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46話 打ち上げ



「では、今年の三大魔法使いーーガイア・アーカス! ヘレン・サーマレスト! ジーク・バーグ!

にかんぱーーい!!」


 俺たちは、魔法競技祭が終わったということで、1年全員で打ち上げに来ていた。


「3人ともー、ちゃんと食べてますかー?」


 というか、何で生徒の集まりなのにサリー先生がここにいるのだろうか。他の先生は誰もいないのに。


「そ、それより先生、ヴァルガド君の容体はどうですか?」


「ふふふ、そんな心配しなくても大丈夫ですよ。彼は、少し魔力を使いすぎただけで、命に別状はないので、明日には目を覚ますんじゃないでしょうか?」


「そ、そうですかーーそれなら、良いですけど」


「そんなことより、せっかくの楽しい宴なんですし、もっと楽しみましょうよ!」


 サリー先生、さては、すでに酔っ払っているな。でも、俺の心を軽くしようとしてくれていることには変わりはない。やっぱり、いつの時代でも先生になる人は心の器が違うのか。


「あ、ガイアー! こっちきて、美味しそうなものがあったのー!」


 どうやら、ヘレンも思いっきり楽しんでいるようだ。何だか、皆んなを見ていると、1人でいる俺が惨めに思えてくる。よし、こうなったら、俺も全力で楽しもう!


「うん、今行くよー!」


 そして、俺はヘレンの元へ行き、その美味しいものを見てみたのだがーー何だこれ? 悪魔の目玉って書いてあるが、食べられるのか?


「なあ、ヘレン、これ悪魔の目玉って書いてあるが、そのーー」


「うん! 美味しそうよね!」


「・・・・・・あ、あー、そ、そう、だねーー」


 落ち着け、ガイア・アーカス! 料理は見た目だけじゃない、味も重要だ。美味しければ、それでいい。


「じゃあ、食べよう!」


「う、うん・・・・・・!? 美味しいーー」


「ーーでしょ?」


「うん、本当に、美味しいよ! こんな見た目とは裏腹に、まさかこんなに美味だったなんて!?」


 これが、見た目で判断するのは良くないってことなんだな。勉強になった。でも、やっぱり、料理は見た目も大切だよな。


「じゃあ、他のも食べに行こう!」


「あっ! ちょっ! そんなに引っ張らないで〜!」


 ヘレンは、この数年間でほぼ完全に魔力を制御できるようにはなっているが、それはまだヘレンの中のほんの一握りの魔力に過ぎないため、こういった気が抜けている時には、魔力の制御、水道で例えるなら蛇口が甘くなって、水が際限なく出るように、魔力も止まることを知らずに溢れ出ていた。それにより、自動的にヘレンの身体能力がありえないほど強化されているため、少し引っ張られただけで、まるで嵐の中に晒されているかのような感覚だった。


「はぁ・・・・・・死ぬかと、思った」


「!? ご、ごめん、ガイア! あ、あの、私・・・・・・!?」


「い、いいよ、ヘレン。別に俺は怒ってる訳じゃないから。

むしろ、その逆、ヘレンがここまで魔力を引き出せるようになってくれて、嬉しいんだ。よく頑張ったね」


 特に深い意味はなく、ヘレンの頭に手を置いたのだが、なんかヘレンの顔がどんどん朱に染まっていった。


「あっ!」


「!? ご、ごめん、いやだった!?」


「・・・・・・ううん、ちょっとびっくりしただけ。それより、もう少しだけ、こうしていて・・・・・・」


「あ、う、うん。嫌じゃないなら」


 何だか、ヘレンの髪の毛ってすごく滑らかで触り心地がいいなーーってダメだダメだ! ヘレンは俺を信用しているからこそ、このような行いも許されているのに、いやらしいことなんて考えていたら、信用を失ってしまう! だが、しかし、この感触には抗えない。かくなる上は、心を無にしよう。


「ん? ガイア、どうしたの? ぼーっとしちゃって・・・・・・?」


「べ、べべべべつに、な、ななな何にもないよ!」


「・・・・・・変なこと、考えてた?」


「・・・・・・」


 どうしようか。どうやって誤魔化すべきか、いや、正直に言った方がいいのかな? でも、髪の毛の触り心地がいいなんて言ったら、気持ち悪がられるかもしれないしーー。


「やっぱり、変なこと、考えていたのね?」


「ーーっ! どうして!?」


「それは、分かるよ。何年一緒にいると思ってるの?」


「・・・・・・っ! はぁ、まったく、ヘレンには敵わないなーーでも、気持ち悪がらない、のか?」


「ーー確かに、他の人にされたら、正直嫌だけど、でも、ガイアになら・・・・・・いいよ」


「え!? それって・・・・・・」


 どうやら、ヘレンも自分が何を言ったのか理解したようで、先ほどよりもより顔が朱に染まっていく。


「!?!?!? べ、べべべべ別に、変な意味はないわよ! ただ、ガイアが1番信用できる友達だからってだけよ!」 


「う、うん、分かったよ! だから、少し落ち着いて! ヘレン!」


 そして、何とかヘレンを宥めたのだが、どことなくまだ頬が赤い気がする。まあ、それもそうか。俺になら良いって聞いた時は、逆に俺の方が恥ずかしくて顔を塞ぎたい気持ちだったしな。


 その後、2時間が経過したところで、打ち上げは終わり、皆それぞれの寮に帰っていった。俺も途中までヘレンとジーク、それからエレーナと一緒に帰った。


「そういえば、まだ、聞いてなかったな。ヴァルガドとの戦いの時、一瞬2人が何をしたのか全く見えない時があったが、何だったんだ?」


 薄暗い部屋の中、ジークが俺に問いかける。その時俺には迷いが生じる。ヴァルガドには悪魔が取り憑いていて、しかもその悪魔が周りの時間を止めていた、なんて、正直に言えば、大騒ぎになるのではないかと。いや、それだけならまだ良いが、あの悪魔の仲間が口封じに関わった者をすべて殺す可能性だってある。迂闊に言うのはやめた方がいいな。


「さ、さぁ〜、俺もあの時、何が起きたのか分からなかったから・・・・・・」


「・・・・・・本当、なんだな? 気を遣って、秘密、にしているとかじゃ、ないよな?」


「う、うん、本当、だよ」


「そっか〜、まさか、お前でも分からないことがあるなんてなぁ〜」


「あははは、まあ、それだけ、世界は広いってことだよ」


「だが、それで、諦めるやつじゃねえだろ、お前は?」


「あ、ああ、ま、まあな・・・・・・」


 その後、疲れていたのか、ジークはそれ以上何も言わずに眠りについた。



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