすぎんか!
「あーしとしたことが教科書忘れ。えっ?」
「隣同士だし、一緒に見よ」
ズッキューン。
桐島ーーーー!
それは羨ましすぎやで。
ラルク君と2人で教科書見るとか!
その席、ウチに譲って欲しいぐらいや。
そしたら毎日隣でラルク君を観察。
アカンアカン。
そないなことになったらいくらあっても血液が足らんようになる。
「助かったわラルク君」
「いえ。お気になさらず。目は大丈夫ですか?」
「えぇ、お陰でゴミが取れたわ」
黛先生とキス、キスしてんか!
ずるいで、大人の色香でラルク君を誑かすやなんて。
でも、誰でも惹きつけるそんなミステリアスなラルク君も推せる!
「おいラルク!ちんたら走ってんじゃねぇぞ!」
「すいません」
「すいませんじゃねぇ!申し訳ございませんだ!黛と仲が良いからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
「申し訳ございません」
でも、自分のペースを乱さない。
そんなマイペースなラルク君、推せる!
それに引き換え、少女をイヤラシイ目で見てニヤニヤしてる体育教師のハゲ野郎が一丁前にラルク君のこと説教してんやないで!
全部、全部ウチの大事なラルク君観察日記の一部や!
「猫宮さん、ここで何してるの?」
「にゃにゃ!?何で、居場所がバレたニャン?」
「一応、ここ僕の体内ってことらしいんだ」
「ニャンですと!?」
それってつまりウチ、推しに食べられてるってこと?
ヤバい。
推しに食べられる経験してんのウチだけちゃう。
アカン。
嬉しすぎて、鼻から血液が。
「ちょっと猫宮さん?な、何で血流してるのぉぉぉぉぉ!!!!」
アカン。
血流しすぎや。
推しの声聞きながら逝けるやなんて、ウチ幸せや。
【メアリー視点】
坊ちゃまからクラスメイトの1人が侵入したと聞いて、話をしたら鼻血を出して倒れたとか。
全く、話に要領を得ませんでしたが、私が駆けつけると。
幸せそうに血を垂れ流している1人の女児の姿がありました。
「チェスト〜」
「あぎゃぱぁ」
鼻血を止めるのなんて簡単です鼻をつまんでやれば一瞬です。
この雌猫は、何処から紛れ込んだのです。
坊ちゃまの周辺を彷徨いていたのを私が知らないとでも?
屋敷の近くの木に登って、家を観察していたときもありましたよね。
猫のように俊敏で、不審者でしたからよーく覚えています。
さて、この雌猫どう料理しましょうか。
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それでは、次回もお楽しみに〜




