32話 エレーナの心の変化
私の心の中で何かが大きかわった、そういう実感がある。
「ガイア・アーカス・・・・・・」
私をも超える魔法の才を持ち、人当たりも良く、誰からも尊敬されている。そして、皆んなが私に平伏す中、彼だけは、私に平伏すことはなく、他の人たちと同じように、自然に接していた。
そして、昨日は、ハデス教に連れ去られた私を助けに来てくれた。あの時は、正直嬉しかった。でも、一つだけ、腑に落ちないことがある。それは、彼が、アレス様にしか使えないとされていた20個の魔法の同時発動を難なくこなしてみせたことだ。
普通は、2個の魔法ですら、同時に発動することなんてできない。それは、ブラッドの血筋を引く私たちも同様だ。それなのに、20個もの魔法を同時発動しようとすれば、神経が焼き切れて、灰燼になるというのが、この世界の常識だ。
確かに、アレス様は、世界の常識を超える力を示したが、それは、誰にでもできるようなことではない。ましてや、優秀な魔法使いの血筋を引いているわけでもない、ただの村人にできることではないのだ。
そういえば、アレス様の残した伝記にこんなことが書いてあった。私が次に転生するのは数100年後だろう、と。ということは、まさか、彼がアレス様の転生体、ということなのかしら。でも、そう考えると、全て辻褄が合う。彼が、アレス様の魔剣と魔法を使えたことにも納得がいく。
でも、もし、彼がアレス様の生まれ変わりなのだとしても、正直信じられない。それほどまでに、ガイア・アーカスの性格とアレス様の性格は違いすぎる。はっきりいえば、真逆だ。一応、アレス様の伝記には、民間人を大量に虐殺したことや神々をも殺したことも書かれてあった。それに比べて、ガイアは、確かに強さは、アレス様級だけど、とても虐殺したり神を殺せるような覚悟は持ち合わせていないと思う。
でも、もし、彼が、アレス様なら、私は、これから、どう接すればいいの?
「・・・・・・あーもう! 何で、私があいつのことでこんなにならなきゃならないの!」
そうよ、私が、あんな奴に惹かれるなんて、絶対に有り得ないし、有ってはならないわ! それに、まだ、あいつが、アレス様だと決まった訳じゃない。だから、これから、じっくり、あいつを観察するとしましょう。本当に、アレス様の生まれ変わりかどうかを。もしも、生まれ変わりならば・・・・・・まあ、その時に、考えるわ。
そして、気がつくと、すでに深夜0時を過ぎていた。もうこんな時間、そろそろ寝ないといけないわね。また、明日から、覚悟してなさい、ガイア・アーカス。必ず、あなたの秘密を暴いてみせるわ!
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