グッと掴んでできた髪の毛の束の毛先幾千 その1
神、考える
我閃いた。
3度目の時にトンボが死滅してしまってもシダは元気であったのだ。これを応用すればいいのだ。
ビオトープの中に人間も含めた全ての生命を作り出し、その後人間を死滅させれば万事解決するのではないだろうか。せっかく魔素を作って我の力を受け入れやすくしているのだから、我自身がどんどん介入していけばよい。
まぁ解決しないかも知らないが、それなら壊してしまえばいいだけのこと。
我とても有能。神なだけある。
こうして7度目のビオトープ作りが始まったのであった。
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これまでと同様に生命と環境を作り、仕上げに魔素をいい感じに加えた。
順調にビオトープが発展してきたため、そろそろ人間を死滅させようと思う。どうやって死滅させようかと悩みながら人間を観察していると、一部のシダ植物が人間を食べていることを発見した。森や地面に広げた葉を隠しつつ人間が通りかかったらその葉を閉じ人間を絡め取って食べているようだ。
「これだ!」
流石我の愛するシダ植物である。既に自ら人間を死滅させようと動いているのだ。
人間を食べているのは人間たちが「ヒトトリシダ」と呼んでいるシダ植物の一種である。残念ながら人間を死滅されるには及ばず、逆にシダ植物たちが狩り尽くされようとしている。これはいけない。
我は髪の毛を一本見えやすいよう近づけ、慎重に毛先を切った。我にできる最も短い長さに髪の毛先を切り、それを一株のヒトトリシダに与えた。
無事、消滅せず定着しヒトトリシダは力を得ることができた。
しかしまだ心配である。我の目を離した隙にうっかりシダ植物達が死滅などしてしまえばまた怒りに任せてビオトープを破壊してしまいそうである。
ヒトトリシダが上手く人間を食べることができるように髪を与えたヒトトリシダに我が自身の意識を降ろしてしばらく介入してみることにした。