29話 司教との闘い
手下の教徒たちを魔剣ディザスターで一掃し、最後の1人になった、ハデス教の大司教と対峙した。
「大人しく、エレーナさんを解放してもらおうか。そうすれば、命だけは取らないでおいてやっても良い」
俺のこの言葉に、司教は動じることもなく、静かに、そして、俺の言葉を否定するように薄く笑った。
「悪いが、それは、できない。この娘には、まだ、やってもらわなければならないことがあるのでね」
どうやら、交渉の余地はないようだな。仕方がない、やはり、殺すしかないようだ。
「・・・・・・それなら、お前を殺させてもらう!」
「はははははは、面白いことを言うな、少年! だが、残念ながら、君に私は殺せないよ」
「そんなの、やってみないと分からないだろ!!」
俺は、魔剣を司教に向かって振り下ろした。普通なら、これで俺の勝ちなのだが、驚くべきことに奴は、俺の剣を片手で受け止めた。
「な!? そんな、ばかな!?」
「だから、言ったはずだ。君に、私は殺せない、とね!」
俺は、司教に振り払われて、吹っ飛んでしまい、壁に激突した。
「ぐっ! マジかよ、あいつ!? あんなの、どうやって、倒せば・・・・・・!?」
そう考えた矢先に、一瞬にして、司教が俺の前に現れ、拳を繰り出した。俺は、それをギリギリのところで躱し、マジックガトリングを使った。ところどころに傷ができていたものの、ほとんど、避けられてしまったため、有効打にはなっていなかった。
「今の魔法は中々だったぞ。死を間近に感じたのは、久しぶりだ」
「・・・・・・死を感じたと言う割には、随分と余裕そうだな」
「そんなことは、ない。私も焦ってはいるよ、まさか、君がここまでできるとは、正直思っていなかったからね」
「降参するか?」
「君は本当に面白いことを言うね。初めて本気を出せる相手を目の前にして、降参するわけがないだろう」
そうだろうな、仕方ない、エレーナさんも見てるし、これだけは、使いたくなかったが、そんなことも言ってられないな。
「ん? 何をするつもりだ?」
前世の力を最大限引き出せば、おそらく、こいつを倒せる。かつて、前世の俺、つまり、アレス・ブラッドだけの力、同時魔法発動、今の俺の魔力では20個が限界だろうが、それだけの魔法を放てば、一撃で葬れるはずだ。
「・・・・・・マジック・サイモルトテイニアス・アクティベイション!!」
「・・・・・・!? こ、これは!? 魔法の同時発動、だと!? き、貴様、まさか・・・・・・!?」
「あ、あれって・・・・・・!? でも、何で、あいつが、アレス様と同じ魔法を!?」
やっぱり、この魔法のことは、知られていたか。まあ、当然といえば、当然だな。一応、この魔法は、後世にも伝えるために、しっかり記録に残したからな。
「そうか、なるほど、お前が・・・・・・。ふん、わざわざ、探す手間が省けた。ハデス様のため、ここで死んでもらうぞ、アレス・ブラッド!!」
「・・・・・・無駄だ、もう、お前は俺には勝てない!」
俺は、20個の神級魔法を同時に発動して、司教に浴びせた。
「ぐっ! こんな、もので、私は・・・・・・!? ぐわあああああああああああぁ!!」
どんなに、耐久力が高かろうと、魔法を同時に叩き込まれれば、どんな奴も、絶対に耐えられない。むしろ、最後の19個まで耐えた、この司教は本当に大したものだ。敵じゃなければ、是非とも俺の部下に加えたいぐらいだった。とりあえず、エレーナさんを連れて、早く外に出ないとな。逃げ出した教徒たちは、少なくともエレーナさん以上の実力を秘めていた、それをたった2人だけで相手にするのは、あまりにも荷が重すぎる。
「エレーナさん、お待たせ、さあ、早くここから出よう!」
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