第9話
「この森はここからでは1日じゃ抜けれん。人間のおぬしは最低でも2日はかかるじゃろな」
「…まあそんな気はしておりました。」
「あとおぬしは今は50しかないと言っておったのじゃ。」
(やべっ、ミスったわー)
「つまりおぬしについて行けばまたブラックサ⚪ダーが食べられるのじゃ!」
「まあそうですね?」
(えぇ…こんな危険物要らないんですが。)
「というわけで我がシミズを守ってやるのじゃ。」
「ありがとうございます。でもスライム様では街に入れないのではないですか?」
(頼む!折れてくれ!)
「心配ないのじゃ。我は人間の姿にもなれるのじゃ」
(あぁ…無理か…)
「分かりました。では私の言うことはよく聞くこと。理由なく人間を襲わないこと。この2つを守っていただけるならブラックサ⚪ダーを差し上げましょう。」
「容易いことなのじゃ。それでいいのじゃ。」
「よし!言質は取ったぞ!これからよろしくな!」
俺は賭けに勝った。こいつがいればゴミ処理と用心棒担当にできる!
「な、なんかおぬし急に積極的になったな?」
「細かいことは気にすんなスイミーちゃんよ。」
「なんじゃそのスイミーちゃんとやらは?」
「おまえの名前だよ。スライムでは味気ないだろ?いっぱい合体して大きく見せるのはスイミーなんよ。」
「まあおぬしが気に入ってるならそれでいいのじゃ。」
「それで人間の姿にはなれるのか?」
「なれるが人間の姿なぞ忘れたのじゃ。シミズの姿にはなれるのじゃ。」
(えぇ…同一人物が横並びでいたらおかしいじゃん…)
「えーとなにか方法はないですかね?」
「そうじゃなあ、おぬしがイメージできるならその姿になれるのじゃ。」
「おお!それでいこう!どうしたらいいんだ?」
「我がおぬしの記憶を覗くから目を瞑って強くイメージするのじゃ。」
「分かった。やってみよう。」
「それじゃはじめるのじゃ。」
(イメージつってもなあ彼女なんていないし現場に女っ気はないしどうするか…そういやあの駄目女神は一応女にはなるのか?)
「おお!いけそうなのじゃ!」
「ん?待て待てそいつは俺のイメージじゃ、」
ピカーッ
「どうじゃ?かんぺきな人間なのじゃ!」
(あぁやっちまったー。かんぺきな駄目女神じゃん。)
「ちょっとその姿はよくないかもしれませんね。もう一回やり直しましょうか?」
「無理じゃ。このスキルは一回しか使えないのじゃ。」
俺は地面に項垂れた。