31話 事件解決後
無事、エレーナさんを救出して俺たちはセントラル魔法学院へと戻ってきた。しかし、戻った瞬間に、先生から思い切り、怒鳴られてしまった。行くなって言われて、行ったんだから、当然といえば当然か。
「はぁ、今回は無事なので良かったですが、これからは、このようなことはないようにして下さいね?」
「は、はい、分かりました」
「では、エレーナさん、念のために、治癒士のところに行きましょう。見えない傷を負わされているかもしれませんし」
いや、見えない傷は、治癒魔法じゃ治せないと思うけど。そういうのは、精神科医に見せた方がいいと思いますよ。
その後、エレーナさんは先生と一緒に、どこかに行った。俺はと言えば、再び、ハデスの遺跡に来ていた。行く時に、ヘレンとジークも連れて行ってほしいとしつこく言われたので、2人の根気に負けて、連れてきてしまった。まあ、中に入らなければ、危険は特にないし、別にいいか。
「それで、ガイア、ここで何を調べるんだ?」
「・・・・・・悪いが、それは、言えない」
俺の私情で2人を危険な目に遭わせたくない。それに、これは、俺の、俺だけの問題なんだ。他人が入る余地なんてない。
「そ、そうか、まあ、何かあれば言えよ? いつでも、協力するからな」
「・・・・・・じゃあ、早速だが、お願いできるか? 俺が入っている間は、誰もこの遺跡に入れないで欲しいんだが・・・・・・」
「それぐらい、お安い御用さ!」
「うん! 私たちに任せて!」
この様子なら、2人に任せても大丈夫だな。俺は、ハデスの封印をし直しに行くとするか。まあ、今の俺じゃ、無理かもしれないけど、やれるだけやってみよう。もし、邪神ハデスの封印が解けたら、本当に世界は終わりだからな。
そうして、俺は、2人を置いて、再び遺跡の中に入った。正直なところ、壊してしまいたいぐらい何だけど、それで、ハデスが出てきたら、本末転倒だしな。とりあえず、前世の俺が施した封印の様子を見に行ってみるか。
俺は前世の記憶を頼りに、ハデスが封印されている場所へと向かう。確か、遺跡を入って、すぐ、角を右に曲がり、その次の角を左、そして、燭台に火を灯す。そうして、封印場所への道が開かれたはず、と思いながら、進んで行く。そして、なんとか、ハデスの封印してある場所に着いた。
前世の時とあまり変わってないな。やっぱり、あの教徒たちが手入れしていたからだろうか。封印の方も、問題はなさそうだな。そう思った矢先、封印されているはずのハデスの方から声が聞こえてきた。
「・・・・・・貴様、ここで何をしている?」
これは、想定外だな。まさか、封印されていても意思疎通ができるとは、いや、やはり、長い時間を経て、封印が甘くなっていたのか。仕方ないが、念のためだ。
「おい、貴様、私を無視するとは、何事・・・・・・!?」
「それ以上、喋るな! ゴッドシーリー!!」
これで、静かになったな。それに、また、前世の頃よりは弱いとはいえ、神の封印魔法を使ったわけだから、少なくとも100年間は出て来られないだろう。じゃあ、目的は果たせたし、そろそろ戻るとするか。
そして、俺は、遺跡から出て、2人の元へ戻った。見た感じ、外では何もなかったようだ。
「じゃあ、帰るか、ヘレン、ジーク」
「あ、ああ、そ、そう、だな」
何か偉く歯切れが悪いな。
「どうしたんだ、ジーク?」
「・・・・・・いや、大したことじゃないんだが、実は、お前が遺跡の中に入っている時に、ヘレンと話してたんだよ」
ジークに続いて、ヘレンも口を開く。
「うん、あのね、よく考えてみたら、私たちのやってることって校則違反なんじゃないかと思って・・・・・・」
「え? それって、どういう・・・・・・?」
「入学式の日に先生に言われたでしょ? 卒業するまでは、学院から出ちゃ行けないって。でも、今、私たち、完全に学院の外に出てる。これって、もう、校則違反、だよね?」
ああ、なるほど、そういうことか。確かに、卒業するまで外に出られないって言われた記憶はあるな。
「じゃあ、尚更、早く帰らないとな。とりあえず、バレないように寮までテレポートしよう」
「だな、じゃあ、よろしく頼むぜ、ガイア!」
「おう! ヘレン、ジーク、しっかり掴まっててくれよ!」
「うん! いつでもいいよ!」
「・・・・・・テレポート!」
俺たちは、学院の寮に転移し、なんとか、先生たちに見つからずに、戻ることができた。そして、偶然にも証言が終わったエレーナさんも来たので、彼女が話したことを俺たちも聞きたいと思い、今寮の部屋で話をしている。
「それで、エレーナさん、本当に変なことはされてないんだね?」
「え、ええ、されてないわよ。というか、変なことって・・・・・・?」
「い、いや、何もないなら、良いんだ!」
「・・・・・・」
「な、何!?」
ヘレンがじーっと見つめてくる。何だろう、俺、何かヘレンの気に触るような事言ったかな。
「・・・・・・別に!」
その後、俺は、なぜか、ヘレンから冷たい視線を向けられていたが、学院側から今日は寮に戻っていいと言われたので、自分達の寮に戻った。
「そういえば、ガイア、お前に一つ聞きたいことがあったんだ」
「ん? 何だ、ジーク?」
「お前は、何者なんだ?」
「・・・・・・」
「ずっと、おかしいと思ってた。確か、お前、入学試験の実技の時、神級魔法を使ってただろ? 普通は、あんな高度な魔法、俺たちみたいな10年そこそこしか生きてない人間には使うことはできない。だが、最初は、お前が天才すぎるだけなんだって、そう思ってた。エレーナ様を助けに、あの遺跡に行く時までは」
何も言い返せない。まさかとは、思っていたが、本当に、俺の正体がバレかけているとは、夢にも思わなかった。
「・・・・・・」
「お前、あの時、ブラッド家にしか使うことができない魔法を使っただろ?」
「・・・・・・な、何で?」
「俺は、そこんとこ敏感だからな。誰がどんな魔法を使うのか、そいつの魔力の流れ方を見れば、すぐに分かる。そして、ブラッド家の魔法は、エレーナ様のを嫌と言うほど見てきているからな」
「そ、それで、もし、俺が、その・・・・・・アレス・ブラッドの生まれ変わり、だったら、どうするんだ?」
「別にどうもしねえよ、ただ、俺は、気になるから聞いているだけだ」
ジークは、こう言っているが、人というものは、簡単に信用してはいけないと前世で習った。しかし、友達を疑うのもいけない気がする。こんな時、俺は、どうすれば良いのだろうか。
「・・・・・・本当なのか? もし、嘘だったら、分かっているな?」
「本当さ、俺は、お前が何者であろうと、手を出すつもりなんてない。さっきも言ったが、俺はただ真実が知りたいだけだ。それで、どうなんだ? お前は、アレス・ブラッドの生まれ変わり、なのか?」
「・・・・・・今は、まだ、言いたくない」
「そっか」
「でも、時が来れば、必ず話す」
「ああ、じゃあ、気長に待っておくよ」
それ以上、ジークは言葉を発さなかった。きっと、隠し事の多いやつとは関わりたくないということなのだろう。それなら、それで俺は構わない。
いつだって、そう、俺は、1人なのだから。
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