49話 海に眠る者
「さぁて、それじゃあ、ヘレン、まずは、どこから行く?」
俺とヘレンは、2人っきりで、どの店から回るかを考えていた。
ちなみに、ジークは、何故か着いた途端に、慌てた様子で用事があると言ってどこかに行ってしまった。エレーナとヴァルガドを連れてーー。
「そうね・・・・・・ガイアは、どこに行きたい?」
「え? 俺? ヘレンの行きたいところなら、どこでもいいよ」
「も、もう! そういうことじゃなくて、私はガイアの行きたいとこを聞きたいの!」
「うーん、そう言われても、俺の行きたいところなんて・・・・・・あっ! 一つだけいいかな、ヘレン?」
「うん、もちろん! それで、どこに行きたいの?」
「・・・・・・ビ、ビーチに、行ってみたい、かな・・・・・・」
「うん! 良いね、ビーチ! 行こう!」
「その前に、まずは水着を買いに行かないとな」
「あ、そういえば、私たち、水着、持ってなかったね。どこで買うんだろう?」
「? そんなの服屋に行けば、買えるよ」
「・・・・・・え? あ、そ、そう・・・・・・じゃ、行こっか?」
「う、うん」
こうして、今日1日の俺たちの目的は決まった。服屋で水着を買ったのち、ビーチで思いっきり楽しむーー我ながら完璧な計画だな。
そして、服屋に行くと、ヘレンが突然、「お互い水着を見せ合って、決めよう」と言い出した。
「ガイア、お待たせー! これ、どう思う? 似合うかな?」
俺の目の前には、白くたわわに実った果実を全面に押し出す格好をしているヘレンが少し恥ずかしそうに、立っていた。
「う、うん、良いんじゃ・・・・・・ないかな」
「? 何で、目を逸らすの? もっと、ちゃんと見てよ」
「い、いや、ま、まあ、ちょっとね」
「どういうこと? それじゃ分からないよ、ガイア?」
「・・・・・・と、とにかく、似合ってるから! 俺は、外で待ってるから!」
「あ、ちょっと、ガイアー!」
俺は、初めてのヘレンの水着姿に、思わずドギマギし、慌てて店を飛び出した。
それから、ヘレンもすぐに出てきたので、早速ビーチへと向かった。
「ガイア、こっち、こっち〜!」
「ちょっ! 待ってよ〜!」
ヘレンに続き、俺も海の中へと入った。
やはり、この海の底から、巨大な魔力を感じる。
「悪い、ヘレン! 少し、潜ってくる!」
「あ、じゃあ、私も!」
「い、いや、ヘレンは、ここにいた方がいい、と思う」
「そう? ・・・・・・分かった、じゃあ、ここで待ってる」
そして、俺はヘレンに背を向けて、海の深いところまで潜っていった。
魔力の反応はーーもう少し、右か。大体後500メートルぐらいのところだな。
そして、魔力を感じた場所まで近づいていくと、そこにはーー。
「これは・・・・・・遺跡、か?」
こんなところに遺跡? があったとは正直驚きだ。
「とりあえず、入ってみるか」
遺跡の中に入ってみると、そこには、驚くべきことに、水がなく、呼吸もできたのだ。
海の中のはずなのに、不思議なこともあるんだなぁ。
明かりも勝手に点いたし。
さらに、俺は遺跡の奥へと進んでいく。
この遺跡は、特に危険はない。罠や仕掛けもなければ、魔物もいないからだ。
そして、気がつかないうちに、俺は遺跡の奥の部屋の前まで来ていた。
そこには、何やら魔法陣が刻まれている。
「いや、待てよ。この魔法陣、もしかして・・・・・・」
この青く輝く魔法陣を俺は一度見たことがある。
確か、これは人魚族にしかつくることのできない魔法陣だったよな。
つまり、この遺跡も人魚族が造った可能性が高い。
そして、俺は魔法陣に魔力を通し、扉を開けた。
「・・・・・・美しい・・・・・・」
気がつけば、俺はそんな感嘆の声をあげていた。
それもそのはず、そこには見目麗しい人魚族の少女が眠っていたのだ。




