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44話 打倒ヴァルガド



 翌日。 

 俺としたことが、緊張しすぎて早くに目が覚めてしまったので、一足先に試合会場に向かった。そこで、俺は、ヴァルガドの闇魔法に対抗すべく、新たな光魔法の作成に挑戦した。俺が今作ろうとしているのは、アルティメット・ライト。


 上手くいけば、アルティメット・ダークネスを打ち消すことができ、人の体の中にある闇をも完全に打ち消すことができるらしい。


 魔法には、初級、中級、上級、超級、神級というようなランクがあるのだが、それとは別に、究極魔法がある。


 それが、アルティメット・ダークネスとアルティメット・ライトなのだ。他にも、火、水、風、雷、無属性、回復魔法の究極魔法も存在する。神級魔法を除けば、最強の魔法だ。


「? そこに、誰かいるの?」


 すると、人の声が聞こえ、時間を見てみると、すでに2時間が経過し、6時になっていた。


 おそらく、光魔法を使っていたから、その光が漏れて、怪しまれたのだろう。そんなことを考えている場合ではなく、今は、一刻も早く、試合会場から出なければならない。そう思い、俺は、テレポートで寮まで戻った。


「ん? 何だ、ガイア、もう起きたのか?」


「!? ・・・・・・何だ、ジークか。驚かすなよ」


「別に、驚かしたつもりじゃないんだけどな。そんなに焦って、何かやましい事でもあるのか?」


「や、やましい事なんて、あるわけないだろ!?」


「そうか? まあ、別にいいが・・・・・・それより、今日の試合、頑張れよ!」


「お、おう! ジークもな!」


 そうして、俺は、今度はジークと一緒に試合会場へと向かった。今日は、昨日とは一変して、盛り上がりが大盛況だ。

 

 まあ、今日の試合で学院三大魔法使いが決まるらしいし、これぐらい盛り上がるものなのかな?


「いよいよ、最後の試合だな。・・・・・・お、思ったより、緊張、するな」


「ああ、でも、何故か、心は落ち着いている」


「そうだな、まったく不思議なもんだな。心は落ち着いているのに、身体は緊張しているなんて」


「確かに・・・・・・じゃあ、行ってくる」


「ガイア!」


「? 何だ?」


「絶対勝てよ!」


「!? ああ、もちろんだ!」


 俺は、ジークに見送られながら、ヴァルガドとの試合会場に向かった。ヴァルガドに関しては、昨日のエレーナとの戦いを見て、大体のことは把握している。


 あいつは、魔法耐性だけでなく、魔法を見極める力にも長けている。つまり、戦いを長引かせたら、こちらが不利になるということだ。だから、なるべく早くケリをつけなければならない。


『では、魔法競技祭最終日! 各ブロックごとの優勝者が戦い、残った3名が本年の三大魔法使いとなります!! それでは、1ブロック優勝者ガイア・アーカス! 2ブロック優勝者ヴァルガド・ドルマゲス! 武舞台にお上り下さーい!!』


 審判の大きな声が聞こえたので、俺は武舞台に上がった。それと同時に、ヴァルガドも武舞台に上がっていった。


『それでは、試合・・・・・・開始でーす!!』


「お前が、ガイア・アーカスか」


「・・・・・・お前、俺のこと知ってるんだな」


「ガイア・アーカス・・・・・・貴様だけは、絶対に許せん!」


「許せんも何も、俺とお前って今日が初対面だよな?」


「知っているか? この世界には、絶対的ルールが存在する」


 質問と答えが噛み合っていない。というか、何か訳の分からないことを話し出したんだが。


「それは・・・・・・俺のことだ!」


 うーん、何か独裁者みたいなことを言い出したな。というか、今そんなこと言われても、正直どうでもいいし、戦いとも関係ないと思うんだが。もしかして、時間稼ぎのつもりなのか?


「俺こそが、ルール! 俺こそが絶対! 俺より強い者などあってはならない! 分かるな、ガイア・アーカス?」


「すまないが、さっきからお前が何を言っているのか、さっぱり分からん」


「そうか。まあ、いい。直接その身に刻み込むまでだ!!」


 ヴァルガドのやつ、完全に冷静さを欠いているな。まだ、何もしてないのにーーだが、これは、ある意味好機、奴が冷静さを取り戻すまでに、けりをつける!


「ーーダークフレイム!!」


「!? ライトフレイム!!」


 まさか、いきなり、闇の炎を使ってくるとは。初級魔法だったから良かったものの、これが、もし、上級魔法だったら危なかったな。俺も一応一通り光魔法は使えるようになったが、まだ少し危ういところもあるし、油断はできない。


「ちっ! 光魔法か、面倒だな」


「俺から見れば、お前の闇魔法の方が十分やばいと思うが・・・・・・」


「ふん、戯言を! ダークインフェルノ!!」


「・・・・・・マジックバリア!!」


 ふむ、なるほど。別に、光魔法を使わなくても、防げないことはないな。まあ、光魔法を使わないと、心の中にある闇は祓えないから、使うしかないけど。


「クッ! 小賢しい真似を!」


「次は、俺の番だ! ファイアトルネード!!」


「ダークウォーターライトニング!!」


 3つの魔法を使った混合魔法か。この時代では、見るのは初めてだな。まあ、あの程度なら特に問題はないが。


「な!? ば、ばかな!? 俺様の魔法が!?」


 俺の放った魔法は、一瞬でヴァルガドの魔法を消滅させ、さらにヴァルガドへと迫っていった。


「クッ! グググ〜〜・・・・・・!? くそおおおおおおおおぉ!!」


 そして、ヴァルガドはなす術なく、俺の魔法に飲み込まれていった。


 誰もが、俺の勝ちだと思い、審判でさえも俺の勝ちだと思っていたが、会場からファイアトルネードが消えた時、傷だらけで息を切らしてはいるが、まだヴァルガドが倒れずに立っていた。


「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・何を勝った気でいるのだ、ガイア・アーカス! 俺は、まだまだ戦えるぞ!!」


 魔法耐性が高いことは、知っていたが、まさか、ここまでとはな。死なないように手加減していたが、どうやら、その必要はなさそうだ。


「ああ、そうみたいだな。・・・・・・だから、悪いが、次で終わらせてもらう!」


「ふん、終わるのは、貴様の方だ!!」


 ヴァルガドの魔力が、急速に蓄積していっている。これは、おそらく、究極魔法がくるだろうな。それなら、俺も光の究極魔法を使うまでだ。


「我が、究極の闇ーーその身をもって味わうがいい! アルティメット・ダークネス!!」

 

 やはり、闇の究極の魔法を使ってきたか。それなら、俺もーー。


「アルティメット・ライト!!」


 光と闇は互いにぶつかり、押し合っていった。ここから、魔力量も大事だが、魔力制御の技術も必要ーー魔力技術なら俺の方が上だろうが、魔力量はヴァルガドの方が上だ。だからといって、諦めるつもりは毛頭ない。


「くふふふふふ、やはり、やるなぁ、ガイア・アーカス!」


「お前もな、ヴァルガド!!」


 しかし、俺たちの魔法は、全くの互角、このままでは、俺の方が先に魔力が尽きて、敗北してしまう。かくなる上は、前世の魔力を使うより他はない!


「!? ば、ばかなーー俺様、が押されている、だと!? クッ! そんなことあってたまるかああああああああぁ!!」


「グッ! ーーまだまだあああああああああああああぁ!!」


 ヴァルガドもさらに魔力を上げてきたので、俺も、さらに魔力を上げる。すると、やや俺の魔法の方が少し推し始めていた。


「く、くそおおおおおおおおおぉ!!」


「ーーヴァルガド・ドルマゲスよ、我が光をその身に受けるが良い!」


 そして、俺の光は、徐々にヴァルガドの闇を包み込んでいき、やがて、その光は、ヴァルガドの全身へと染み渡るように、包み込んでいった。


 その後、光が晴れ、ヴァルガドから何やら黒いオーラのようなものが出てきた。


「な!? な、何だ、これは!?」


 まさか、あの魔法では、心の中にある闇は払えないということか? 

 いや、外に出ている時点で、それは、ない。もし、払えていないなら、内に留まり続けているはずーーそして、その黒いオーラは、徐々に人のような形に姿を変えていった。


 頭からは2本の尖ったツノが生え、背中からは、コウモリのような翼が生えてきた。この姿、まさかーー悪魔なのか?


「ーーほう、察しがいいな、ガイア・アーカス」

 

 目の前の悪魔は、俺の心を見透かしたかのように、そんなことを言ってきた。


 だが、これで、納得もいった。ヴァルガドの性格が突然変わったのは、悪魔が取り憑いていたからだ、と。


 悪魔に一度取り憑かれれば、自分の意識を保てずに、悪魔に身体を乗っ取られる。つまり、この悪魔を倒せば、ヴァルガドは、自分の意識を取り戻し、元に戻るということ。


 そして、俺は悪魔を倒すことを決意し、目の前の悪魔と対峙した。



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