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52話 人魚族の秘密②



 翌日。

 俺たちは、今人魚族のことを調べるために、書庫に訪れていたのだがーー。


「うーん、人魚族に関係する書物、全然ないね〜」


 ヘレンが疲れたように背伸びをしながら、言ってくる。


 当てが外れたかな?


 いや、ここ以外に人魚族を調べられるようなところなんて、俺は知らないしーー。


「・・・・・・っ! そうだ、もう一つあった・・・・・・」


「? ガイア、いきなりどうしたの? 早く見つけないと日が暮れちゃうよ」


 ヘレンが、俺のことは不思議そうに見つめてくる。


「そんなことより、早く行こう、2人とも!」


 2人は、戸惑いのあまり、言葉を失っているようだが、今の俺にそれを気遣う余裕はなく、そのまま目的地の一歩手前まで向かった。


「!? ここって、昨日の・・・・・・」


 思わずといった感じでマリーが声を上げた。


「・・・・・・あぁ、昨日見つけた人魚族の遺跡、あそこになら、手がかりがあるはず・・・・・・」


「・・・・・・ねえ、ガイア、今度は、私もついて行って、いい?」


 ヘレンが断られるのを覚悟しているかのような瞳と声で訴えかけてくる。


 そんな表情をされると、断れきれない。


 ただ、ヘレンの安全を考慮するならば、ここで待ってもらった方がいいんだよなぁ。


 うーん、まあ、俺がしっかりと目を離さずに守れば、良いだけの話か。


「ついて来ても良いけど、俺のそばを絶対に離れるなよ」


「! うん、分かった! 一生、ガイアについて行く!」


 ヘレンから何やら、プロポーズじみた言葉を受けた俺は、2人と一緒に遺跡へと向かった。


 という言っても、昨日行って、テレポートに登録しているため、一瞬で着く。


「うわぁ〜、ここが、遺跡・・・・・・何だか神秘的だね〜」


 確かに、青く輝くこの遺跡は、神秘的だな。


「ヘレン、早速、手がかりを探そうか!」


「うん!」


 俺の後ろを2人が律儀にもついて来る。


 そうして、マリーのいた部屋の扉の前まで行き、魔法陣をじっくりと観察した。



「・・・・・・やはり・・・・・・」


「え? ガイア、もう何か分かったの?」


「あぁ、この魔法陣、一見すると普通の魔法陣に見えるけど、おそらく・・・・・・」


 俺は試しに魔力を逆流させてみる。


 すると、徐々に魔法陣から文字のようなものが浮かび上がってきた。


「あ、文字が、文字が出てきたよ!」


「やっぱりか、この魔法陣は、マリーを出さない、いや、守るためのものであるのと同時に、事の経緯を説明するものでもあるということだ」


 そこには、予想通り、マリーを閉じ込めていた理由が書かれていた。


『親愛なる娘、マリーよ。このような手段に打って出るしかなかった不甲斐ない父を許してくれとは言わん。ただ、知っていて欲しい。私たち、人魚族はずっと穏やかな日々を送っていた。そうして、マリーが生まれ、私たちは国総出で喜んだ。しかし、そんな時に、奴らが現れた。奴らは、マリーを寄越せと言ってきた。当然、私たちはそれに反対し、激怒した奴らに国を焼き払われたのだ。もう、どうすることもできなかった私はせめてお前だけは守ろうとこの人魚の神殿の奥深くへと、隠すことにした。・・・・・・マリーよ、どうか、私の分まで、生き延びてくれ・・・・・・』


 この文面からして、マリーの父が残したものだろう。


 しかし、マリーの父はもう・・・・・・。


 隣では、マリーが大粒の涙を浮かべている。まあ、無理もないか。


 ヘレンはといえば、あくびをしながら、凄く眠そうにしている。


「マリー、そ、その、俺が言えることじゃないけどさ、あまり抱え込まない方がいいと思うぞ? 君は、1人じゃないんだから」


 その時、俺の気のせいかもしれないが、ほんの一瞬、マリーの表情が緩くなったような気がした。


「・・・・・・う、うん、そうね。起きたことは、もうどうにもできない。ガイア、ヘレン、行きましょう!」


「おー! ・・・・・・って、どこに?」


 ヘレンは勢いよく言ったものの、どこに行くのか分かっていないようだ。


 まあ、俺も分かっていないのだが。


「とりあえず、宿に戻ろうか。ジークたちも、もう戻ってる頃だろうし」


「あ、確かにそうね。マリーは、どうする?」


「わ、私は、その・・・・・・」


 マリーは、もじもじしながら、何かに悩んでいる様子だった。


「1人きりじゃ寂しいし、俺たちと一緒に来ないか?」


「え? で、でも、ガイアたちの友達には何で言えば・・・・・・」


「そんなの、俺が何とでも説得してあげるよ」


「迷惑、じゃない?」


「あぁ、もし君を迷惑だと思ってる奴がいたら、制裁を加えてやる」


「そ、それだけはやめてあげて・・・・・・ふぅ〜、お願い、ガイア、ヘレン、私も連れてって」


「あぁ、もちろん! 改めてよろしく、マリー!」


「よろしくね、マリー!」


 俺もヘレンも、マリーの同行を快く承諾した。


「・・・・・・っ! こちらこそ、よろしく!」



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