5話 呪い解除
俺が謎に包まれた奴と相対して、退かせた後、村に戻り、サーマレストさんのところに行ったが、彼女は、やはり、俺を避けていた。しかし、前とは決定的に違うことがある。それは、彼女が俺に名前を名乗ってくれたということだ。前は、名前も教えてくれなかったから、それを考えると良い進歩だ。これからも精進しよう。ちなみに、彼女の名前は、ヘレンというらしい。可憐で可愛く、まさに彼女にぴったりな名前だな。
そして、俺は、来る日も来る日も、ヘレンの元へ訪れているが、そのたびに逃げられてしまう。もしかして、0歳で魔法を使えた子供は、怖がられるのだろうか。何にせよ、流石に、少し悲しいな。だが、あの時は、本気で俺の身を心配してくれていたし、訳もなく、避けるとは思えない。何か理由があるのか?
あまり、この魔法は、使いたくないが、本人の口からは、聞けなさそうだし、使うしかないか。
「サーチ!」
これは、調べたい人の顔と名前さえ分かれば、その人の過去を見ることができる魔法だ。覗き見みたいで、俺は、あまり好きじゃないんだけどな。今回は、仕方なくだ。
そうして、過去を見ていくと、あることが判明した。ヘレンは、生まれた時から底なしの魔力を持っていたが、同時に厄神の呪いも持っていたらしい。そして、その呪いのせいで、周りの人に厄災が降りかかったから、ヘレンさんは、これ以上被害を出さないために、人に会うのを避けているのだ。
なるほど、俺が避けられているのも呪いのせいだってことか。ひとまず安心だな。俺に問題があるとかじゃなくて良かった。
しかし、こうなると、まずは、呪いをかいじょしないといけないな。俺なら、呪いを解錠するなんて造作もないけど、流石に、6歳の子供にできるわけないから、もし、したら、俺が異端児扱いされそうだしな。でも、呪われたままっていうのは、正直可哀想だし、困ったな。誰か、呪いを解除できそうな魔術師がいればいいんだけど。
「・・・・・・無い物ねだりをしても仕方ないし、自分でするか」
そうなると、まずは、ヘレンさんにところに行かないとな。逃げられたら元も子もないが、まあ、事情を説明すれば大丈夫だろう。
「・・・・・・あ! いた! ヘレンさーん!」
「え!? 何で!? 早く遠くに!」
「待って、ヘレンさん、君のことなら、全部分かってるから」
「・・・・・・え? それって、どういうこと?」
「ヘレンさんが受けている呪いのことも、その呪いから他の人を守るために、避けていることも、全部分かっているよ」
「そう、なら、尚更、私のこと怖いと思わないの?」
「思わないよ、だから、俺は今ここにいる。ヘレンさんの呪いを解くために!」
「呪いを解く・・・・・・そんなこと無理よ。これまでも、たくさんの人が私の呪いを解こうとしてくれたけど、結局誰も解けなかった。それどころか、呪いの影響を受けて、皆んな死んでしまった。そんなことになるぐらいなら、呪いなんて解けなくても・・・・・・!」
「大丈夫、こう見えても俺は魔法には天賦の才がある。それは、ヘレンさんも分かってるでしょ?」
「そ、それは、そうかも、しれないけど・・・・・・でも、あなたは、まだ、子供だし・・・・・・」
「俺を信じてくれ、君の呪いに殺されたりなんかしない、絶対に呪いを解いてみせる! だから、信じて、任せてくれないか?」
「本当に、できるの? もし、やっぱり、できないってなって、あなたも呪いで死んでしまうことになるぐらいなら、呪いは解いてもらわなくてもいい。本当に、できる?」
「ああ、やってやる! 必ず、やり遂げてみせる!」
こうして、俺は、ヘレンさんの呪いを解くことになった。まあ、この程度の呪い、俺なら余裕で解けるけどな。
「じゃあ、ヘレン、始めるぞ」
「うん、お願い」
まずは、魔法陣を書いて、その上に水銀を少々かける。本来なら、こんなことしなくてもいいんだけど、今回は、異端児扱いされないために、仕方なくだ。
「魔法式構築、魔法発動準備完了、リムーブコース!」
魔法を発動させると、ヘレンさんの身体が光り、何かドス黒いものが見えた。おそらく、あれが呪いだろう。あれさえ、取り除けば!
「リムーブコース!」
そして、黒いものは完全に消えた。これで、もう、ヘレンさんの呪いはなくなっただろう。
「ヘレンさん、呪いは完全に解けたよ。これで、もう、周りの人もヘレンさん自身も傷つくことはないよ」
「ほ、本当に・・・・・・でも、そういえば、何だか、心が軽い、感じがする」
これで、俺とヘレンさんを隔てる障害もなくなった。やっと、友達に・・・・・・!
「本当に、ありがとう・・・・・・ええっと、名前、聞いても、いい?」
「俺は、ガイア・アーカス。これから、よろしく、ヘレンさん!」
「うん、よろしく、ガイア! それと、私のことは、その、ヘレン、で、いいわよ」
「・・・・・・じゃあ、へ、ヘレン、これから、よろしく」
「ええ!」




