30話 エレーナ救出
俺は、司教を倒して、エレーナさんの鎖を切り、今、出口へと向かっている。
「・・・・・・ねえ、あなたって、一体何者、なの?」
彼女が唐突にそんなことを聞いてくる。やっぱり、魔法の同時発動なんてしたら、疑られるに決まってるよな。
「俺は、ただの村人、だよ」
「嘘は、言わなくていい。ただの村人がアレス様と同じ魔法を使えるわけないじゃない」
「・・・・・・魔法が好きなだけのただの村人、だよ、本当に」
「あら、そう、どうやっても村人だと言い張るつもり、なのね」
やばい、目が本気だ。これは、もう、俺がアレス・ブラッドの生まれ変わりだと正直に話した方がいいのか、いや、しかし、そんなことを知られれば騒ぎになるし、アレスに恨みを持っている者も、俺を狙って学院を襲うかもしれない。皆んなのためには、言わない方がいい。
「・・・・・・まあ、いいわ」
「え? いいの? 問い詰めたりとかは・・・・・・」
「そんなことしたりしないわよ。一応、あなたは私の命の恩人なんだし。でも、まあ、気にならないといえば嘘になるわね・・・・・・だから、それは、いつか教えてくれるって約束してくれれば、今はいいわ」
「・・・・・・う、うん、ありがとう」
そんな話をしているうちに、気付けば、すでに出口の前まで来ていた。そして、そのまま遺跡に出ると、辺りは、血の海となり、死体が山のように転がっていた。しかも、よく見ると、この人たちは、全て逃げ出したハデス教徒たちだった。
「ガイアー!! お帰りー!!」
すると、ヘレンが俺に思いっきり、抱きついてきた。
「へ、ヘレン、く、苦しいんだけど・・・・・・」
「ご、ごめん、でも、もう少し、こうさせて」
余程、心配をかけてしまったみたいだな。無理矢理、離れたら、きっと拗ねるだろうし、しばらく、このままじっとしておくか。
「ところで、ガイア、一応、外に飛び出してくるやつは全員殺したんだが、これで良かったのか?」
「あー、まあ、別に良いんじゃないか。エレーナさんも無事なわけだから、彼女に証言してもらえば問題ないだろ」
「・・・・・・それもそうだな」
すると、エレーナさんが頬を膨らましてこっちをずっと見つめてくる。
「・・・・・・ねえ、あなたたち、さっきから、何をこそこそしているの?」
どうやら、さっきのことを聞かれていたようだ。まあ、内容までは分かってないらしいけど。隠すようなことでもないし、エレーナさんにも話しておくか。
「実は・・・・・・」
「なるほど、敵を皆殺しにして証人がいなくなったから、私に証言してほしいってことね」
「う、うん、お願いできるかな?」
「そんなの当たり前じゃない! むしろ、私が言わなくて誰が言うのよ」
「確かに・・・・・・じゃあ、学院に戻ろうか。きっと、先生たちも心配してるだろうから」
「それは良いが、この死体はどうする?」
ジークがそんなことを尋ねてくる。確かに、こんなところに死体を放置したら、いくら敵とはいえど、報われないよな。
「一応、死体も全部持って帰ろう」
「・・・・・・あなた、正気?」
「う、うん、こいつらの魔力量は俺たちよりも上だから、魔法の実験にも使えそうだし」
「はぁ、まあ、いいわ。もう、好きにして」
何やら、呆れられてるような、気のせいかな。呆れられるようなことした覚えもないしな。
「じゃあ、皆んな、俺に掴まってくれ。テレポートで帰るから」
「え、ええ」
「了解〜!」
よし、全員掴まってくれてるな。テレポート中に俺から離れると次元の狭間を永遠に彷徨うことになるからな。俺も、しっかり注意しておかないとな。
「じゃあ、いくぞ! テレポート!」
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