42話 少し休憩
それにしても、ヘレンは本当に凄かったな。少しやりすぎではあったが、あれだけ、魔法を使うことができていたなら、俺が心配する必要はなかった気がする。
「ヘレン、お疲れ!」
「あ! ガイア! わざわざ、来てくれたの!?」
「もちろん! ヘレンのためだからさ!」
「あ、ありがとう」
俺とヘレンが2人だけの世界を作ろうとしている中、側にいたエレーナが、ヘレンに詰め寄った。
「そろそろ良いかしら? 私、あなたに聞きたいことがあるんだけど」
「エ、エレーナ様!? ど、どうしてガイアと一緒にいるの!?」
「そ、そんなことより、あなた、あんなに上級魔法を連発してたけど、何者なの?」
聞き方が直球すぎるな。そんなこと、ヘレンには分からないと思うが、いや、今まで、何度もヘレンの魔力を借りてるし、何となく察していたりするのかな?
「え!? わ、私は、ただ、普通に魔法を使っているだけで・・・・・・!?」
「普通の魔法使いは、あんなに上級魔法を連発したら身体が保たないわよ。もう一度聞くわ。あなたは、何者・・・・・・!?」
「も、もう、いいじゃないか、エレーナ! ヘレンは普通の魔法使いって言ってるんだし、これ以上追求する必要はないよ!」
俺は、エレーナの口元を手で押さえ込み、それ以上言わないようにした。これ以上言われるとヘレンが確実に泣き出すからだ。それだけは、絶対に避けなければならない。
「・・・・・・ガ、ガイア・・・・・・ありがとう・・・・・・」
「う、うん、それより、ヘレン、しばらく、エレーナに近づかない方がいいよ」
「・・・・・・じ、じゃあ、私、行くね・・・・・・」
何とか、俺は、ヘレンをエレーナの魔の手から逃すことができた。
「ちょっと! いつまで、口塞いでるのよ!? そろそろ離して!」
「あ! ご、ごめん!」
「はぁ・・・・・・それより、人を危険人物みたいに言うのは、やめてくれる?」
「いや、だって、凄い勢いで攻め立てているように見えたから・・・・・・」
「べ、別に、攻め立ててたわけじゃ、ないわよ! ただ、上級魔法を連発できる理由を知りたかっただけで・・・・・・!?」
俺は、エレーナの頬を摘んだ。柔らかくて、気持ちいいと感じたが、今は、それは、関係ないので、深くは言わない。
「・・・・・・それでも、側から見てたら、十分攻め立てているように見えたぞ。この世界、疑われた方が負ける。だから、言動には気をつけた方がいい。もちろん、言い方もな!」
「・・・・・・わ、分かったから、そ、その、そろそろ、離して、くれる? 少し、痛いんだけど・・・・・・」
俺は、黙って頬を摘んでいた手を離した。離しても、尚、エレーナの頬の感触が手にしっかりと残っている。
「・・・・・・それじゃあ、私は、もう行くわ」
「エ、エレーナ!」
「何? まだ、何かあるの?」
「・・・・・・ヴァルガドには、気をつけろよ・・・・・・」
「・・・・・・っ! そんなこと、あなたに言われなくても、分かってるわ!」
「・・・・・・」
「そんな不安そうにしなくても大丈夫よ! 私が、負けるわけないじゃない! じゃあ、そろそろ、試合も始まるし、2ブロックに戻るわね」
「あ、ああ、頑張ってな」
そして、俺は、エレーナが行くのを見送りながら、ヘレンのことを考えていた。言われてみれば、確かに、なぜ、ヘレンの魔力は底なしなのか?
今更になって、そんな疑問が浮かんできた。魔力量は、個々の才能、親の遺伝子によって異なってくる。そして、言い方は悪いが、ヘレンには、才能はない。父親であるティオさんも、魔力量は大したことはない。
やはり、以前ヘレンにかかっていた厄神の呪いが関係しているのか?
とにかく、まだ、情報が少な過ぎて、真実に至ることはできない。この試験が終わったら、ヴァルガドと厄神について、調べてみるか。




